愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.218
「いつも涙目です」、先天性鼻涙管閉塞
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
先天性鼻涙管閉塞は、涙の排出路が生まれつき塞がっているために、涙が溢れる(流涙)状態です。新生児の約5-20%に見られますが、多くは自然に改善します。今回は、先天性鼻涙管閉塞についてお伝えします。
Q1.「鼻涙管閉塞とは?」
——赤ちゃんがいつも涙目で、目やにが出ます
涙の通り道(鼻涙管)が塞がっている状態です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 頻度 | 新生児の約5-20% |
| 原因 | 鼻涙管の下端の膜が開通していない |
| 症状 | 流涙、目やに |
| 自然治癒率 | 約90%が1歳までに自然開通 |
| 涙の流れ |
|---|
| 涙腺で涙を作る → 目の表面を潤す → 涙点(目頭の小さな穴)から排出 → 涙嚢 → 鼻涙管 → 鼻腔 |
| 鼻涙管が詰まると涙が溢れる |
ポイント
- 新生児の5-20%に見られる
- 涙の排出路が塞がっている
- 90%が1歳までに自然治癒
Q2.「結膜炎との違いは?」
——結膜炎とは違うのですか?
似た症状ですが、原因と経過が異なります [2]。
鼻涙管閉塞
- 充血
- 通常なし
- 目やに
- 慢性的に少量
- 流涙
- 常にある
- 経過
- 生後早期から持続
- 涙嚢部の圧迫
- 目やにが出る
結膜炎
- 充血
- あり
- 目やに
- 急性に多量
- 流涙
- 通常なし
- 経過
- 急性発症
- 涙嚢部の圧迫
- 変化なし
「目頭を指で押した時に目やにがにじみ出る場合は、鼻涙管閉塞の特徴的な所見です。」
ポイント
- 充血がないのが結膜炎との違い
- 慢性的な流涙と少量の目やに
- 目頭を押すと目やにが出る
Q3.「涙嚢マッサージの方法は?」
——マッサージで良くなりますか?
涙嚢マッサージは自然開通を促す効果があります [3]。
| 涙嚢マッサージの方法 |
|---|
| 1. 手をよく洗う |
| 2. 赤ちゃんの目頭のやや下(涙嚢部)に人差し指を置く |
| 3. 鼻の方向に向かって優しく押し下げる(5-10回) |
| 4. 1日2-3回行う |
| 注意点 |
|---|
| 爪を短く切る |
| 強く押しすぎない |
| 目やにが出たら清潔なガーゼで拭く |
| 目やにがひどい時は点眼薬を併用 |
ポイント
- 1日2-3回、目頭を優しくマッサージ
- 自然開通を促す効果がある
- 強く押しすぎない
Q4.「いつまで待っていいですか?」
——自然に治るのを待つべきですか?
1歳頃まで経過観察するのが一般的です [4]。
| 時期 | 対応 |
|---|---|
| 0-6か月 | 涙嚢マッサージ+目やにに対する抗菌点眼 |
| 6-12か月 | 改善傾向があれば継続 |
| 1歳頃 | 改善なければプロービング(通水テスト・ブジー)を検討 |
| 1歳以降 | プロービングの成功率が下がる |
「プロービングは細い棒を涙道に挿入して詰まりを解消する処置です。早期に行うほど成功率が高く、1歳前後までなら報告により75〜90%前後とされます。年齢が上がると成功率は下がります。」
ポイント
- 1歳頃まで経過観察が基本
- 涙嚢マッサージを継続
- 改善なければプロービングを検討
Q5.「プロービング後の注意は?」
——処置後に気をつけることは?
処置後は以下のケアをお願いします [5]。
| 処置後のケア | 内容 |
|---|---|
| 抗菌点眼薬 | 1-2週間使用 |
| 涙嚢マッサージ | 処置後も続ける |
| 経過観察 | 2-4週間後に再診 |
| 再閉塞 | 約10%で再閉塞することがある |
| 受診すべき場合 |
|---|
| 処置後に涙・目やにが再発 |
| 目の周りが赤く腫れた(涙嚢炎の可能性) |
| 発熱を伴う目やに |
ポイント
- 処置後も点眼薬とマッサージを継続
- 約10%で再閉塞の可能性
- 涙嚢炎のサインに注意
今号のまとめ
- 先天性鼻涙管閉塞は新生児の5-20%に見られる
- 約90%が1歳までに自然治癒
- 涙嚢マッサージが自然開通を促す
- 1歳頃までに改善なければプロービングを検討
- 結膜炎との区別が大切
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