愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.193
「牛乳を飲むとお腹が痛くなる」、乳糖不耐症
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」「下痢になる」。よく聞くお悩みです。これは乳糖不耐症のことが多く、牛乳の乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の働きが弱いために起こります。牛乳アレルギーとはまったく別の話です。今回はそのあたりを整理しておきましょう。
Q1.「乳糖不耐症とは?」
——牛乳アレルギーと同じですか?
いえ、これはまったく別の病気なんです [1]。
乳糖不耐症
- 原因
- ラクターゼ(酵素)の不足
- メカニズム
- 消化不良
- 症状
- 腹痛、下痢、腹部膨満、ガス
- 重症度
- 少量なら大丈夫なことが多い
- 発症年齢
- 学童期以降に多い
- 検査
- 呼気テスト、除去試験
牛乳アレルギー
- 原因
- 牛乳タンパク質への免疫反応
- メカニズム
- アレルギー(免疫反応)
- 症状
- 蕁麻疹、嘔吐、アナフィラキシー
- 重症度
- 微量でも反応することがある
- 発症年齢
- 乳児期に多い
- 検査
- 血液検査(IgE)、負荷試験
ポイント
- 乳糖不耐症は酵素の不足による消化不良
- 牛乳アレルギーとは異なる
- 少量なら症状が出ないことが多い
Q2.「乳糖不耐症の種類は?」
——生まれつきですか?
生まれつきのタイプもありますが、実はいくつかの種類があります [2]。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 先天性乳糖不耐症 | 生まれつきラクターゼがない。非常にまれ |
| 発達性(成人型) | 成長とともにラクターゼが減少。日本人に多い |
| 二次性 | 胃腸炎後に一時的にラクターゼが低下。最も多い |
「日本人を含め東アジアの方は成長とともにラクターゼの活性が下がる方が多い、と言われています。ただ全員に症状が出るわけではありません。外来で一番よく出会うのは二次性で、胃腸炎の後にしばらく牛乳で下痢をしやすくなるタイプです。」
ポイント
- 日本人の70-80%がラクターゼ活性低下
- 胃腸炎後の二次性が最も多い
- 全員が症状を自覚するわけではない
Q3.「胃腸炎後の乳糖不耐症はどう対応しますか?」
——ロタウイルスの後、ミルクで下痢が続きます
胃腸炎のあとの二次性乳糖不耐症は、一時的なものなので安心してください [3]。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 乳児(母乳) | 母乳は続けてOK |
| 乳児(ミルク) | 乳糖除去ミルク(ノンラクトなど)に一時的に変更 |
| 幼児以降 | 牛乳を一時的に控える。ヨーグルトは大丈夫なことが多い |
| 期間 | 通常1-2週間で回復 |
「母乳にも乳糖は入っていますが、続けていただいて大丈夫です。母乳の乳糖はミルクとは少し違う消化のされ方をするため、症状が出にくいことが多いです。」
ポイント
- 二次性は1-2週間で回復する一時的なもの
- 母乳は続けてOK
- 乳糖除去ミルクへの一時的な変更が有効
Q4.「学童期以降の乳糖不耐症はどう対応しますか?」
——小学生の子どもが給食の牛乳でお腹が痛くなります
学童期以降なら、無理に牛乳をゼロにする必要はありません [4]。
| 対応のポイント | 具体策 |
|---|---|
| 少量ずつ飲む | 一度にコップ1杯ではなく、少量を分けて |
| 食事と一緒に | 空腹時より食事と一緒の方が症状が出にくい |
| 温めて飲む | 冷たい牛乳より温かい方が消化しやすい |
| 発酵乳製品 | ヨーグルト、チーズは乳糖が少なく症状が出にくい |
| 乳糖分解乳 | アカディ牛乳など、乳糖を分解した製品 |
| ラクターゼ製剤 | 市販のサプリメントとして利用可能 |
「給食の牛乳が飲めないなら、診断書を学校に出して代替飲料に変えてもらえます。カルシウムは小魚や豆腐、小松菜などからも十分とれますよ。」
ポイント
- 完全な除去は不要。少量ずつ、食事と一緒に
- ヨーグルト、チーズは大丈夫なことが多い
- 給食の牛乳は診断書で代替可能
Q5.「カルシウム不足にはなりませんか?」
——牛乳を控えるとカルシウムが不足しませんか?
大丈夫、牛乳以外にもカルシウムがとれる食品はたくさんあります [5]。
| 食品 | カルシウム含有量(100gあたり) |
|---|---|
| ヨーグルト | 120mg(乳糖が少なく症状出にくい) |
| チーズ | 630mg(ほとんど乳糖なし) |
| 小魚(しらす) | 520mg |
| 豆腐(木綿) | 120mg |
| 小松菜 | 170mg |
| ひじき | 140mg |
「1日に必要なカルシウム量は、学童期でだいたい600-1,000mg(年齢・性別で幅があります)。牛乳以外の食品を組み合わせれば十分にとれます。」
ポイント
- 牛乳以外にもカルシウム源は豊富
- ヨーグルト、チーズ、小魚、豆腐で補える
- 完全な牛乳除去でもカルシウム不足は防げる
今号のまとめ
- 乳糖不耐症はラクターゼの不足による消化不良。アレルギーとは異なる
- 胃腸炎後の二次性が最も多く、1-2週間で回復
- 完全な除去は不要。少量ずつ、食事と一緒に摂取
- ヨーグルト、チーズは大丈夫なことが多い
- 牛乳以外にもカルシウム源は豊富にあります
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- Vol.190「胃食道逆流症」
ご質問・ご感想
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