愛育病院 小児科おかもん だより Vol.31
「保育園デビュー後、毎週熱を出すんです」、風邪ラッシュは子どもの成長
今号のポイント
- 2保育園入園後、月2〜3回風邪をひくのは正常。免疫が育っている証拠
- 4風邪をひく回数は1〜2年でピークアウトし、徐々に減っていく
- 6仕事と育児の両立が辛いときは、一人で抱え込まず周囲に頼る
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「保育園に入れてから、毎週のように熱を出すんです」「もう何回休んだかわかりません」。復職直後のお父さん・お母さんから、外来でいちばんよく聞く悩みです。
今回は、保育園入園後の「風邪ラッシュ」の実態と意味、そして乗り切るヒントをまとめます。
Q1.「保育園に入れてから、毎週のように風邪をひくんですが、これは普通ですか?」
——4月に保育園に入れたんですが、もう5回も熱を出しました。うちの子、体が弱いんでしょうか?
全く普通です。保育園デビュー後に風邪を繰り返すのは、免疫が働き始めているサインのひとつです [1]
保育園デビュー後の風邪の頻度:
平均風邪回数(年間)
- 0〜2歳
- 6〜8回
- 3〜5歳
- 5〜7回
- 小学生
- 3〜5回
保育園入園1年目
- 0〜2歳
- さらに多くなることが報告されている [1][2]
- 3〜5歳
- 徐々に減少
- 小学生
- さらに減少
つまり、入園1年目は月に1回以上風邪をひくのが当たり前 なのです [2]。特に0〜1歳児クラスは、まだ免疫が未熟なので、ウイルスに出会うたびに発熱・鼻水・咳といった症状が出ます
なぜ保育園で風邪が多いのか?
- 2至近距離で遊ぶ: 保育室は子どもたちの顔と顔の距離が近い
- 4おもちゃの共有: よだれや鼻水がついたおもちゃを触り、口に入れる
- 6免疫の未熟さ: 2歳未満はまだ多くのウイルスに初めて出会う [3]
- 8手洗いができない: 0〜1歳児は自分で手を洗えない
『体が弱い』のではなく『免疫を鍛えている』途中です [3]。早くから集団生活を始めた子は、小学校入学後の風邪がむしろ減るという報告もあります [4]
ポイント
- 保育園入園1年目は 月1回以上の風邪が普通 [1][2]
- 免疫が正常に働いているサイン。体が弱いわけではない [3]
- 今の風邪が、将来の風邪を減らす可能性がある [4]
Q2.「いつまでこの風邪ラッシュは続くんですか?」
——もう心が折れそうです……。いつになったら落ち着くんでしょうか?
辛いですよね。でも、必ず終わりは来ます。データで整理します
風邪の頻度の推移(保育園入園後):
風邪の頻度
- 入園〜6ヶ月
- 月2〜3回
- 入園6ヶ月〜1年
- 月1〜2回
- 入園1〜2年目
- 月1回程度
- 3歳以降
- 年5〜7回
特徴
- 入園〜6ヶ月
- ピーク [5]
- 入園6ヶ月〜1年
- やや減少
- 入園1〜2年目
- 明らかに減少 [5]
- 3歳以降
- 安定
つまり、最初の半年が最も辛い時期です [5]。でも、1年経つ頃には明らかに風邪の回数が減り、2年目にはさらに減ります。これは、免疫が様々なウイルスに対応できるようになったからです [4]
「早く入れたら風邪も早く終わる」は本当?
- 本当です [4]。 0歳で入園した子は、0〜1歳で風邪ラッシュを経験
- 3歳で入園した子は、3〜4歳で同じ道を通る
- 小学校入学時点では、どちらも風邪の頻度はほぼ同じ [4]
つまり、風邪ラッシュは「いつ通るか」の違いで、避けては通れない道なのです [4]。ただし、小学校入学前に免疫を獲得しておくことで、入学後の欠席は減ります
ポイント
- 最初の半年が最もきつい。その後徐々に減る [5]
- 1〜2年で明らかに減少 [5]
- 早く入園しても遅く入園しても、風邪ラッシュは必ず通る道 [4]
Q3.「こんなに休んで、仕事を続けられるか不安です……」
——もう何回も『今日お迎えお願いします』の電話がかかってきて……。職場に申し訳なくて、このままでは仕事を続けられない気がします
その不安、本当によくわかります。でも、あなただけではありません。 多くの保護者が同じ悩みを抱えています [7]
保育園入園1年目は、多くの保護者が頻繁な欠勤・早退を経験しています。退職を考えたという声や、パートナーとの衝突が増えたという声も珍しくありません [7]。あなたが感じている辛さは、多くの保護者が通る道なのです。そして、多くの方がその時期を乗り越えて、仕事を続けています
乗り切るための5つのヒント:
1. 病児保育・ファミリーサポートを事前登録
- 保育園から「お迎え」の電話が来る前に、病児保育を探しておく
- 港区の病児保育施設リストはVol.008 港区の子育て支援まとめ参照
- ファミリーサポートに登録し、いざという時のサポーターを確保
2. 夫婦・パートナーで役割分担を明確に
- 「今週は月水金が私、火木がパートナー」など、事前に決めておく
- 当日になってから「どっちが休む?」の喧嘩は避ける
3. 職場に正直に伝える
- 「入園1年目は頻繁に休むことがある」と事前に伝える
- 在宅勤務・時短勤務の活用
- 「申し訳ない」と謝りすぎない。権利を行使しているだけ
4. 完璧を求めない
- 家事は最低限でOK
- 洗濯物は畳まなくても死なない
- 夕飯は冷凍食品・デリバリーでOK
5. 「いつか終わる」を信じる
- 今が最もきつい時期。必ず楽になる [5]
- 2年目には「あの時は大変だったね」と笑える日が来る
一番大切なのは、一人で抱え込まないことです。パートナー、両親、職場、病児保育、ファミリーサポート、頼れるものは全部頼ってください。頼ることは弱さではなく、賢さです [7]
ポイント
- 入園1年目、多くの保護者が頻繁に欠勤・早退を経験 [7]
- あなただけではない。多くの保護者が同じ悩みを抱えている
- 病児保育・ファミリーサポートを事前登録
- 頼ることは弱さではなく、賢さ [7]
Q4.「風邪をひくたびに抗生物質を出されるんですが、必要ですか?」
——保育園から呼び出しがあって受診すると、いつも抗生物質を出されます。こんなに飲んで大丈夫でしょうか?
非常に重要な質問です。風邪(ウイルス性感染症)に抗生物質は効きません [9]。むしろ、不要な抗生物質の使用は避けるべきです
風邪と抗生物質の真実:
原因
- 風邪(感冒)
- ウイルス
- インフルエンザ
- ウイルス
- 急性気管支炎
- ほとんどウイルス
- 溶連菌感染症
- 細菌
- 中耳炎
- 一部は細菌
抗生物質の効果
- 風邪(感冒)
- 効かない [9]
- インフルエンザ
- 効かない
- 急性気管支炎
- 効かない [10]
- 溶連菌感染症
- 必要
- 中耳炎
- ️ 重症時のみ必要 [11]
抗生物質を使いすぎるリスク:
- 2薬剤耐性菌の増加 [12]
- 抗生物質が効かない細菌が増える
- 将来、本当に必要なときに効かなくなる
- 4副作用
- 下痢・発疹・腹痛
- 6腸内細菌叢の乱れ [13]
- 善玉菌まで殺してしまう
保育園に早く復帰したい気持ちから、「とりあえず抗生物質」を求める保護者もいます。でも、風邪には効かないのです [9]。詳しくはVol.012 風邪に抗生物質の誤解も参照してください
必要な治療:
- 対症療法: 解熱剤、鼻水の吸引、水分補給
- 十分な休養: これが最も大切 [14]
ポイント
- 風邪に抗生物質は効かない [9]
- 不要な抗生物質は 薬剤耐性菌のリスク [12]
- 必要なのは 対症療法と休養 [14]
Q5.「保育園を休ませるべきかどうか、いつも迷います」
——朝、微熱があるんですが、機嫌は悪くないんです。保育園に連れて行くか、休ませるか、いつも迷います……
悩ましいですよね。明確な基準を示します
保育園を休ませる基準:
絶対に休ませるべき
- 38℃以上の発熱(解熱剤を使わずに)
- 嘔吐・下痢が続いている
- 食事・水分がほとんど摂れない
- ぐったりしている(機嫌が悪い、元気がない)
- 呼吸が苦しそう
- 医師から登園許可が出ていない
登園してもOK(保育園と相談)
- 37.5℃未満の微熱で、機嫌が良い
- 鼻水・軽い咳があるが、食事・水分が摂れている
- 解熱後24時間以上経過している(インフルエンザ等を除く)
保育園側の本音(保育士の声):
- 「微熱で機嫌が良ければ、預かれます」
- 「でも、保育中に38℃を超えたらお迎えをお願いします」
- 「何より、無理して連れてきて悪化するほうが心配」
迷ったときは、「自分がその状態で仕事に行けるか」を基準に考えてみてください [15]。大人だって、38℃の熱があったら仕事は休みますよね。子どもも同じです
ポイント
- 38℃以上の発熱、嘔吐・下痢、ぐったりは休ませる
- 37.5℃未満で機嫌が良ければ登園OK(保育園と相談)
- 迷ったら「自分がその状態で仕事に行けるか」を基準に [15]
まとめ
- 保育園入園1年目は 月1回以上の風邪が普通。免疫が育っているサイン
- 最初の半年が最もきつい。1〜2年で明らかに減少する
- 多くの保護者が 頻繁な欠勤・早退を経験している
- 病児保育・ファミリーサポートを事前登録。頼ることは弱さではない
- 風邪に抗生物質は効かない。必要なのは対症療法と休養
- 登園の判断: 38℃以上、嘔吐・下痢、ぐったりは休ませる
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