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ナッツアレルギーは予防できる。LEAP研究が変えた「早期導入」の新常識
Vol.481アレルギー

ナッツアレルギーは予防できる。LEAP研究が変えた「早期導入」の新常識

ピーナッツ・ナッツアレルギーの予防法をLEAP試験のエビデンスに基づいて解説。早期導入の具体的な進め方

アレルギー0〜6ヶ月・6〜12ヶ月・6
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 問収録

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この記事のポイント

  • LEAP試験により、高リスク児への早期ピーナッツ導入でアレルギー発症が約80%低下することが証明された
  • 粒のままのナッツは誤嚥リスクがあるため5歳まで禁止。ペースト状で安全に導入できる
  • ナッツアレルギーは自然寛解率が約20%と低いため、予防が特に重要

小児科おかもん先生 だより Vol.481

ナッツアレルギーは予防できる。LEAP研究が変えた「早期導入」の新常識

今号のポイント

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    LEAP試験により、高リスク児への早期ピーナッツ導入でアレルギー発症が約80%低下することが証明された
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    粒のままのナッツは誤嚥リスクがあるため5歳まで禁止。ペースト状で安全に導入できる
  3. 6
    ナッツアレルギーは自然寛解率が約20%と低いため、予防が特に重要

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「ナッツアレルギーが怖いので、当分ナッツは与えないつもりです」。こうした声を外来でよく耳にします。ところが、2015年に発表されたLEAP試験の結果は、この常識を覆しました。ナッツを「避ける」よりも「早く少量から食べさせる」ほうがアレルギーを予防できることが、質の高い臨床研究で明らかになったのです。

今回は、ナッツアレルギーの予防と安全な導入法についてお伝えします。

LEAP試験はどんな研究ですか

LEAP(Learning Early About Peanut Allergy)試験は、イギリスで行われた画期的なランダム化比較試験です [1]。

項目内容
対象重症湿疹または卵アレルギーのある高リスク乳児640名
方法生後4〜11ヶ月からピーナッツ製品を食べる群 vs 完全除去群
結果5歳時のピーナッツアレルギー発症率: 食べた群3.2% vs 除去群17.2%
意義早期摂取で約80%のリスク低下

さらに、LEAP-On研究(追跡研究)では、その後1年間ピーナッツを食べなくても予防効果が持続していたことが確認されています [2]。そして2024年に発表された思春期までの追跡データでも、早期導入群の予防効果は持続していました。

この結果を受けて、2017年に米国NIAID(国立アレルギー感染症研究所)は「高リスク乳児には生後4〜6ヶ月からピーナッツ製品を導入すべき」というガイドラインを発表しています [3]。

日本の子どもにも当てはまりますか

日本ではピーナッツアレルギーの頻度はアメリカよりも低いですが、近年増加傾向にあります。また、クルミやカシューナッツなどの木の実(ツリーナッツ)アレルギーが急速に増えており、特にクルミは消費者庁が2025年から特定原材料(表示義務)に追加しました [4]。

日本におけるナッツアレルギーの現状:

種類特徴
ピーナッツ(落花生)豆科。日本でも増加傾向
クルミ木の実類で最も報告が増えている。2025年から表示義務化
カシューナッツクルミに次いで多い。ピスタチオと交差反応あり
アーモンド比較的まれだが増加中

食物アレルギー診療ガイドライン2021では、「アレルギー予防目的での特定食物の除去は推奨しない」と明記されています [4]。つまり、ナッツだからといって避ける必要はないということです。

⚠️粒のままのナッツは絶対に与えないでください

5歳未満の子どもに粒のままのナッツを与えると、気道に詰まって窒息する危険があります。消費者庁も繰り返し注意喚起をしています。ナッツの導入には必ずペースト状を使ってください。

ナッツの安全な始め方を教えてください

ピーナッツの導入方法 [3]:

ステップ内容
1ピーナッツバター(粒なしのスムースタイプ)を用意
2小さじ1/4程度を、お湯や離乳食に混ぜてペースト状に
3体調のよい日の午前中に、少量から試す
4問題なければ週2〜3回、少量ずつ継続

高リスク児(重症湿疹、他の食物アレルギーがある)の場合は、導入前にアレルギー専門医に相談することが推奨されています [3]。

木の実類についても同様に、ペースト状やパウダー状にして少量から始めることが基本です。

💡ピーナッツバターは粒なしを

市販のピーナッツバターを選ぶ際は、粒入り(チャンキー)ではなく粒なし(スムース)を選んでください。添加物の少ないシンプルなものがおすすめです。

ナッツアレルギーは治りにくいのですか

ナッツアレルギーの自然寛解率は、卵や牛乳に比べて低いことが知られています [5]。

食物自然寛解率
約80%(就学前まで)
牛乳約90%(就学前まで)
小麦約70〜80%(学童期まで)
ピーナッツ約20%(10歳まで)
木の実類約10%

だからこそ、予防が特に大切なのです。一度発症すると長く付き合うことになるナッツアレルギーを、早期導入という方法で予防できる可能性があることは、大きな希望です。

ナッツアレルギーと診断された場合は、エピペンの処方と使い方の練習、緊急時の対応計画の作成を主治医と相談してください。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

私が研修医だった頃は「ナッツは1歳過ぎてから」と指導されていました。それがLEAP試験の登場で、医学の常識が大きく変わりました。新しいエビデンスに基づいて行動を変えることは、医師にも保護者にも勇気がいることです。ただ、「避けることが安全」とは限らないことを、データは明確に示しています。高リスクのお子さんほど、専門医と相談しながら早期導入を検討してみてください。

まとめ

  • LEAP試験で早期ピーナッツ導入によるアレルギー約80%低下が証明された
  • 日本でもクルミ、カシューナッツなどの木の実アレルギーが増加中
  • 粒のままのナッツは5歳未満に与えてはいけない(誤嚥リスク)
  • ナッツアレルギーは自然寛解率が約20%と低く、予防が重要
  • 高リスク児は専門医に相談の上、早期導入を検討

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次号もお楽しみに。

おかもん先生

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