愛育病院 小児科おかもん だより Vol.304
「赤ちゃんが黄色い!」、新生児黄疸、心配な黄疸の見分け方
今号のポイント
- 2生理的黄疸は生後2〜3日に出現しピークは4〜5日。正期産児の約60%に見られる正常な現象
- 4生後24時間以内の黄疸・2週間以上の持続・直接ビリルビン高値は病的黄疸のサイン
- 6光線療法は安全かつ有効。退院後も自然光で肌の色をチェックする習慣を
こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。
今回のテーマは新生児黄疸です。
「赤ちゃんの肌が黄色い気がする」「白目も黄色っぽい」、退院前後のお母さんから最も多くいただく心配のひとつです。実は、正期産の赤ちゃんの約60%、早産児の約80%に黄疸は出現します [1]。ほとんどは生理的なもので自然に消えますが、まれに治療が必要なケースもあります。今号では、安心してよい黄疸と注意が必要な黄疸の見分け方をお伝えします。
Q1.「なぜ赤ちゃんは黄色くなるんですか?」
——生まれて3日目くらいから肌が黄色くなってきました。病気ですか?
ご心配ですよね。でもこれは生理的黄疸といって、ほとんどの赤ちゃんに起こる正常な現象です [1]。理由を説明しますね。赤ちゃんはお母さんのお腹の中では酸素が少ない環境にいるため、酸素を運ぶ赤血球をたくさん持っています。生まれた後、余分な赤血球が壊されるとビリルビンという黄色い色素が放出されます。大人なら肝臓で処理されて排出されるのですが、新生児の肝臓はまだ未熟なので処理が追いつかず、血液中にビリルビンが溜まって肌や白目が黄色くなるんです [1]
——いつ頃から出て、いつ治るんですか?
生理的黄疸は通常生後2〜3日で出現し、4〜5日にピークを迎え、1〜2週間で自然に消えていきます [1]。正期産で母乳栄養の赤ちゃんの場合、もう少し長引くことがありますが、これは後ほどお話しする『母乳性黄疸』というもので、基本的に心配いりません
ポイント
- 生理的黄疸は正期産児の約60%に見られる正常な現象 [1]
- 生後2〜3日に出現、4〜5日にピーク、1〜2週間で消失 [1]
- 新生児の肝臓が未熟なためビリルビンの処理が追いつかないことが原因
Q2.「母乳性黄疸って何ですか?母乳をやめたほうがいいですか?」
——2週間健診で『まだ少し黄色いけど母乳性黄疸でしょう』と言われました。母乳が原因なら、ミルクに変えたほうがいいんですか?
いいえ、母乳をやめる必要はありません [2]。母乳性黄疸は、母乳に含まれる成分が肝臓でのビリルビン処理を穏やかに遅らせるために起こります。母乳栄養の赤ちゃんの約20〜30%に見られ、生後2〜3週以降も黄疸が続くのが特徴です [2]。ただし、赤ちゃんは元気で、哺乳も良好で、体重も順調に増えています
——どのくらい続くんですか?
通常は生後2〜3ヶ月までに自然に消失します [2]。ビリルビンの値も危険な水準にはならないことがほとんどです。ただし注意していただきたいのは、母乳性黄疸だと思っていたら実は病的黄疸だったというケースです。特に便の色が白っぽい(クリーム色〜灰白色)場合は胆道閉鎖症の可能性がありますので、母子手帳の便色カードで必ず確認してください [3]
——便の色がそんなに大事なんですね
はい。胆道閉鎖症は早期発見・早期手術が極めて重要な病気で、生後60日以内の手術が予後を左右します [3]。便色カードは命を守るツールです。黄色〜緑色の便なら大丈夫ですが、1〜3番のような薄い色が続く場合はすぐに受診してください
ポイント
- 母乳性黄疸は母乳栄養児の約20〜30%に見られ、2〜3ヶ月で自然消失 [2]
- 母乳をやめる必要はない [2]
- 便の色が白っぽい場合は胆道閉鎖症の可能性 → 便色カードで確認を [3]
Q3.「病的黄疸はどう見分けるんですか?光線療法って何ですか?」
——生理的黄疸と病的黄疸、どう見分ければいいですか?
以下の3つのサインがある場合は病的黄疸を疑います [1][4]。
| 病的黄疸を疑うサイン | 考えられる原因 |
|---|---|
| 生後24時間以内に出現 | ABO不適合、Rh不適合などの溶血性疾患 |
| 生後2週間以上持続 | 胆道閉鎖症、甲状腺機能低下症、感染症など |
| 直接ビリルビン高値(肌が黄色というより緑がかる) | 胆道閉鎖症、新生児肝炎 |
特に生後24時間以内の黄疸は溶血性疾患(赤血球が異常に早く壊される病気)の可能性が高く、急速にビリルビンが上昇するため緊急の対応が必要です [4]。入院中は私たちがしっかりチェックしていますのでご安心ください
——光線療法はどういう治療ですか?痛くないですか?
光線療法は、特殊な青い光(波長450nm付近)を赤ちゃんの肌に当てて、皮膚の下のビリルビンを水に溶けやすい形に変え、おしっこやうんちから排出させる治療です [5]。痛みはまったくありません。赤ちゃんはおむつだけの状態で光を浴びます。目を保護するアイマスクをつけますが、副作用はほとんどなく、最も安全で有効な治療法として世界中で使われています [5]
——どのくらいで終わりますか?
通常は24〜48時間程度でビリルビン値が十分に下がります [5]。光線療法で改善しない場合やビリルビンが非常に高い場合は、交換輸血(赤ちゃんの血液を入れ替える治療)が必要になることがありますが、これは極めてまれです。光線療法を適切に行えば、核黄疸(ビリルビンが脳に沈着して神経障害を起こす状態)はほぼ確実に予防できます [5]
ポイント
- 生後24時間以内・2週間以上持続・直接ビリルビン高値は病的黄疸のサイン [1][4]
- 光線療法は痛みなし。24〜48時間程度で効果が出る安全な治療 [5]
- 適切な治療で核黄疸は予防できる [5]
Q4.「退院後、家で黄疸をチェックする方法はありますか?」
——退院後に黄疸が悪化したらどうしよう、と心配です。家でもチェックできますか?
はい、いくつかのポイントをお伝えします。まず、自然光(窓際の明るい場所)で赤ちゃんの肌の色を見てください [6]。蛍光灯やLEDの光では正確に判断しにくいんです。赤ちゃんのおでこや胸を指で軽く押して離すと、その部分の地の色が一瞬見えます。黄色みが強い場合は黄疸が残っている証拠です
——入院中に機械で測っていましたよね?
あれは経皮ビリルビン測定器(ミノルタ黄疸計)です [7]。肌に軽く当てるだけで、血液を採らずにビリルビン値を推定できる優れた機器です。入院中や健診時にはこれでスクリーニングを行い、値が高い場合は採血で正確な値を確認します。ご自宅では以下の点をチェックしてください
| 退院後の黄疸チェックリスト | 受診の目安 |
|---|---|
| 肌の黄色み | 自然光で見て黄色みが日ごとに強くなる |
| 白目の色 | 白目が明らかに黄色い |
| 便の色 | 便色カードの1〜3番(薄い色) |
| 哺乳量 | 飲みが悪くなった、ぐったりしている |
| おしっこの回数 | 1日6回未満に減った |
特に退院後2〜3日は黄疸のピークと重なるため、退院翌日〜数日後の健診(当院では退院後1週間健診を行っています)が非常に重要です [6]。気になることがあれば、健診を待たずにいつでもご連絡ください
ポイント
- 自然光の下で肌と白目の色をチェック。蛍光灯では判断しにくい [6]
- 便色カードで便の色を毎日確認。薄い色は胆道閉鎖症の可能性 [3]
- ミノルタ黄疸計で痛みなくビリルビン値を推定できる [7]
- 退院後2〜3日はピークと重なるため、早期の健診が重要 [6]
今号のまとめ
- 生理的黄疸は正期産児の約60%に見られる正常な現象。生後4〜5日にピークを迎え、1〜2週間で消失する [1]
- 母乳性黄疸は2〜3ヶ月で自然消失。母乳をやめる必要はない [2]
- 生後24時間以内・2週間以上持続・直接ビリルビン高値は病的黄疸のサイン → 受診を [1][4]
- 光線療法は安全かつ有効。適切な治療で核黄疸は予防できる [5]
- 退院後は自然光で肌の色と便色カードでチェックする習慣を [3][6]
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愛育病院 小児科 おかもん
※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。記事中の情報は掲載時点の医学的知見に基づいており、今後の研究の進展により変更される可能性があります。