愛育病院 小児科おかもん だより Vol.331
「コリック(3ヶ月コリック)」、泣き止まない赤ちゃんとどう向き合うか
今号のポイント
- コリックはWesselの「3の法則」で定義され、生後3〜4ヶ月で自然に消失します
- PURPLE Cryingの特徴を知り、5Sのテクニックで対応しましょう
- 「あなたのせいではない」、揺さぶりは絶対にしないでください
こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。
「うちの子、何をしても泣き止まないんです…」と、途方に暮れた表情で外来にいらっしゃるお父さん・お母さんは少なくありません。今号では、新生児期〜生後数ヶ月のお子さんに見られるコリック(3ヶ月コリック)について、最新の知見とともにお伝えします。
Q1. コリックとは何ですか?
お母さん:2ヶ月の娘がほぼ毎日夕方になると激しく泣きます。ミルクもおむつも問題ないのに…これって病気ですか?
おかもん先生:それはおそらく「コリック(乳児疝痛)」と呼ばれる状態です。古典的にはWesselの3の法則で定義されています[1]。
- 1日3時間以上泣く
- 週3日以上泣く
- 3週間以上続く
生後2〜3週ごろに始まり、生後3〜4ヶ月で自然に消失するのが典型的な経過です。健康な赤ちゃんの約10〜40%に見られるとされ、決して珍しいことではありません[2]。
ポイント コリックは病気ではなく、健康な赤ちゃんにも起こる生理的現象です。3〜4ヶ月で自然に治まります。
Q2. コリックの原因は何ですか?
お父さん:原因がわかれば対処しやすいのですが…。
おかもん先生:実は、コリックの原因は現在も完全には解明されていません。いくつかの仮説が提唱されています[3]。
- 2腸管ガス説:腸内のガスが不快感を引き起こす
- 4腸内細菌叢の未熟さ:腸内フローラのバランスが整っていない
- 6神経系の未熟説:外部刺激に対する神経系の過敏反応
- 8消化管ホルモンの変動:モチリンなどの消化管ホルモンが関与
- 10親の不安やストレスの伝播:養育環境の影響
いずれも決定的なエビデンスはなく、複数の要因が絡み合っていると考えられています。重要なのは、親の育て方が原因ではないということです。
ポイント コリックの原因は不明ですが、親の育て方のせいではありません。自分を責めないでください。
Q3. PURPLE Cryingとは何ですか?
お母さん:健診で「PURPLEクライング」という言葉を聞いたのですが…。
おかもん先生:PURPLE Cryingは、Ronald Barr博士が提唱した、乳児期の泣きの特徴を表す頭文字です[4]。
英語
- P
- Peak of crying
- U
- Unexpected
- R
- Resists soothing
- P
- Pain-like face
- L
- Long lasting
- E
- Evening
日本語
- P
- 生後2ヶ月がピーク
- U
- 予測不能に泣く
- R
- なだめても泣き止まない
- P
- 痛そうな表情
- L
- 長時間泣く
- E
- 夕方に多い
これは正常な発達の一部であり、すべての赤ちゃんに程度の差こそあれ見られるものです。「うちの子だけがおかしい」わけではありません。
ポイント PURPLE Cryingは正常な発達過程です。泣きのピークは生後2ヶ月頃で、その後徐々に減っていきます。
Q4. どう対処すればいいですか?揺さぶってはダメですか?
お父さん:もう限界で、つい強く揺すりたくなることがあります…。
おかもん先生:お気持ちはよくわかります。しかし、赤ちゃんを激しく揺さぶることは絶対にしないでください。揺さぶられっ子症候群(Abusive Head Trauma)を引き起こし、脳に重大な損傷を与える危険があります[5]。
対処法として、ハーヴェイ・カープ博士の5Sが有効とされています[6]。
- 2Swaddling(スワドリング):おくるみで包む
- 4Side/Stomach(横向き・うつぶせ抱き):抱っこの際に横向きに(※寝かせる時は必ず仰向け)
- 6Shushing(シューシング):「シーッ」と耳元で白色雑音を出す
- 8Swinging(揺らし):小刻みにやさしく揺らす
- 10Sucking(おしゃぶり):吸啜させる
そして何より大切なのは、「限界を感じたら赤ちゃんを安全な場所に寝かせて、その場を離れる」ことです。数分間でも離れることで冷静さを取り戻せます。
ポイント 限界を感じたら赤ちゃんを安全な場所に寝かせ、一度その場を離れましょう。絶対に揺さぶらないでください。
まとめ
- コリックはWesselの3の法則(1日3時間・週3日・3週間以上の泣き)で定義される
- 生後2〜3週で始まり、3〜4ヶ月で自然に消失する
- 原因は不明だが、親の育て方のせいではない
- PURPLE Cryingの特徴を理解し、正常な発達過程と捉える
- 5S(スワドリング・横向き・シューシング・揺らし・おしゃぶり)で対応
- 限界を感じたら赤ちゃんを安全な場所に寝かせてその場を離れる
- 絶対に揺さぶらない
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