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卵アレルギーの子に離乳食をどう進める?加熱卵からの安全な導入法
Vol.478アレルギー

卵アレルギーの子に離乳食をどう進める?加熱卵からの安全な導入法

卵アレルギーが心配な赤ちゃんへの離乳食の進め方を、最新ガイドラインとPETIT試験のエビデンスに基づいて解説

アレルギー0〜6ヶ月・6〜12ヶ月・6
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 問収録

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この記事のポイント

  • 卵は生後5〜6ヶ月から固ゆで卵黄の少量で始めるのが現在の標準
  • 加熱によりアレルゲン性が大幅に下がるため、必ず十分に加熱してから与える
  • 湿疹がある赤ちゃんは先に肌の治療を行い、皮膚バリアを整えてから導入する

小児科おかもん先生 だより Vol.478

卵アレルギーの子に離乳食をどう進める?加熱卵からの安全な導入法

今号のポイント

  1. 2
    卵は生後5〜6ヶ月から固ゆで卵黄の少量で始めるのが現在の標準
  2. 4
    加熱によりアレルゲン性が大幅に下がるため、必ず十分に加熱してから与える
  3. 6
    湿疹がある赤ちゃんは先に肌の治療を行い、皮膚バリアを整えてから導入する

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「卵アレルギーが怖くて離乳食を始められない」「いつから、どのくらいの量をあげたらいいの?」。外来でこうしたご相談をいただくことがとても多いです。かつては「卵は1歳過ぎてから」と言われていましたが、現在のエビデンスはその考えを明確に否定しています。適切な方法で導入すれば、むしろアレルギーの予防につながることがわかっています。

今回は、卵の離乳食への導入を安全に進めるための具体的な手順をお伝えします。

なぜ「早めに始める」ほうがよいのですか

2017年に発表されたPETIT試験は、湿疹のある日本人乳児121名を対象に行われた質の高い臨床研究です [1]。生後6ヶ月から少量の加熱卵粉末を与えたグループでは、1歳時点の卵アレルギー発症率が8%でした。一方、卵を与えなかったグループでは38%がアレルギーを発症しました。つまり、適切な時期に卵を導入することで、発症リスクが約80%低下したのです。

この結果は「二重アレルゲン暴露仮説」と整合しています。食物アレルゲンは口から入ると「食べ物」として認識され免疫寛容が成立しますが、荒れた皮膚から侵入すると「異物」として認識されアレルギーが成立します [2]。食べることを遅らせると、経皮感作が先に進んでしまう可能性があるのです。

💡離乳食開始前にまず湿疹の治療を

PETIT試験でも、卵導入の前にまず湿疹を積極的に治療しています。肌がきれいな状態で食べ始めることが、安全な導入の前提条件です。

卵の進め方、具体的な手順を教えてください

日本小児アレルギー学会の食物アレルギー診療ガイドライン2021と、厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)に基づいた進め方です [3][4]。

ステップ1: 固ゆで卵黄(生後5〜6ヶ月)

  • 卵を20分以上しっかりゆでて固ゆでにする
  • 卵黄のみを取り出し、耳かき1さじ程度から始める
  • 問題がなければ1〜2週間ごとに1/4個、1/2個と増量

ステップ2: 固ゆで全卵(生後7〜8ヶ月頃)

  • 卵黄に問題がなければ、固ゆでの卵白を少量から
  • 全卵1/4個から1/2個、2/3個と段階的に増量

ステップ3: さまざまな調理法(生後9ヶ月以降)

  • 卵焼き、スクランブルエッグなどに広げる
  • 生卵は1歳を過ぎてから

卵白に含まれるオボアルブミンは加熱で変性しやすく、十分な加熱によりアレルゲン性が大幅に低下します [5]。一方、オボムコイドは加熱に比較的強いタンパク質ですが、それでも加熱と段階的な増量を組み合わせることで安全に進められます。

⚠️新しい食材を試すタイミング

初めての食材は、かかりつけ医が開いている平日の午前中に試してください。万が一のアレルギー反応に速やかに対応できます。体調が悪い日は避けましょう。

アレルギーが出たらどうすればいいですか

卵アレルギーの初発症状の多くは、じんましんや発疹といった軽い皮膚症状です。少量の加熱卵から始めていれば、仮に症状が出ても軽く済む可能性が高いとされています。

症状が出たときの対応:

症状対応
口の周りが少し赤くなった食べるのを中止し、30分ほど様子を見る
じんましんが出た食べるのを中止し、かかりつけ医に連絡
嘔吐、咳、ぐったりすぐに医療機関を受診。エピペンがあれば使用

大切なのは「症状が出たから卵は一生食べられない」と考えないことです。卵アレルギーの約80%は小学校入学までに自然に治ります [3]。主治医と相談しながら、食べられる範囲を少しずつ広げていくことが大切です。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

外来で「怖くて卵をまだあげていません」とおっしゃるお母さんに出会うことがあります。その気持ちはとてもよくわかります。ただ、食べないことのリスクのほうが大きいことを、PETIT試験のデータは示しています。湿疹をしっかり治してから、固ゆで卵黄をほんの少しずつ。不安なら、かかりつけの小児科医と一緒に進めましょう。お子さんの「食べられるもの」が一つずつ増えていくのは、親御さんにとってもうれしいことだと思います。

まとめ

  • 卵は生後5〜6ヶ月に固ゆで卵黄の少量から開始するのが現在の推奨
  • PETIT試験で、早期導入により卵アレルギー発症が約80%低下と証明
  • 加熱が必須。生卵は1歳以降
  • 湿疹の治療を先に行い、皮膚バリアを整えてから導入する
  • 約80%の卵アレルギーは成長とともに自然に治る

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ご質問・ご感想

「こんなこと聞いていいのかな?」というギモンこそ大歓迎です。 外来受診時にお気軽にお声がけいただくか、質問フォームからお寄せください。

次号もお楽しみに。

おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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