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【受診チェックリスト】お子さんが頭をぶつけた時に
Vol.84救急

【受診チェックリスト】お子さんが頭をぶつけた時に

以下に当てはまるものがあれば、チェックしてください。

救急全年齢14
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 14·Q&A 0問収録

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愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.84

【受診チェックリスト】お子さんが頭をぶつけた時に

このチェックリストは、受診時にスマホで見せたり、印刷して持っていくことを想定しています。お子さんが頭をぶつけた時(頭部外傷)の受診判断と、受診前の確認事項、48時間の経過観察のポイントをまとめています。

いつ受診する?

以下に当てはまるものがあれば、チェックしてください。

すぐ救急のサイン(119番 or 救急外来へ)

  • 意識がない、または意識レベルが低下している(ぼーっとしている、呼びかけに反応が鈍い)[1][2]
  • けいれんが起きた [1][2]
  • 意識を失った(一瞬でも)[1][2]
  • 2回以上嘔吐している [1][2]
  • 鼻や耳から透明な液体(髄液漏の可能性)が出ている [1][3]
  • 鼻や耳から出血がある [3]
  • 大泉門が膨隆している(乳児の場合)[1][2]
  • 目のまわりにパンダのようなあざ(raccoon eyes)がある [3]
  • 耳の後ろにあざ(Battle's sign)がある [3]
  • 片方の瞳孔が大きい(左右の瞳孔の大きさが違う)[3]
  • 明らかに頭蓋骨が陥没している、または触ると異常にやわらかい [1][2]
  • 高所(1m以上/2歳未満は0.9m以上)からの転落 [1][2]
  • 歩き方がおかしい(ふらつく、まっすぐ歩けない)[3]
  • 腕や足が動かしにくい [3]

上の項目に1つでも当てはまる場合は、すぐに受診してください。夜間・休日でも迷わず救急へ。

早めに受診(数時間以内に小児科・救急へ)

  • 1回嘔吐した [1][2]
  • 受傷後一時的にぼーっとしていたが、今は元気 [2]
  • 頭痛を訴えている(幼児の場合:頭を押さえている、機嫌が悪い)[1]
  • 5cm以上の大きなたんこぶがある(特に側頭部・後頭部)[1][2]
  • 生後3ヶ月未満の乳児の頭部外傷 [1]
  • 交通事故や自転車の転倒による受傷 [1][2]
  • 打撲の相手が硬い物体(コンクリート、階段の角など)[2]
  • 受傷時の状況を目撃していない(何が起きたか不明)[2]
  • 出血性疾患がある、または抗凝固薬を使用中 [3]

様子を見てOK(ただし48時間は注意深く観察)

  • 泣いた後すぐに泣き止み、いつもどおりの様子 [2]
  • 嘔吐なし [1][2]
  • 意識の変化なし(受傷後もすぐに普段どおりの反応)[2]
  • 小さなたんこぶ(前額部=おでこ)で、元気に遊んでいる [2]
  • 低い高さ(本人の身長未満)からの転倒 [2]

ただし、「様子を見てOK」に該当しても、受傷後48時間は注意深い観察が必要です [1][2]。下記の「48時間の経過観察チェックリスト」をご活用ください。

PECARNルール(受診判断の簡易フロー)

PECARN(Pediatric Emergency Care Applied Research Network)は、頭部CT検査が必要かどうかを判断するための臨床予測ルールです [1][2]。約42,000人の小児データから開発された、世界で最も広く使われている判断基準です。

重要: PECARNルールは「CT検査が必要か」を判断する医療者向けのツールです。以下は保護者向けに簡略化したものです。受診するかどうかの最終判断は医師にお任せください。

2歳未満のお子さん

確認項目当てはまる場合
GCS(意識レベル)が14以下CT推奨 [1]
頭蓋骨骨折の所見がある(触知可能な陥没、側頭部のぶよぶよしたたんこぶ)CT推奨 [1]
意識の変化がある(いつもと様子が違う)CT推奨 [1]
上記に当てはまらず、以下の項目がある場合:経過観察 or CT(医師が判断)[1]
- 5cm以上のたんこぶ(前額部以外、特に側頭部・頭頂部)
- 意識消失(5秒以上)
- 受傷機転が重い(0.9m以上の転落、硬い物への衝突など)
- 保護者から見て「いつもと様子が違う」
上記いずれにも当てはまらないCT不要(ciTBI※リスク 0.02%未満) [1]

2歳以上のお子さん

確認項目当てはまる場合
GCS(意識レベル)が14以下CT推奨 [1]
頭蓋骨骨折の所見があるCT推奨 [1]
意識消失があるCT推奨 [1]
上記に当てはまらず、以下の項目がある場合:経過観察 or CT(医師が判断)[1]
- 嘔吐がある
- 受傷機転が重い(1.5m以上の転落など)
- 頭痛が強い
上記いずれにも当てはまらないCT不要(ciTBIリスク 0.05%未満) [1]

※ ciTBI = clinically-important traumatic brain injury(臨床的に重要な外傷性脳損傷)

PECARNルールのポイント [1][2]:

項目データ
感度(見逃さない確率)96.8〜100% [1]
対象GCS 14〜15(意識がほぼ正常)の小児頭部外傷
目的不必要なCT検査を減らすこと(被曝リスクの低減)[1][4]
限界GCS 13以下(意識レベルが明らかに低い)には適用しない(→ CT実施)

受診前に確認しておくこと

以下の表を埋めて、受診時に医師に見せてください。正確な情報は適切な診断の助けになります [2][3]。

確認項目メモ欄
受傷日時__月__日__時__分頃
受傷場所自宅 / 保育園 / 公園 / その他(____)
受傷機転(何が起きたか)転倒 / 転落(高さ:約__cm)/ ぶつかった / その他(____)
ぶつけた部位おでこ / 頭頂部 / 側頭部(こめかみ付近)/ 後頭部
ぶつけた相手床(フローリング / カーペット / コンクリート)/ 家具(__)/ 遊具 / その他
受傷時の意識消失あり(__秒くらい)/ なし / 不明(目撃していない)
受傷直後の反応すぐ泣いた / しばらく泣かなかった / ぼーっとしていた
嘔吐なし / あり(__回。最後は__時頃)
頭痛なし / あり(軽い / 強い / 徐々に悪化)
たんこぶなし / あり(場所:____、大きさ:約__cm)
出血なし / あり(場所:____、止まった / 続いている)
その他の気になる症状____________
普段の様子と比べていつもと同じ / 少し元気がない / 明らかにいつもと違う
既往歴(出血の病気など)なし / あり(______)
内服中の薬なし / あり(______)

48時間の経過観察チェックリスト

頭をぶつけた後、最初の48時間は特に注意深い観察が必要です [1][2][5]。以下のチェックリストを使って、お子さんの様子を定期的に確認してください。

観察のタイミング

時間帯推奨される観察頻度
受傷後0〜6時間1時間ごとに確認 [5]
受傷後6〜24時間2〜3時間ごとに確認 [5]
受傷後24〜48時間4〜6時間ごとに確認 [5]
夜間の睡眠中完全に起こす必要はないが、寝返りや呼吸を確認 [5]

以下の症状が出たらすぐに救急へ

  • 意識レベルが低下した(起こしても起きない、ぼーっとしている)[1][2]
  • 嘔吐が始まった、または嘔吐が増えている [1][2]
  • けいれんが起きた [1]
  • 頭痛がどんどん強くなっている [2]
  • 片方の手足が動かしにくい、力が入らない [3]
  • 歩き方がおかしい(ふらふらする)[3]
  • ことばがおかしい(ろれつが回らない、つじつまが合わない)[3]
  • 瞳孔の大きさが左右で違う [3]
  • 鼻や耳から透明な液体や血が出てきた [3]
  • たんこぶが急速に大きくなっている [2]
  • いつもと明らかに様子が違う(保護者の直感も大切です)[1][2]

48時間以内のこんな変化にも注意

  • いつもより眠りがち(起こせるが、すぐにまた寝てしまう)[5]
  • 食欲がない [5]
  • 機嫌が悪い、不機嫌が続く(乳児の場合:あやしても泣き止まない)[2]
  • 顔色が悪い [3]

CT撮影の判断基準(保護者向け)

「CTを撮りましょう」と言われた場合、保護者として知っておきたいこと:

項目説明
CTとは頭の中の状態をレントゲンで断面画像として撮影する検査 [4]
わかること頭蓋骨の骨折、脳内の出血、脳の腫れなど [3][4]
メリット重大な頭部損傷を迅速かつ正確に診断できる [4]
デメリット放射線被曝がある。小児は成人より放射線の影響を受けやすい [4][6]
被曝量の目安頭部CTの1回の被曝量は約1〜2mSv [4]

CT検査が「推奨される」場合 [1][2]:

状況理由
意識レベルの低下(GCS 14以下)頭蓋内損傷のリスクが高い [1]
頭蓋骨骨折の所見がある骨折に伴う出血のリスク [1]
繰り返す嘔吐、強い頭痛頭蓋内圧亢進の可能性 [1][2]
受傷機転が重い高エネルギー外傷による損傷リスク [1]

CT検査が「不要」と判断される場合 [1][2]:

状況理由
PECARNルールで低リスクに該当ciTBIのリスクが0.05%未満 [1]
受傷後数時間経過しても全く無症状経過観察で十分と判断 [2]
軽微な受傷機転で症状なし不必要な被曝を避ける [4]

おかもん先生のメモ: 「CTを撮らなくて大丈夫ですか?」と不安に思われる方は多いです。PECARNルールに基づいて「CT不要」と判断された場合、重大な脳損傷のリスクは0.05%未満です [1]。ただし、リスクがゼロではないため、48時間の経過観察が非常に重要です。少しでも気になる変化があれば、遠慮なく再受診してください。

先生に聞いておきたいこと

  • 「CTは必要ですか?」
  • 「今日の夜、気をつけることはありますか?」
  • 「夜中に起こして確認したほうがいいですか?」
  • 「お風呂は入ってもいいですか?」
  • 「保育園(幼稚園・学校)はいつから行けますか?」
  • 「運動はいつから再開していいですか?」
  • 「こういう症状が出たらもう一度来たほうがいいですか?」
  • 自分のギモン: ____________

家庭でできるケアの要点

やること具体的に
安静受傷当日は激しい運動を避ける。静かに過ごす [5]
冷却たんこぶには冷やしたタオルや保冷剤(直接当てない)を15〜20分 [5]
観察48時間は上記のチェックリストに沿って定期的に確認 [5]
睡眠寝かせてOK。ただし定期的に呼吸や寝返りを確認 [5]
水分・食事吐き気がなければ普段どおりでOK
鎮痛頭痛があればアセトアミノフェン(カロナール)を使用。アスピリン・イブプロフェンは避ける(出血リスク)[5]
コンコン先生
🏥

おかもん先生より

頭をぶつけた時、保護者の方が最も不安に感じるのは「大丈夫なのか、そうでないのか」の判断だと思います。このチェックリストが、その判断の助けになれば幸いです。迷ったら受診する、というのが一番安全な選択です。PECARNルールは世界中で使われている信頼性の高い基準ですが、「保護者の直感」も大切な判断材料です [1][2]。「いつもと何か違う」と感じたら、遠慮なく受診してください。関連記事: vol070_子どものための防災チェックリスト

まとめ

  • 頭をぶつけた時、意識消失・繰り返す嘔吐・けいれん・鼻耳からの液体漏出があればすぐ救急へ [1][2][3]
  • PECARNルールは約42,000人のデータに基づく世界標準の判断基準。感度96.8〜100% [1]
  • 2歳未満と2歳以上で確認ポイントが異なる。乳児の大泉門膨隆にも注意 [1][2]
  • 受診時には受傷機転・意識の変化・嘔吐回数などを正確に伝えることが重要 [2][3]
  • 受傷後48時間は注意深く経過観察。新たな症状が出たらすぐ再受診 [1][5]
  • CTの要否は医師がPECARNルール等に基づいて判断。低リスクでもリスクはゼロではないため、観察が重要 [1][4]

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