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「この"あざ"は消えますか?」、母斑の種類と経過のはなし
Vol.181皮膚

「この"あざ"は消えますか?」、母斑の種類と経過のはなし

あざ(母斑)には赤・青・茶・黒・白の5種類があり、それぞれ原因と経過が異なる

皮膚全年齢15
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 10·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • あざ(母斑)には赤・青・茶・黒・白の5種類があり、それぞれ原因と経過が異なる
  • 多くのあざは経過観察でよいが、カフェオレ斑が6個以上ある場合は神経線維腫症を疑って精査が必要
  • 治療が必要な場合はレーザー治療が主流。早期開始が効果的なタイプもある

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.181

「この"あざ"は消えますか?」、母斑の種類と経過のはなし

今号のポイント

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    あざ(母斑)には赤・青・茶・黒・白の5種類があり、それぞれ原因と経過が異なる
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    多くのあざは経過観察でよいが、カフェオレ斑が6個以上ある場合は神経線維腫症を疑って精査が必要
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    治療が必要な場合はレーザー治療が主流。早期開始が効果的なタイプもある

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「生まれたときからおしりに青いあざがあるのですが、消えますか?」「背中に茶色いシミがいくつかあって心配です」、赤ちゃんの皮膚に"あざ"があると、親御さんはとても心配されます。あざは医学的には母斑(ぼはん)と呼ばれ、皮膚の色素細胞や血管の発生異常によって生じます [1]。今回は、あざの種類ごとの特徴、経過、そして受診が必要なケースについてお話しします。

Q1.「赤いあざにはどんな種類がありますか?」

——生後2週間で額にイチゴのような赤いふくらみができてきました。生まれたときはなかったのですが……

それは乳児血管腫(いちご状血管腫)の可能性が高いです [2]。赤いあざ(血管性母斑)にはいくつかの種類があり、それぞれ経過がまったく異なります [1][2]

赤いあざの種類と経過 [1][2][3]:

種類特徴好発部位経過
乳児血管腫(いちご状血管腫)生後1〜4週で出現。鮮紅色でイチゴのように盛り上がる [2]顔、頭、体幹生後4〜6ヶ月でピーク→1歳以降徐々に退縮→多くは5〜7歳までに消退 [2]
サーモンパッチ額の中央、上まぶた、鼻根部の淡いピンクの斑 [3]顔の正中1〜2歳までに自然消退するものが多い [3]
ウンナ母斑うなじ(後頸部)の淡いピンクの斑 [3]うなじ消えないことが多いが、髪に隠れるため問題になりにくい [3]
ポートワイン斑(単純性血管腫)出生時から存在する濃い赤紫色の平坦な斑 [1]顔、四肢自然には消えない。加齢とともに暗色化・肥厚する [1]

乳児血管腫は"待てば消える"ものが多いのですが、すべてを放置してよいわけではありません [2]

乳児血管腫で治療を検討すべきケース [2][4]:

ケース理由
目の周りにある視力発達への影響(弱視のリスク)[2]
口や鼻の周りにある哺乳・呼吸への影響 [2]
急速に増大している潰瘍化・出血のリスク [2]
潰瘍・びらんができている痛み、感染、瘢痕のリスク [4]
5個以上の多発血管腫肝臓などの内臓血管腫の合併を精査 [4]
顔面の広範な血管腫PHACES症候群の可能性を精査 [4]

乳児血管腫の治療にはプロプラノロール(ヘマンジオルシロップ)という内服薬が2016年から日本でも使えるようになりました [4]。増大期に早期から使用すると効果が高いため、気になるあざがある場合は生後早期の受診をおすすめします

ポイント

  • 乳児血管腫(いちご状血管腫)は多くが5〜7歳までに自然消退 [2]
  • ただし目・口・鼻の周りや急速増大する場合は早期治療が必要 [2][4]
  • ポートワイン斑は自然消退しない。レーザー治療の適応がある [1]
  • サーモンパッチは1〜2歳で自然消退。心配不要 [3]

Q2.「青いあざは蒙古斑ですよね? 消えますか?」

——おしり以外にも、背中や腕に青いあざがあります。これも蒙古斑でしょうか? いつ消えますか?

おしりの青いあざは蒙古斑で、日本人の赤ちゃんの約90%以上に見られます [5]。ただし、おしり以外の場所にある青いあざは"異所性蒙古斑"と呼ばれ、経過が少し異なります [5]

青いあざの種類と経過 [1][5][6]:

種類特徴好発部位経過
蒙古斑出生時からある青灰色の斑 [5]おしり、腰学童期(5〜10歳)までにほぼ消退 [5]
異所性蒙古斑おしり以外にある蒙古斑 [5]背中、肩、四肢通常の蒙古斑より消えにくいことがある [5]
太田母斑顔面(三叉神経領域)の青褐色斑 [6]目の周り、額、頬自然消退しない。思春期に濃くなる [6]
青色母斑小さな(1cm以下)青黒い結節 [1]手背、足背自然消退しない [1]

蒙古斑はメラノサイト(色素細胞)が真皮の深い層に残っているために青く見えます [5]。通常の蒙古斑は成長とともにメラノサイトが減少して消えますが、異所性蒙古斑や太田母斑は消えにくい傾向があります [5][6]

——太田母斑は顔にできるんですね。治療はできますか?

はい。太田母斑にはQスイッチレーザーが非常に有効です [6]。早期(乳児期〜幼児期)から治療を開始すると効果が高く、日本では保険適用で治療を受けられます [6]。レーザー治療は複数回必要ですが、多くの場合きれいに薄くなります

青いあざの治療の要否 [5][6]:

種類治療の必要性
蒙古斑(おしり・腰)不要。自然消退する [5]
異所性蒙古斑多くは不要。消えにくい場合はレーザー治療を検討 [5]
太田母斑レーザー治療が推奨。保険適用。早期治療が効果的 [6]
青色母斑通常は不要。大きいもの(>1cm)は経過観察 [1]

ポイント

  • 蒙古斑は学童期までにほぼ消退。心配不要 [5]
  • 異所性蒙古斑(おしり以外)は消えにくいことがある [5]
  • 太田母斑は自然消退しないがレーザー治療(保険適用)で改善できる [6]
  • 太田母斑の治療は早期開始が効果的 [6]

Q3.「茶色いあざが複数あるのですが、病気のサインですか?」

——赤ちゃんの体に茶色いシミのようなものが4〜5個あります。"カフェオレ斑"というものだと聞いたのですが、何か病気に関係ありますか?

カフェオレ斑は、その名の通りカフェオレ色(薄茶色)の均一な色素斑です [7]。1〜2個ならば健常な人にも見られ問題ありません [7]。ただし、6個以上ある場合は"神経線維腫症1型(NF1)"という遺伝性疾患を疑う必要があります [7][8]

カフェオレ斑と神経線維腫症1型(NF1)の診断基準 [7][8]:

NF1の診断基準(以下のうち2つ以上で診断)詳細
カフェオレ斑 6個以上思春期前:最大径5mm以上が6個以上 / 思春期後:最大径15mm以上が6個以上 [8]
神経線維腫 2個以上または叢状神経線維腫1個以上 [8]
腋窩・鼠径部の雀卵斑(そばかす様色素斑)"freckling" と呼ばれる [8]
視神経膠腫視力障害の原因になる [8]
虹彩のリッシュ結節 2個以上眼科的検査で確認 [8]
骨の異常蝶形骨異形成、長管骨の弯曲など [8]
第一度近親者にNF1親や兄弟にNF1がある [8]

NF1は約3,000人に1人の頻度で発生する比較的頻度の高い遺伝性疾患です [7]。カフェオレ斑は出生時から存在し、年齢とともに数が増えることがあります [7]。お子さんにカフェオレ斑が複数ある場合は、数を数えて小児科に相談してください

——4〜5個の場合はまだ大丈夫ですか?

4〜5個の段階では経過観察で構いません [7]。ただし、新たに増えていないか定期的に確認することと、腋窩のそばかす様色素斑がないかも確認してください [8]。もし6個以上になったり、他の所見が出てきた場合は精査が必要です

その他の茶色いあざ [1][7]:

特徴

扁平母斑
淡褐色の平坦な斑。カフェオレ斑より色が薄いことがある [1]
ベッカー母斑
思春期に出現する片側性の褐色斑+多毛 [1]

経過

扁平母斑
自然消退しない。美容的にQスイッチレーザーを試みるが再発しやすい [1]
ベッカー母斑
自然消退しない [1]

ポイント

  • カフェオレ斑は1〜2個なら問題なし。6個以上で神経線維腫症1型(NF1)を疑う [7][8]
  • NF1の診断基準は7項目中2つ以上 [8]
  • カフェオレ斑が複数ある場合は数の変化を経過観察 [7]
  • 心配な場合は小児科に相談を

Q4.「黒いあざと白いあざについても教えてください」

——黒いあざや白いあざもあると聞きました。それぞれどんなものですか?

はい。黒いあざ(色素性母斑)と白いあざ(脱色素斑)について、それぞれ解説しますね [1][9]

黒いあざ(色素性母斑)[1][9]:

特徴

先天性色素性母斑(先天性ほくろ)
出生時から存在する黒〜褐色の母斑 [9]
小型(<1.5cm)
一般的なほくろと同様
中型(1.5〜20cm)
体表面の一部を占める
巨大型(>20cm)
体幹や四肢の広範囲を覆う。「獣皮様母斑」とも呼ばれる [9]

注意点

先天性色素性母斑(先天性ほくろ)
大きさによりリスクが異なる
小型(<1.5cm)
悪性化リスクはきわめて低い [9]
中型(1.5〜20cm)
悪性化リスクはやや高い。経過観察が必要 [9]
巨大型(>20cm)
悪性黒色腫のリスク(5〜10%)。専門施設でのフォローが必要 [9]

巨大先天性色素性母斑は皮膚悪性黒色腫(メラノーマ)のリスク因子です [9]。早期に専門施設(小児外科・形成外科・皮膚科)に紹介し、計画的な切除や経過観察を行います [9]。小型のものは通常の"ほくろ"と同様に経過観察で問題ありません

白いあざ(脱色素性母斑)[1][10]:

特徴

脱色素性母斑
出生時から存在する白い斑 [1]
貧血性母斑
白く見えるが色素は正常(血管の反応が乏しい)[1]
結節性硬化症の白斑(白色葉状斑)
木の葉型の白斑。3個以上で結節性硬化症を疑う [10]
尋常性白斑
後天性の脱色素斑。境界明瞭で徐々に拡大 [1]

注意点

脱色素性母斑
通常は問題ないが、以下を除外する
貧血性母斑
問題なし
結節性硬化症の白斑(白色葉状斑)
てんかん、知的障害、心臓腫瘍の合併を精査 [10]
尋常性白斑
自己免疫性疾患 [1]

結節性硬化症(TSC)で注意すべきサイン [10]:

皮膚所見その他の所見
白色葉状斑(木の葉型白斑)3個以上てんかん(点頭てんかん等)[10]
顔面血管線維腫(思春期以降)心臓横紋筋腫(胎児〜乳児期)[10]
シャグリンパッチ(腰の皮膚の隆起)腎血管筋脂肪腫 [10]
爪周囲線維腫脳の結節 [10]

白い斑が3つ以上ある赤ちゃんは、結節性硬化症の可能性を考えて検査を行うことがあります [10]。ウッド灯(紫外線ランプ)で照らすと白斑がより明瞭に確認できます [10]。てんかんの既往がある赤ちゃんに白斑がある場合は、特に注意が必要です

ポイント

  • 巨大先天性色素性母斑(>20cm)は悪性黒色腫のリスクがあり、専門施設でのフォローが必要 [9]
  • 白色葉状斑が3個以上ある場合は結節性硬化症を疑う [10]
  • 結節性硬化症はてんかん・心臓腫瘍・腎腫瘍を合併しうる [10]
  • 小型のほくろや1〜2個の白斑は通常問題ない [1][9]

Q5.「あざで受診すべきケースを整理して教えてください」

——あざにもいろいろな種類があることがわかりました。結局、どんなあざだったら病院に行くべきなのか、まとめていただけますか?

はい。経過観察でよいケースと受診が必要なケースを一覧にまとめますね [1][2][5][7][9][10]

経過観察でよいあざ:

あざの種類理由
蒙古斑(おしり・腰)学童期までに自然消退する [5]
サーモンパッチ1〜2歳までに自然消退する [3]
小さなほくろ(<1.5cm)悪性化リスクはきわめて低い [9]
1〜2個のカフェオレ斑健常者にも見られる [7]
1〜2個の小さな白斑脱色素性母斑として経過観察 [1]

受診が必要なあざ:

受診先

乳児血管腫(目・口・鼻の近く)
小児科・皮膚科
急速に増大する乳児血管腫
小児科・皮膚科
ポートワイン斑(顔面)
皮膚科・形成外科
太田母斑
皮膚科
カフェオレ斑 6個以上
小児科
巨大先天性色素性母斑(>20cm)
小児外科・形成外科・皮膚科
白色葉状斑 3個以上
小児科
あざの形・色・大きさが変化した
皮膚科

理由

乳児血管腫(目・口・鼻の近く)
視力・呼吸への影響 [2][4]
急速に増大する乳児血管腫
潰瘍化リスク。プロプラノロール治療の適応 [4]
ポートワイン斑(顔面)
自然消退しない。レーザー治療は早期が効果的 [1]
太田母斑
自然消退しない。レーザー治療(保険適用)[6]
カフェオレ斑 6個以上
神経線維腫症1型(NF1)の精査 [7][8]
巨大先天性色素性母斑(>20cm)
悪性黒色腫のリスク [9]
白色葉状斑 3個以上
結節性硬化症の精査 [10]
あざの形・色・大きさが変化した
悪性変化の除外

"あざ=すべて心配"ではありませんし、"あざ=すべて放置でよい"でもありません [1]。大切なのはあざの種類を正しく診断してもらうことです。心配なあざがある場合は、まず小児科や皮膚科を受診して、経過観察でよいのか、治療が必要なのかを判断してもらいましょう

——レーザー治療は何歳から受けられますか?

あざの種類によりますが、太田母斑やポートワイン斑は早期(乳児期〜)からの治療が推奨されています [1][6]。皮膚が薄い時期のほうがレーザーの効果が高く、治療回数も少なくて済む傾向があります [6]。ただし、すべてのあざに早期治療が必要なわけではないので、専門医と相談して最適なタイミングを決めましょう

ポイント

  • 蒙古斑・サーモンパッチは自然消退するので経過観察でOK [3][5]
  • 6個以上のカフェオレ斑、3個以上の白斑は精査が必要 [7][10]
  • 顔面のあざや急速に変化するあざは早めに受診を [1][2]
  • レーザー治療は早期開始が効果的なタイプがある [6]

まとめ

  • あざ(母斑)は赤・青・茶・黒・白の5色に分類でき、それぞれ原因と経過が異なる [1]
  • 乳児血管腫は多くが自然消退するが、目・口の近くや急速増大するものは早期治療が必要 [2][4]
  • 蒙古斑は学童期までに消退。太田母斑は消えないがレーザー治療(保険適用)で改善できる [5][6]
  • カフェオレ斑が6個以上で神経線維腫症1型(NF1)を疑う [7][8]
  • 白色葉状斑が3個以上で結節性硬化症を疑う。てんかんなどの合併症に注意 [10]
  • 巨大先天性色素性母斑は悪性黒色腫のリスクがあり、専門施設でのフォローが必要 [9]

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