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「男の子も打つべき?」、HPVワクチンの最新情報と正しい理解
Vol.145予防接種

「男の子も打つべき?」、HPVワクチンの最新情報と正しい理解

HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく、中咽頭がん・肛門がんなど複数のがんを予防する

予防接種全年齢9
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 8·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく、中咽頭がん・肛門がんなど複数のがんを予防する
  • 男性への定期接種化は2026年時点で厚労省で検討中。4価・9価ワクチンは男性にも適応拡大済みで、任意接種として推奨される
  • 接種後の体調不良には対応体制が整備されており、安全性は世界的に確認されている

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.145

「男の子も打つべき?」、HPVワクチンの最新情報と正しい理解

今号のポイント

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    HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく、中咽頭がん・肛門がんなど複数のがんを予防する
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    男性への定期接種化は2026年時点で厚労省で検討中。4価・9価ワクチンは男性にも適応拡大済みで、任意接種として推奨される
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    接種後の体調不良には対応体制が整備されており、安全性は世界的に確認されている

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「HPVワクチンって本当に安全ですか?」「うちは男の子ですが、打つ必要がありますか?」、HPVワクチンに関するご質問は、最も多い相談の一つです。

2022年4月に女性への積極的勧奨が再開され、男性接種については4価ワクチン(ガーダシル)が2020年に、9価ワクチン(シルガード9)が2025年に男性への適応拡大が承認されました。男性の定期接種化は2026年時点で厚生労働省の検討部会で議論が続いており、現時点では任意接種扱いです(自治体によっては独自の助成制度あり)[1]。今回は、HPVワクチンの最新情報をお伝えします。

Q1.「HPVって何ですか?なぜワクチンが必要なのですか?」

——HPVって性感染症のウイルスですよね?子どもに関係ありますか?

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触によって感染する非常にありふれたウイルスです [2]。性交経験のある人の約80%が一生のうちに一度は感染するとされています

HPVの基本情報 [2][3]:

項目内容
ウイルスヒトパピローマウイルス(200種以上の型)
感染経路主に性的接触(皮膚・粘膜の接触)
感染率性交経験者の約80%が一生で一度は感染
自然経過約90%は2年以内に自然消退
問題持続感染した場合にがん化のリスク [3]

HPVが原因となるがん [3]:

がんの種類HPVが原因の割合
子宮頸がんほぼ100%
中咽頭がん約70%
肛門がん約90%
陰茎がん約40〜50%
外陰・腟がん約40〜70%

子宮頸がんは日本で年間約1万人が罹患し、約3,000人が亡くなっています [3]。しかも20〜30代の若い女性に増加傾向です。HPVワクチンはこれらのがんを予防できるワクチンです

ポイント

  • HPVは非常にありふれたウイルスで、性交経験者の約80%が感染 [2]
  • 持続感染により子宮頸がんをはじめ複数のがんを引き起こす [3]
  • HPVワクチンはがんを予防できるワクチン [3]

Q2.「ワクチンの種類と接種スケジュールを教えてください」

——何種類かあると聞きましたが、どれを打てばいいですか?

現在日本で使用できるHPVワクチンは3種類あります [4]

HPVワクチンの種類 [4]:

対象HPV型

サーバリックス(2価)
16, 18型
ガーダシル(4価)
6, 11, 16, 18型
シルガード9(9価)
6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58型

特徴

サーバリックス(2価)
子宮頸がんの主要原因型をカバー
ガーダシル(4価)
尖圭コンジローマも予防
シルガード9(9価)
子宮頸がんの約90%をカバー

現在はシルガード9(9価)が推奨されています [4]。子宮頸がんの原因HPV型の約90%をカバーします

接種スケジュール [4]:

回数

9〜14歳
2回
15歳以上
3回

スケジュール

9〜14歳
0ヶ月、6〜12ヶ月後
15歳以上
0ヶ月、2ヶ月後、6ヶ月後

15歳になる前に始めれば2回で済むのがポイントです。小学6年生〜高校1年生相当の女子は定期接種(無料)の対象です。男子については、2026年時点では定期接種ではなく任意接種扱いで、自治体独自の助成制度がある場合は費用負担が軽くなります [1]

ポイント

  • シルガード9(9価)が現在の推奨ワクチン [4]
  • 15歳未満なら2回接種で完了できる [4]
  • 男子は2026年時点で任意接種(自治体助成あり)。定期接種化は厚労省で検討中 [1]

Q3.「男の子にもHPVワクチンは必要ですか?」

——子宮頸がんのワクチンなのに、なぜ男の子にも?

HPVワクチンは子宮頸がんワクチンではなく、HPV関連がん予防ワクチンです [5]。男性にも接種する理由は複数あります

男性への接種の理由 [5][6]:

理由説明
男性自身のがん予防中咽頭がん・肛門がん・陰茎がんの予防
パートナーへの感染予防男性から女性への感染を防ぐ(集団免疫効果)
尖圭コンジローマ予防良性疾患だが治療に難渋することが多い
集団免疫の確立男女ともに接種することでHPV排除が加速 [6]

オーストラリアでは2013年から男女ともに定期接種を実施し、HPV関連疾患が劇的に減少しています [6]。日本でも男性接種の定期化に向けた議論が進んでいる段階です。男性の接種は任意ですが、性別に関係なく接種をお勧めします

ポイント

  • HPVワクチンは男性のがんも予防する [5]
  • 男女ともに接種で集団免疫が確立 [6]
  • オーストラリアの成功例が男女接種の有効性を実証 [6]

Q4.「副反応が心配です。安全性は大丈夫ですか?」

——以前、副反応で問題になりましたよね?本当に安全ですか?

ご心配はよく理解できます。結論から言うと、HPVワクチンの安全性は世界的な大規模研究で確認されています [7]

安全性に関するエビデンス [7][8]:

研究結果
WHO(世界保健機関)「極めて安全」と繰り返し声明 [7]
名古屋スタディ(約3万人)接種群と非接種群で症状の頻度に有意差なし
北欧のコホート研究自己免疫疾患・神経疾患のリスク増加なし [8]
世界130カ国以上6億回以上の接種実績

主な副反応 [7]:

副反応頻度
接種部位の痛み約80%(最も多い)
接種部位の腫れ・赤み約20〜30%
頭痛・倦怠感約10〜20%
発熱約5%
失神(血管迷走神経反射)まれ。接種後30分は院内で安静に

日本で2013〜2022年に積極的勧奨が差し控えられた結果、接種率が1%未満に激減し、将来的に数千人の子宮頸がん死亡が余分に発生すると試算されています [8]。副反応への不安は理解しますが、ワクチンを接種しないリスクの方がはるかに大きいのが科学的事実です

ポイント

  • 世界6億回以上の接種実績で安全性確認 [7]
  • 大規模研究で深刻な副反応との因果関係は否定 [7][8]
  • 接種しないリスク(がん発症)の方がはるかに大きい [8]

Q5.「キャッチアップ接種について教えてください」

——うちの子はもう高校2年生ですが、まだ打てますか?

キャッチアップ接種制度があります [1]。積極的勧奨が差し控えられた期間に接種機会を逃した方が対象です

キャッチアップ接種の概要 [1]:

項目内容
対象1997年4月2日〜2008年4月1日生まれの女性
期限2025年3月末で終了(以降は自費)
費用無料(定期接種扱い)
ワクチンシルガード9(9価)推奨

キャッチアップ対象の方は期限内に接種を開始することをお勧めします。3回接種には約6ヶ月かかりますので、早めにご相談ください。性交経験後でもワクチンの効果はあります [1]。未感染のHPV型に対しては予防効果が期待できます

ポイント

  • キャッチアップ接種で無料で接種可能(対象者限定) [1]
  • 3回接種には約6ヶ月必要。早めに開始を [1]
  • 性交経験後でも未感染型への効果あり [1]

まとめ

  • HPVは性交経験者の約80%が感染するありふれたウイルス [2]
  • HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく複数のがんを予防 [3]
  • シルガード9(9価)が推奨。15歳未満なら2回で完了 [4]
  • 男子の定期接種化は2026年時点で厚労省で検討中、現時点では任意接種(自治体助成ありの場合も)[1]
  • 世界6億回以上の接種実績で安全性は確認済み [7][8]
  • キャッチアップ対象者は早めの接種開始を [1]

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