愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.474
泣き止まない新生児。コリックとパープルクライングを知る
今号のポイント
- 2コリックは生後2週頃に始まり6-8週でピーク、3-4ヶ月で収まる。赤ちゃんの約20%に見られる
- 4パープルクライング(PURPLE Crying)は正常な発達過程。泣きには必ずピークがあり終わりがある
- 6激しく揺さぶることは絶対にしない。つらいときは赤ちゃんを安全な場所に置いて一度離れてよい
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
何をしても泣き止まない。おむつも替えた、おっぱいもあげた、抱っこもした。それでも泣き続ける。この経験をしたことのない新生児の親御さんはほとんどいないでしょう。今号では、新生児期の激しい泣きの正体と、安全な乗り越え方についてお話しします。
コリックとは何か
コリックは、健康な赤ちゃんが特に原因なく激しく長時間泣く状態を指します。古典的なWesselの基準では「1日3時間以上、週3日以上、3週間以上続く泣き」と定義されてきました。現在のRome IV基準では期間の条件が緩和され、「1日3時間以上の泣きやぐずりが週3日以上」とされています [1]。
コリックは赤ちゃんの約20%に見られ [2]、生後2-3週頃に始まり、6-8週でピークを迎え、生後3ヶ月で60%、4ヶ月で90%が治まります [1]。夕方から夜にかけて泣くことが多いため「黄昏泣き」とも呼ばれます。
原因はいまだに完全にはわかっていません。腸の未熟さ、腸内細菌叢のアンバランス、乳糖の消化の問題、神経系の発達過程など、複数の要因が関与していると考えられています [1]。
パープルクライング(PURPLE Crying)
「PURPLE Crying」は、カナダの研究者Ronald Barr博士が提唱した、新生児の泣きの正常な発達パターンを説明するための頭文字です [3]。
P(Peak of crying): 泣きにはピークがある。生後2ヶ月頃が最も多い U(Unexpected): 予測できないタイミングで泣き始める R(Resists soothing): なだめても泣き止まないことがある P(Pain-like face): 痛そうな表情をするが、痛みがあるとは限らない L(Long lasting): 長時間泣くことがある(1日に数時間になることも) E(Evening): 夕方から夜にかけて多い
この概念で大切なのは、激しい泣きは病気ではなく正常な発達の一過程であること、そして必ず終わりがあるということです。
安全な対処法
泣いている赤ちゃんにまず確認すべきことは、泣きの原因になりうる体の不調がないかどうかです。発熱、嘔吐、便の異常、発疹などがなければ、以下の方法を試してみてください。
抱っこして軽く揺らす(やさしく、小さな動きで)。おくるみで包む。ホワイトノイズ(換気扇の音、テレビの砂嵐など一定の音)を聞かせる。ドライブや散歩で場所を変える。お腹をやさしくマッサージする。
ただし、どの方法も必ず効くわけではありません。それが正常です。
泣き止まないからといって、赤ちゃんを激しく揺さぶることは絶対にしないでください。乳児揺さぶられ症候群(Shaken Baby Syndrome)は重篤な脳損傷や死亡を引き起こします。コリックの時期は揺さぶられ症候群のリスクが最も高い時期と一致します [4]。
つらいときは離れてよい
泣き止まない赤ちゃんに付き合い続けることは、親の精神的な限界を超えることがあります。そのとき、赤ちゃんを安全な場所(ベビーベッドなど、落下や窒息の危険がない平らな場所)に仰向けに置いて、5-10分間部屋を離れて深呼吸をすることは、まったく悪いことではありません [4]。
赤ちゃんは泣いていても安全な場所にいれば大丈夫です。自分自身を落ち着かせることは、赤ちゃんを守ることにもつながります。
パートナーや家族に交代を頼むことも重要です。一人で抱え込まないでください。
コリック自体は病気ではありませんが、以下の場合は受診してください。発熱がある、嘔吐を繰り返す、便に血が混じる、体重が増えない、泣き方がいつもと明らかに違う。「いつもの泣き」と「違う泣き」を見分けるのは親の直感が最も頼りになります。

おかもん先生より
コリックの時期に外来にいらっしゃるお母さんの多くが、寝不足と疲労でギリギリの状態です。先日いらしたお母さんは「毎晩3時間泣き続けるんです。何をしても泣き止まなくて、自分がおかしくなりそうで」とおっしゃっていました。私がお伝えしたのは「あなたのせいではないし、赤ちゃんが悪いわけでもない。これは脳の発達過程で、必ず終わります」ということ。2ヶ月後に来院されたとき、泣きはすっかり落ち着いていました。お母さんの表情もまるで別人のように穏やかで、あの時期を乗り越えた強さが伝わってきました。今つらい方、必ず終わりが来ます。
今号のまとめ
- コリックは赤ちゃんの約20%に見られ、3-4ヶ月で自然に治まる [1][2]
- PURPLE Cryingは正常な発達過程。泣きにはピークがあり必ず終わりがある [3]
- 激しく揺さぶることは絶対にしない。つらいときは安全な場所に置いて離れてよい [4]
- 発熱・嘔吐・血便・体重増加不良がある場合は受診を
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