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起立性調節障害(OD)。朝起きられない子どもの体で何が起きているか
Vol.492心臓・血管

起立性調節障害(OD)。朝起きられない子どもの体で何が起きているか

思春期に多い起立性調節障害は自律神経の病気です。怠けではない理由と、家庭でできる対応を解説します

心臓・血管5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 問収録

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この記事のポイント

  • 起立性調節障害は中学生の約10%に見られる自律神経の疾患
  • 夕方に元気になるのは怠けの証拠ではなく、ODの典型的な特徴
  • 治療の基本は水分・塩分摂取と生活リズムの調整、学校との連携

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.492

起立性調節障害(OD)。朝起きられない子どもの体で何が起きているか

今号のポイント

  1. 2
    起立性調節障害は中学生の約10%に見られる自律神経の疾患
  2. 4
    夕方に元気になるのは怠けの証拠ではなく、ODの典型的な特徴
  3. 6
    治療の基本は水分・塩分摂取と生活リズムの調整、学校との連携

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「朝どんなに起こしても起きない」「午前中はぐったりしているのに、夕方になると元気」。こうしたお子さんを見て、怠けているのではないかと不安になる保護者の方は少なくありません。今号では、起立性調節障害(OD)の仕組みと対応について、要点を絞ってお伝えします。

起立性調節障害とは何ですか

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation: OD)は、立ち上がったときに自律神経による循環調節がうまく働かず、脳への血流が一時的に低下する病態です [1]。

項目内容
好発年齢10〜16歳(思春期)
有病率小学生の約5%、中学生の約10% [1]
性差女子にやや多い(男女比 1:1.5〜2)
本質自律神経の調節不全による身体の病気

人は立ち上がると重力で血液が下半身に集まります。通常は自律神経がすぐに反応して心拍数を上げたり血管を収縮させたりして脳血流を維持しますが、ODではこの反応が遅れたり不十分だったりします [1][2]。

4つのサブタイプがあります

新起立試験で客観的に評価でき、以下の4つのサブタイプに分類されます [1][3]。

サブタイプ特徴
起立直後性低血圧(INOH)起立直後に血圧が大きく低下。最も多い
体位性頻脈症候群(POTS)起立時に心拍が過剰に上昇(35拍/分以上)
神経調節性失神(NMS)起立中に急に血圧が低下し失神する
遷延性起立性低血圧起立3〜10分後にじわじわ血圧が低下
💡

診断には新起立試験(10分間の臥位安静後に起立させ、血圧と心拍を経時的に測定する検査)が有用です。かかりつけ小児科で実施できることが多いので、気になる症状があれば相談してください。

家庭でできる対応

治療の基本は非薬物療法です [1][4]。

対策具体的な方法
水分摂取1日1.5〜2リットルを目標に、こまめに飲む
塩分摂取やや多めの塩分(1日10g程度)を意識する
起き方の工夫急に立ち上がらず、30秒ほど座位を挟んでからゆっくり立つ
弾性ストッキング下半身への血液のたまりを防ぐ
適度な運動散歩や軽い筋トレで下肢の筋ポンプ機能を維持する
規則正しい生活夜更かしを避け、起床時間を一定にする(ただし無理強いしない)

薬物療法としては、ミドドリン(昇圧薬)などが使われることがありますが、非薬物療法を十分に行ったうえで追加するのが基本です [4]。

⚠️

ODは不登校の原因の30〜40%を占めるとされています [5]。「怠けている」と叱り続けると、自己肯定感の低下や二次的なうつにつながることがあります。まずは小児科で新起立試験を受けてみてください。

学校との連携が大切です

ODの子どもは午前中に症状が強く、午後から改善する傾向があります。そのため、以下のような配慮を学校と共有することが回復を助けます。

学校への相談内容具体例
遅刻の柔軟な対応午後からの登校を認めてもらう
体育の配慮長時間の起立や暑い環境での活動を避ける
進路への影響の最小化出席日数の扱いについて相談する
教職員の理解「怠けではなく身体の病気」であることを伝える
コンコン先生
🏥

おかもん先生より

「先生、この子は本当に病気なんですか。夕方は元気にゲームしてるんです」。お父さんから真剣な表情でそう聞かれたことがあります。新起立試験のデータをお見せして、「立ち上がったときに血圧がここまで下がっています。脳に血が足りていない状態なんです」とお伝えしたところ、お父さんの表情が変わりました。「朝怒鳴ってしまっていました。知らなかった」と。数値で見える形にすることで、家族の理解が変わり、子どもの居場所が戻ることがあります。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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