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「心配しすぎは性格じゃない」、子どもの不安障害
Vol.280メンタルヘルス

「心配しすぎは性格じゃない」、子どもの不安障害

子どもの不安障害の見分け方と治療。CBTが第一選択、約60%が改善する

メンタルヘルス全年齢7
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 6·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 不安障害は子どもの精神疾患の中で最も頻度が高い(有病率6〜20%)
  • 「心配性」と片付けず、生活への支障の有無で判断する
  • 治療しないと慢性化し、うつ病のリスクも上がる

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.280

「心配しすぎは性格じゃない」、子どもの不安障害

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「うちの子、何でもすごく心配するんです」「新しい場所に行くと固まってしまいます」、子どもの不安は成長の一部ですが、日常生活に支障をきたすレベルの不安は不安障害の可能性があります。不安障害は子どもの精神疾患の中で最も多く、約6〜20%に認められます [1]。

Q1.「子どもの不安障害とはどんな病気ですか?」

——心配性と不安障害はどう違うのですか?

不安は誰にでもある正常な感情ですが、年齢に不相応な強い不安が長期間続き、日常生活に支障をきたす場合は不安障害と診断されます [2]

項目内容
有病率小児の約6〜20% [1]
発症年齢分離不安:7〜8歳、社交不安:10〜12歳、全般性不安:10〜14歳 [1]
男女比女児にやや多い(約1.5〜2:1) [1]
経過治療しないと慢性化しやすい [3]
不安障害の種類主な特徴
分離不安症親と離れることへの過度な不安 [2]
社交不安症人前で恥をかくことへの強い恐怖 [2]
全般性不安症あらゆることへの過度な心配 [2]
選択性緘黙特定の場面で話せない [2]
限局性恐怖症特定のものへの強い恐怖 [2]
パニック症突然の激しい不安発作 [2]

ポイント

  • 不安障害は子どもの精神疾患の中で最も頻度が高い [1]
  • 「心配性」と片付けず、生活への支障の有無で判断
  • 治療しないと慢性化し、うつ病のリスクも上がる [3]

Q2.「どのような症状に気をつけるべきですか?」

——不安障害のサインを見逃さないために、何に注意すればよいですか?

子どもの不安は、身体症状や行動の変化として現れることが多いです [2]

身体症状行動の変化
腹痛・嘔気登園・登校しぶり
頭痛新しい活動を拒否
胸のドキドキ一人になれない
息苦しさ完璧主義的な行動
不眠・悪夢確認行動の繰り返し
食欲低下特定の場面で話せない
受診の目安
不安のために登校できない
身体症状が繰り返されるが原因が見つからない
不安が6か月以上続いている
日常生活(食事・睡眠・友人関係)に支障がある
不安を避けるための回避行動が顕著

ポイント

  • 子どもの不安は腹痛や頭痛などの身体症状で現れやすい [2]
  • 回避行動(その場面を避ける)は不安障害の重要なサイン
  • 6か月以上続き、生活に支障があれば受診を

Q3.「不安障害はなぜ起こるのですか?」

——何が原因で不安障害になるのですか?

不安障害も複数の要因が関与しています [4]

要因内容
遺伝的素因親が不安障害の場合、子どものリスクは3〜5倍 [4]
気質行動抑制的な気質(新しい状況を避ける傾向)がリスク [4]
脳の機能扁桃体(不安の中枢)の過活動 [4]
学習親の不安行動のモデリング、回避行動の強化 [5]
環境いじめ、転校、家庭の不安定さ [5]

「親の不安が子どもに"伝染"することがあります [5]。親自身が過度に心配したり、子どもの行動を制限しすぎたりすると、子どもの不安が強化されることがあります。」

ポイント

  • 遺伝的素因と環境要因が複合的に関与 [4]
  • 行動抑制的な気質は不安障害のリスク因子 [4]
  • 親の不安が子どもに伝わることがある [5]

Q4.「治療はどのように行いますか?」

——子どもの不安障害はどう治療するのですか?

認知行動療法(CBT)が第一選択です [3]

内容

認知行動療法(CBT)
不安な考え方のパターンを修正し、段階的に不安場面に向き合う
曝露療法
恐怖の対象に段階的に慣れていく(CBTの一部)
親への心理教育
親の関わり方を変える
SSRI
重症例、CBT不応例に
CBT+SSRI併用
最も高い寛解率

エビデンス

認知行動療法(CBT)
最も強いエビデンス [3]
曝露療法
CBTの中核要素 [3]
親への心理教育
併用で効果向上 [5]
SSRI
中等症以上 [6]
CBT+SSRI併用
重症例に [6]
CBTの具体的な内容
不安の仕組みを学ぶ(心理教育)
不安な考え方に気づく(認知的再構成)
リラクゼーション技法を習得
段階的に不安場面に向き合う(曝露)
成功体験を積み重ねる

ポイント

  • 認知行動療法が第一選択で、約60%が改善 [3]
  • 軽症では親への心理教育と環境調整
  • 重症例ではCBT+SSRIの併用が最も効果的 [6]

Q5.「家庭でできる対応は?」

——親として気をつけることはありますか?

家庭での対応が回復に大きく影響します [5]

推奨される対応具体的な方法
不安を受け止める「怖いんだね」と共感する
回避を助長しない不安な場面を完全に避けさせない
小さな挑戦を支援段階的に不安場面に向き合う手助け
成功を褒める少しでも向き合えたら具体的に褒める
親自身の不安管理親の落ち着きが子どもの安心につながる
避けるべき対応
「大丈夫だから心配しないで」と不安を否定する
不安場面を完全に避け続ける(回避の強化)
過度に保護する
「そんなことで怖がるなんて」と叱る

ポイント

  • 不安を否定せず受け止めることが第一歩
  • 回避を助長しないことが治療的に重要 [5]
  • 親自身の不安管理も子どもの回復に影響する

今号のまとめ

  • 不安障害は子どもの精神疾患の中で最も多く、約6〜20%
  • 身体症状や回避行動として現れやすい
  • 認知行動療法(CBT)が第一選択で約60%が改善
  • 家庭では不安を受け止めつつ、回避を助長しない
  • 親自身の不安管理も重要

あわせて読みたい

  • Vol.082「子どもの不安と分離不安」
  • Vol.126「場面緘黙」
  • Vol.279「子どものうつ病」
  • Vol.281「分離不安」

ご質問・ご感想

「うちの子の心配性は普通ですか?」「どこに相談すればよいですか?」など、ご質問がございましたらお気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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