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「鼻血が止まらない!」、慌てないための鼻血の正しい知識
Vol.43救急

「鼻血が止まらない!」、慌てないための鼻血の正しい知識

子どもの鼻血の正しい止め方と注意点

救急1〜3歳・3〜6歳・6〜12歳11
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 10·Q&A 5問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • 子どもの鼻血のほとんどは心配ない。鼻の入口の血管が切れただけ
  • 正しい止め方は「座って少し前かがみ、小鼻を10分つまむ」
  • 上を向く、ティッシュを詰めるは逆効果

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.43

「鼻血が止まらない!」、慌てないための鼻血の正しい知識

今号のポイント

  1. 2
    子どもの鼻血のほとんどは心配ない。鼻の入口の血管が切れただけ
  2. 4
    正しい止め方は「座って少し前かがみ、小鼻を10分つまむ」
  3. 6
    上を向く、ティッシュを詰めるは逆効果

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「突然鼻血が出て、なかなか止まらなくて……」、鼻血は子どもによくあるトラブルですが、いざ出ると慌ててしまいますよね。実は、子どもの鼻血の95%以上は、鼻の入口付近の毛細血管が切れただけで、心配いりません [1]。

今回は、鼻血の原因、正しい止め方、受診の目安、予防法について、よくある質問にお答えします。

Q1.「子どもの鼻血って、どうして起こるんですか?」

——うちの子、しょっちゅう鼻血を出すんです。何か病気があるんでしょうか?

子どもの鼻血の95%以上は、鼻をいじったり乾燥したりで起こる単純な鼻出血です [1]。病気が原因のことはごく稀です

子どもの鼻血の原因:

① 鼻をいじる(最も多い)[1]

  • キーゼルバッハ部位(鼻の入口から1cm程度の場所)の血管が切れる
  • 子どもは無意識に鼻をほじったり、こすったりする
  • 鼻炎で鼻がむずむずする → いじる → 鼻血

② 鼻の粘膜の乾燥 [2]

  • 冬の暖房、夏の冷房で室内が乾燥
  • 鼻の粘膜が乾燥 → ひび割れ → 血管が切れやすい
  • 冬に鼻血が増える理由

③ 鼻炎・風邪 [3]

  • アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎で鼻の粘膜が腫れる
  • 鼻をかむ、鼻をいじる回数が増える → 鼻血

④ ぶつけた・転んだ

  • 顔面打撲で鼻血が出ることも
  • ほとんどは一時的

キーゼルバッハ部位とは?

  • 鼻の入口から1cm程度の場所
  • 左右の鼻中隔(鼻の真ん中の壁)の前方
  • 複数の動脈が集まっているため、血管が豊富 [1]
  • 子どもの鼻血の90%以上がここから [1]

子どもは鼻の粘膜が薄く、血管が浅いところにあります。だから、ちょっといじっただけで血が出やすいんです [2]。逆に言えば、病気が原因のことはほとんどありません [1]

ポイント

  • 子どもの鼻血の95%以上は心配ない [1]
  • キーゼルバッハ部位(鼻の入口付近)の血管が切れただけ [1]
  • 原因: 鼻をいじる、乾燥、鼻炎 [1][2][3]

Q2.「鼻血が出た時、どうすればいいですか?」

——いつも上を向かせて首をトントンしていたんですが、正しいんですか?

それ、間違った方法です。血が喉に流れて吐いたりむせたりします [4]。正しい止め方を説明しますね

正しい鼻血の止め方(4ステップ):

ステップ1: 座って少し前かがみ

  • 椅子に座る、または立つ [4]
  • 少し前かがみになる(下を向く)
  • 血が喉に流れないようにする

ステップ2: 小鼻をつまむ

  • 小鼻(鼻の柔らかい部分)を親指と人差し指でしっかりつまむ [4]
  • 硬い鼻骨の部分ではなく、柔らかい部分をつまむ
  • 10分間つまみ続ける [4]

ステップ3: 口で静かに呼吸

  • 鼻は詰まっているので、口で呼吸
  • 落ち着いて深呼吸

ステップ4: 10分経ったら離して様子を見る

  • 10分後に手を離す [4]
  • まだ出血している場合は、さらに10分つまむ
  • 出血が止まったら、1時間は安静に

『座って前かがみ、小鼻を10分つまむ』。これだけ覚えてください [4]

やってはいけないこと:

間違った方法なぜダメか
上を向く [4]血が喉に流れる → 吐く、窒息の危険
首をトントン [4]止血効果なし。むしろ振動で悪化
ティッシュを詰める [4]取る時に再出血。詰め込みすぎて取れなくなることも
横になる血が喉に流れやすい
鼻をかむ [5]かさぶたが取れて再出血

——上を向くのは間違いだったんですね!

昔からの民間療法ですが、間違いです。血が喉に流れると吐いたりむせたりします [4]。必ず前かがみで

冷やすのは効果ある?

  • 額や首の後ろを冷やすのは効果なし [5]
  • 冷やすなら鼻の付け根(目と目の間)を冷やす [5]
  • ただし、小鼻をつまむ方が効果的 [4]

ポイント

  • 正しい止血法: 座って前かがみ、小鼻を10分つまむ [4]
  • 上を向く、ティッシュを詰める、首をトントンは逆効果 [4]
  • 10分経っても止まらない場合はさらに10分つまむ [4]

Q3.「こんな鼻血は危ない、という目安はありますか?」

——どんな時に病院に行くべきですか?

ほとんどの鼻血は心配ありませんが、以下の場合はすぐに受診してください [6]

すぐに受診すべき鼻血:

緊急度:高

  • 20分以上圧迫しても止まらない [6]
  • 大量の出血(コップ1杯以上)
  • 顔色が悪い、ぐったりしている [6]
  • 息が苦しそう(血を飲み込んで気道閉塞)
  • 顔面を強く打った後の鼻血 [7]

緊急度:中

  • 週に3回以上繰り返す [6]
  • 両側の鼻から同時に出血
  • 30分以上出血が続く [6]
  • 鼻血以外に歯茎からの出血、あざができやすい [8]

緊急度:低(翌日〜数日以内に受診)

  • 月に1回以上繰り返す
  • 鼻血の後、いつも吐く(血を飲み込んでいる)
  • 鼻が詰まって苦しそう
  • 鼻血が10分の圧迫で止まるが、頻繁

病気が隠れている鼻血(まれ):

病気特徴
血液凝固異常 [8]止まりにくい、歯茎からも出血、あざが多い
血小板減少症 [8]鼻血以外にも出血しやすい
白血病 [8]鼻血 + 発熱、体重減少、リンパ節腫脹
鼻腔内腫瘍(極めてまれ)[7]片側だけ頻繁、鼻詰まりも

これらの病気が原因の鼻血は全体の1%未満です [1]。でも、頻繁に繰り返す、止まりにくい、他の症状もある場合は、念のため受診して血液検査をすることがあります [8]

ポイント

  • 20分以上圧迫しても止まらない場合はすぐ受診 [6]
  • 週3回以上繰り返す場合は受診 [6]
  • 鼻血以外に出血しやすい、あざが多い場合は要注意 [8]
  • 病気が原因の鼻血は全体の1%未満 [1]

Q4.「鼻血を繰り返さないための予防法はありますか?」

——うちの子、毎週のように鼻血を出すんです。予防する方法はありますか?

はい、いくつか予防法があります

鼻血予防の5つのポイント:

① 鼻をいじらない

  • 爪を短く切る [5]
  • 鼻がむずむずする時は、鼻の外から優しくさする
  • 寝ている間に無意識にいじる子は、手袋をして寝る

② 室内の乾燥を防ぐ

  • 加湿器を使う(湿度50〜60%が目安)[2]
  • 洗濯物を部屋干し
  • 濡れタオルを干す

③ 鼻の保湿

  • ワセリンを綿棒で鼻の入口に薄く塗る [5]
  • 1日2回(朝・寝る前)
  • 鼻の粘膜の乾燥を防ぐ

④ 鼻炎の治療

  • アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎があればしっかり治療 [3]
  • 鼻炎 → 鼻をいじる → 鼻血の悪循環を断つ

⑤ 鼻血が止まった後のケア

  • 鼻血が止まった後、1時間は安静に [5]
  • 当日は激しい運動を避ける [5]
  • 鼻をかまない(かさぶたが取れる)[5]
  • 熱い風呂、長風呂を避ける(血管が拡張して再出血)[5]

特に室内の乾燥対策と鼻の保湿(ワセリン)が効果的です [2][5]。冬場は暖房で室内が乾燥しやすいので、加湿器を使ってください

鼻の粘膜を焼く治療(電気凝固術):

  • 何度も繰り返す場合、耳鼻科で出血しやすい血管を焼く治療がある [9]
  • 局所麻酔で行う
  • 再発率が大幅に下がる [9]
  • ただし、小学生以上で協力できる子に限る

ポイント

  • 爪を短く、室内を加湿、鼻にワセリン [2][5]
  • 鼻炎があればしっかり治療 [3]
  • 鼻血の後は1時間安静、鼻をかまない、熱い風呂を避ける [5]
  • 繰り返す場合は耳鼻科で電気凝固術も選択肢 [9]

Q5.「鼻血の時、やっていいこと・ダメなことを教えてください」

——鼻血の後、普通に生活していいんですか?

鼻血が止まった後も、注意すべきことがあります

鼻血の後の生活(当日):

OK?

普通に食事
学校・保育園
お風呂(ぬるめ)
熱い風呂、長風呂
×
激しい運動
×
鼻をかむ
×
鼻をほじる
×
うつ伏せで寝る
×

理由

普通に食事
問題なし
学校・保育園
出血が止まっていればOK
お風呂(ぬるめ)
シャワー程度ならOK [5]
熱い風呂、長風呂
血管拡張 → 再出血 [5]
激しい運動
血圧上昇 → 再出血 [5]
鼻をかむ
かさぶたが取れる → 再出血 [5]
鼻をほじる
再出血の原因 [5]
うつ伏せで寝る
鼻に圧力 → 再出血

鼻血の後のケア(翌日以降):

  • かさぶたが自然に取れるまで鼻をいじらない [5]
  • 1週間程度はかさぶたが残ることもある
  • 無理に取ると再出血
  • 鼻の保湿(ワセリン)を続ける [5]

鼻血で吐いた場合:

  • 血を飲み込んで吐くことがある
  • コーヒーのような色の嘔吐(血液が胃酸で変色)
  • 吐いた後は普通に食事してOK
  • 何度も吐く、腹痛がある場合は受診

鼻血そのものは怖くありませんが、血を飲み込むと気持ち悪くなって吐くことがあります。だから、前かがみで血を喉に流さないことが大切なんです [4]

ポイント

  • 鼻血の後は1時間安静、激しい運動を避ける [5]
  • 鼻をかむ、ほじる、熱い風呂は再出血の原因 [5]
  • かさぶたは自然に取れるまで触らない [5]
  • 血を飲み込んで吐くことがある(心配ない)

まとめ

  • 子どもの鼻血の95%以上は心配ない。鼻の入口の血管が切れただけ [1]
  • 正しい止血法: 座って前かがみ、小鼻を10分つまむ [4]
  • 上を向く、ティッシュを詰める、首をトントンは逆効果 [4]
  • 20分以上圧迫しても止まらない場合はすぐ受診 [6]
  • 予防: 爪を短く、室内を加湿、鼻にワセリン [2][5]

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