愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.242
「甲状腺が腫れていると言われました」、子どもの甲状腺疾患
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
甲状腺は、体の代謝を調節するホルモンを出している臓器です。子どもの甲状腺の病気は、生まれてすぐに新生児マススクリーニングで見つかる先天性のものから、学童期以降に出てくる自己免疫性のものまで幅があります。今回は、外来で話題になりやすいところをお伝えします。
Q1.「甲状腺の役割は?」
——甲状腺とはどんな臓器ですか?
甲状腺は、成長と脳の発達に欠かせないホルモンを作っている、のどの前にある小さな臓器です [1]
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 位置 | 首の前面、のどぼとけの下 |
| 形 | 蝶のような形 |
| ホルモン | T3(トリヨードサイロニン)、T4(サイロキシン) |
| 役割 | 代謝、成長、脳の発達を調節 |
| 甲状腺ホルモンの働き |
|---|
| 体の代謝を調節(エネルギー産生) |
| 成長・発達を促進 |
| 脳の発達に必須(特に乳幼児期) |
| 体温の調節 |
ポイント
- 甲状腺ホルモンは成長と脳の発達に必須
- 特に乳幼児期の不足は知的発達に影響
- 新生児マススクリーニングで早期発見が可能
Q2.「甲状腺機能低下症とは?」
——甲状腺の機能が低いと言われました
甲状腺ホルモンが不足している状態のことを指します [2]
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 先天性 | 新生児マススクリーニングで発見。約3,000人に1人 |
| 後天性 | 橋本病(自己免疫性)が最多。学童期以降に多い |
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 成長障害 | 身長の伸びが遅い |
| 倦怠感 | 疲れやすい、元気がない |
| 寒がり | 冷え性 |
| 便秘 | 腸の動きが低下 |
| 体重増加 | 代謝が低下 |
| 学業低下 | 集中力の低下 |
「身長が伸びなくなった場合、甲状腺機能低下症の可能性を考えます。」
ポイント
- 先天性は新生児スクリーニングで発見
- 後天性は橋本病が多い
- 成長障害が重要なサイン
Q3.「バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは?」
——甲状腺の機能が高いこともあるのですか?
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気です [3]
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 動悸 | 心臓がドキドキする |
| 体重減少 | 食べても太らない |
| イライラ | 落ち着きがない |
| 暑がり | 汗をかきやすい |
| 手のふるえ | 細かい震え |
| 甲状腺腫 | 首が腫れる |
| 眼球突出 | 目が大きくなる(子どもでは少ない) |
| 治療 |
|---|
| 抗甲状腺薬(メルカゾール等)が第一選択 |
| 治療期間は2年以上が多い |
| 寛解率は2年治療でおおむね30〜40%程度(要確認:報告により幅あり) |
ポイント
- 動悸、体重減少、イライラが主な症状
- 抗甲状腺薬で治療
- 長期的な治療が必要
Q4.「橋本病とは?」
——橋本病と言われましたが
橋本病は、自分の免疫が甲状腺を攻撃してしまう、自己免疫性の病気です [4]
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 原因 | 自己免疫(抗甲状腺抗体) |
| 好発 | 学童期〜思春期の女児に多い |
| 症状 | 甲状腺腫(首の腫れ)が初発症状のことが多い |
| 経過 | 多くは甲状腺機能は正常に保たれる |
| 治療方針 |
|---|
| 甲状腺機能が正常なら経過観察 |
| 機能低下があれば甲状腺ホルモン補充 |
| 定期的な血液検査でフォロー |
ポイント
- 自己免疫が原因
- 女児に多い
- 多くは機能正常で経過観察
Q5.「甲状腺の検査は?」
——甲状腺の検査はどうしますか?
血液検査で比較的すぐに調べられます [5]
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| TSH | 甲状腺刺激ホルモン(最も鋭敏) |
| FT4 | 遊離サイロキシン |
| FT3 | 遊離トリヨードサイロニン |
| 抗体検査 | 抗TPO抗体、抗Tg抗体(橋本病)、TRAb(バセドウ病) |
| エコー | 甲状腺の大きさ・構造 |
| 受診のタイミング |
|---|
| 首が腫れている |
| 成長が急に遅くなった |
| 急に痩せた・太った |
| 動悸やイライラが続く |
ポイント
- 血液検査で簡単に診断できる
- TSHが最も鋭敏な指標
- 首の腫れや成長障害があれば検査を
今号のまとめ
- 甲状腺ホルモンは成長と脳の発達に必須
- 先天性甲状腺機能低下症は新生児スクリーニングで発見
- 橋本病は学童期女児に多い自己免疫疾患
- バセドウ病は動悸・体重減少が特徴
- 血液検査で簡単に診断できる
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