愛育病院 小児科おかもん だより Vol.306
「げっぷが出ません!」、出なくても大丈夫?吐き戻しとの関係
今号のポイント
- 2げっぷが出なくても大丈夫。飲み込んだ空気はおならとして排出される
- 4溢乳(いつにゅう=ダラッと吐く)は正常。噴水状嘔吐は幽門狭窄症の可能性
- 6縦抱き・前傾姿勢でトントン。5分試して出なければそのまま横向きに寝かせてOK
こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。
今回のテーマはげっぷが出ないというお悩みです。
「授乳後にげっぷを出そうとするんですが、全然出ません」「げっぷが出ないまま寝かせたら吐いてしまいました」、新生児期のお悩みランキングで常に上位に入る質問です。結論から言うと、げっぷが出なくても心配はいりません。ただし、吐き戻しの種類によっては注意が必要なものもあります。今号では、げっぷの正しい出し方と、心配な嘔吐の見分け方をお伝えします。
Q1.「どうすればげっぷが出ますか?」
お父さん「授乳後に背中をトントンしているんですが、なかなかげっぷが出ません。コツはありますか?」
げっぷの出し方にはいくつかの方法がありますので、お子さんに合う方法を見つけてみてください [1]。
やり方
- 縦抱き(肩にもたれさせる)
- 赤ちゃんを縦に抱き、顎を肩に乗せる。背中を下から上にさする、または軽くトントン
- 膝の上で前傾
- 赤ちゃんを膝の上に座らせ、片手で顎と胸を支えて少し前に傾ける。もう片方の手で背中をさする
- うつ伏せ(膝の上)
- 赤ちゃんをうつ伏せで膝の上に乗せ、背中をさする
コツ
- 縦抱き(肩にもたれさせる)
- 肩にガーゼやタオルを置いておく。赤ちゃんの体がまっすぐになるように
- 膝の上で前傾
- 首がすわっていない時期は頭をしっかり支える
- うつ伏せ(膝の上)
- 顔が横を向くようにして呼吸を確保
お父さん「どのくらいの時間やればいいですか?」
5分程度試してみて出なければ、それ以上粘る必要はありません [1]。長時間トントンし続けても出ないものは出ません。赤ちゃんが嫌がっているのに無理に続けるとかえって泣いてしまい、さらに空気を飲み込んでしまいます
ポイント
- 縦抱き・前傾・うつ伏せの3つの方法を試す [1]
- 5分程度で出なければ無理しない
- 赤ちゃんが嫌がるなら中止。無理は逆効果
Q2.「げっぷが出ないまま寝かせても大丈夫ですか?」
お父さん「5分やっても出ないことが多いんですが、げっぷが出ないまま寝かせて大丈夫ですか?吐いて窒息しないか心配です」
はい、げっぷが出なくても基本的に心配いりません [2]。飲み込んだ空気は、げっぷとして出なくてもおならとして排出されます。赤ちゃんがよくおならをするのは、このためです。赤ちゃんの消化管は空気を自然に移動させる仕組みを持っていますので、お腹に溜まったままになることはありません
お父さん「吐き戻しが心配なんですが」
吐き戻し予防のためには、授乳後に右側を下にして横向きに寝かせるか、上半身をやや高くした姿勢にするとよいでしょう [2]。仰向けに寝かせる場合も、健康な赤ちゃんは吐いたものを自分で横に出す反射がありますので、窒息のリスクは非常に低いです。ただし、うつ伏せ寝は乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがあるため、げっぷが出ないからといってうつ伏せで寝かせるのは避けてください [3]
お父さん「じゃあ、完母(完全母乳)でもげっぷは必要ですか?」
母乳は哺乳瓶に比べて空気を飲み込みにくいと言われています [1]。乳首に密着して吸うためです。ですから、完全母乳の赤ちゃんはげっぷがあまり出ないことも多く、それ自体は正常です。一方、哺乳瓶ではどうしても空気を飲みやすいので、げっぷを試みる意義は大きいです
ポイント
- げっぷが出なくても飲み込んだ空気はおならで排出される [2]
- 授乳後は右側を下にした横向きか上半身やや高めがおすすめ [2]
- うつ伏せ寝はNG(SIDS予防) [3]
- 母乳は空気を飲みにくいため、げっぷが出にくいのは正常 [1]
Q3.「吐き戻しが多いのですが、正常と異常の違いは?」
お父さん「授乳後にダラッと吐くことが多いです。量も結構多く見えるんですが、病気でしょうか?」
口からダラッと流れ出るタイプの吐き戻しは、溢乳(いつにゅう)といって正常な現象です [4]。赤ちゃんの胃は大人のように横に寝た形ではなく縦長のとっくり型をしていて、胃の入口(噴門部)の筋肉もまだ緩いため、ちょっとした刺激で胃の内容物が戻ってきます。生後2ヶ月以内の赤ちゃんの70〜85%で見られ、95%は1歳までに自然に治ります [4]
お父さん「では、心配な吐き方はどんなものですか?」
以下の場合は受診が必要です [4][5]。
| 心配な嘔吐のサイン | 考えられる病気 |
|---|---|
| 噴水のように勢いよく吐く | 幽門狭窄症(胃の出口が狭くなる病気) |
| 吐いたものが緑色(胆汁色) | 腸閉塞(腸がねじれている・詰まっている) |
| 体重が増えない・減っている | 何らかの消化器疾患 |
| 吐くたびにぐったりする | 脱水や感染症の可能性 |
特に生後3〜6週頃に噴水様嘔吐が始まった場合は、肥厚性幽門狭窄症を疑います [5]。胃の出口(幽門)の筋肉が分厚くなって通過障害を起こす病気で、1,000人に2〜5人の頻度で発生し、男の子に4〜5倍多いとされています [5]。授乳後に毎回のように噴水状に吐き、赤ちゃんは吐いた後もお腹が空いて泣く、という特徴的なパターンが見られます。超音波検査で診断でき、手術で確実に治ります
ポイント
- ダラッと吐く溢乳は正常。70〜85%の赤ちゃんで見られる [4]
- 噴水様嘔吐・緑色の嘔吐物・体重増加不良は受診サイン [4][5]
- 生後3〜6週の噴水様嘔吐は肥厚性幽門狭窄症の可能性 [5]
Q4.「空気を飲み込みにくくする工夫はありますか?」
お父さん「そもそも空気を飲み込まないようにする方法はありますか?」
いくつかのコツがあります [1][6]。
| 方法 | ポイント |
|---|---|
| 哺乳瓶の角度 | 乳首部分が常にミルクで満たされるように傾ける。空気を吸い込まないように |
| 乳首の穴のサイズ | 穴が大きすぎると一気に飲んで空気も入る。月齢に合ったサイズを選ぶ |
| 授乳中の休憩 | 途中で一度休憩を入れてげっぷを試みる(特に哺乳瓶の場合) |
| 泣く前に授乳 | 大泣きしてからの授乳は空気をたくさん飲み込む。泣く前のサインをキャッチ |
| 授乳姿勢 | 赤ちゃんの頭をやや高くした姿勢で飲ませる |
特に哺乳瓶の場合は、エアベント(空気抜き)付きの哺乳瓶を使うと空気の飲み込みを減らせるという報告もあります [6]。ただ、どんなに工夫しても多少の空気は入りますし、それ自体は問題ありません。あまり神経質にならず、赤ちゃんが元気で体重が順調なら大丈夫です
ポイント
- 哺乳瓶は乳首が常にミルクで満たされる角度で [1]
- 月齢に合った乳首のサイズを選ぶ [6]
- 大泣きする前に授乳すると空気の飲み込みが減る
- 完璧を目指さなくてOK。元気で体重増加が順調なら問題なし
今号のまとめ
- げっぷの出し方は縦抱き・前傾・うつ伏せの3パターン。5分で出なければ無理しない [1]
- げっぷが出なくてもおならで空気は排出される。心配不要 [2]
- 溢乳(ダラッと吐く)は70〜85%の赤ちゃんで正常 [4]
- 噴水様嘔吐・緑色の嘔吐物・体重増加不良は受診サイン [4][5]
- 哺乳瓶の角度や乳首のサイズを工夫すると空気の飲み込みを減らせる [1][6]
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愛育病院 小児科 おかもん
※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。記事中の情報は掲載時点の医学的知見に基づいており、今後の研究の進展により変更される可能性があります。