愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.386
発達検査を勧められた、親の気持ち
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「健診で発達検査を勧められました」。その一言を受けたとき、多くの親御さんが眠れない夜を過ごすことになります。今号では、その「親の気持ち」そのものにフォーカスします。
なぜ検査を勧められたのか
まず知っていただきたいのは、AAPは「全ての子ども」に対して9・18・30ヶ月で発達スクリーニング、18・24ヶ月でASDスクリーニングを推奨しているということです [1]。つまり、「あなたのお子さんが特別に疑われている」ではなく「全員にやる仕組み」なのです。
さらに、2016年のSacrey らの研究で示されたように、親が育児中に「何か気になる」と感じた点は、後の診断と非常に高い一致率を示します [2]。健診で「検査を」と言われるとき、その背景には「親の直感」と「医療者の観察」の両方があります。
ポイント
- AAPは18・24ヶ月ASDスクリーニングを全員に推奨 [1]
- 「特別に疑われた」ではなく「仕組みとしての検査」
- 親の直感は診断と高い一致率 [2]
その瞬間、親に起きること
発達検査を勧められた直後の親の反応は、ほぼ決まったパターンをたどることが研究で示されています [3]。
- 2ショック・否認:「うちの子に限って」
- 4怒り・悲しみ:「なぜうちの子が」
- 6調べまくる:深夜までネットで検索
- 8孤立:パートナーや祖父母に話せない
- 10再接続:情報が整理され、少しずつ進める
2021年のCrane らの研究では、診断を伝える際に医師が「温かさ・敬意・明快さ・確信」を持って接することが、親のその後の適応に大きく影響すると報告されています [3]。逆に「様子を見ましょう」の一言で帰されるのは、親にとっては「見捨てられた」と感じる体験になりえます。
・情報を一度に処理しようとしない ・信頼できる一人にだけ話す ・ネット検索は「時間を決めて」「信頼できるサイトのみ」 ・お子さんの普段の可愛い瞬間を1日1回意識的に思い出す
外来で伝えたいこと

おかもん先生より
外来で「検査を勧められて」と泣きそうな顔で来られるお母さんに、僕はまず「よく来てくださいましたね」とお伝えします。「診断がつくかどうか」より「その不安を一人で抱えないで済むこと」のほうが、最初の1ヶ月はずっと大事だと感じているからです。診断が仮にASDやADHDだったとしても、お子さんは何一つ変わりません。昨日まで可愛かった我が子は、今日も変わらず可愛い。変わるのは「支援の入り口が開く」ことだけです。僕はいつも、そのことを親御さんに最初に伝えるようにしています。
大切なのは、検査は「烙印」ではなく「扉」だということです。診断がつかない場合でも「発達の個性を知る地図」が手に入ります。診断がつく場合でも、療育・支援につながる道筋が明確になります [4]。
今号のまとめ
- 発達検査は「全員にやる仕組み」の一部
- ショックを受けるのは自然な反応
- 医師の温かさと明快さは親の適応に大きく影響
- 検査は「烙印」ではなく「支援への扉」
愛育病院 小児科 おかもん先生
本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。