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「頭を強く打った」、初期対応と受診の目安
Vol.451救急

「頭を強く打った」、初期対応と受診の目安

頭部打撲の観察ポイントとPECARNルールに基づく受診判断

救急・・・5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 4·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 頭部打撲後24-48時間は観察が必要
  • 意識消失・嘔吐反復・けいれん・大きなたんこぶは受診
  • PECARN基準で軽症と判断できれば経過観察可

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.451

「頭を強く打った」、初期対応と受診の目安

今号のポイント

  1. 2
    頭部打撲後24-48時間は観察が必要
  2. 4
    意識消失・嘔吐反復・けいれん・大きなたんこぶは受診
  3. 6
    PECARN基準で軽症と判断できれば経過観察可

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「ベッドから落ちた」「滑り台で頭をぶつけた」。小児の頭部外傷は救急外来で最も多い相談の一つです。多くは軽症ですが、判断を誤ると致命的。国際的に使われるPECARN基準を知っておくと役立ちます [1]。

PECARN基準(2歳未満)

以下のいずれもない場合、重症脳損傷リスクは0.02%程度 [1]。

2歳未満のPECARN項目
GCS 14以下 or 意識変化
触れる骨折(頭蓋骨陥没)
意識消失5秒以上
非前頭部の大きな頭皮血腫(側頭・頭頂・後頭)
重大な機序(高所落下、車外放出)
いつもと様子が違う

ポイント

  • 2歳未満は基準が厳しい
  • 「いつもと違う」は重要な項目
  • 血腫の部位で判断変わる

PECARN基準(2歳以上)

2歳以上のPECARN項目
GCS 14以下 or 意識変化
頭蓋底骨折の徴候
意識消失
嘔吐
重大な機序
強い頭痛

2歳以上でも、これらが全てなければ重症リスクは極めて低いと判断できます [1]。

ポイント

  • 2歳以上は意識変化+徴候で判断
  • 重症機序は低閾値で受診
  • 迷ったら電話相談

家庭での観察ポイント

24-48時間の観察項目
意識: 呼びかけ反応・覚醒
嘔吐: 反復・内容
頭痛: 増強傾向
けいれん: 有無
手足の動き: 左右差
目の動き: 瞳孔の大きさ
行動: いつも通り遊べるか

夜間は1-2時間ごとに一度声をかけて反応を確認しましょう [2]。普通の眠りなら呼びかけで反応します。

💡寝かせてもよい

「頭を打ったら寝かせてはいけない」は誤解です。適宜起こして反応を見れば、寝かせて問題ありません。

ポイント

  • 24-48時間は観察 [2]
  • 1-2時間ごとに声かけ
  • 寝かせてOK

即受診・即119番のサイン

サイン対応
意識消失119番
けいれん119番
反復する嘔吐(2回以上)救急受診
強い頭痛が増悪救急受診
手足の麻痺・しびれ119番
瞳孔の左右差119番
耳・鼻からの液体119番
陥没したたんこぶ救急受診
呼吸異常119番
⚠️ゆさぶられっ子症候群

乳児の頭部外傷は、特に外力が小さくても脳内出血を起こしていることがあります。乳児は低閾値で受診を。

ポイント

  • 意識・神経症状は119番
  • 2回以上の嘔吐で受診
  • 乳児は低閾値で

たんこぶ(頭皮血腫)の扱い

タイプ特徴
小さな前頭部経過観察可
大きな側頭・頭頂受診推奨(頭蓋骨骨折の可能性)
触ると波打つ感皮下血腫

冷却は最初の20-30分だけ。それ以降は皮下出血の吸収を妨げないため自然経過に任せましょう。

ポイント

  • 前頭部の小血腫は経過観察
  • 側頭・頭頂の大血腫は受診
  • 冷却は最初の30分だけ

画像検査の判断

PECARN基準に該当しない場合、CTは必須ではありません。むしろ小児のCT被曝は将来的発癌リスクとして考慮すべきです [3]。軽症例での経過観察は、安全で合理的です。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

頭を打った後、お母さんが泣きそうになりながら救急にいらっしゃる姿をよく見ます。多くは経過観察で十分なのに、「CTを撮らないと不安」と言われます。でもCTにはリスクがあります。私が「この子はリスクが低いのでCTは不要」と判断するのは、PECARN基準に基づいた安全なアプローチです。結果として不要な被曝を避けられます。

ポイント

  • CTは必要時のみ [3]
  • 観察が安全な選択
  • 基準に基づく判断

まとめ

  • PECARN基準でリスク評価
  • 24-48時間の観察が基本
  • 2回以上の嘔吐・意識変化は受診
  • 乳児は低閾値で受診
  • CTは必要時のみ

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  • Vol.450「けいれん時の動画ガイド」
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愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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