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不登校の初期対応。行き渋り、腹痛、朝起きられないとき
Vol.491メンタルヘルス

不登校の初期対応。行き渋り、腹痛、朝起きられないとき

不登校は怠けではなく、子どもからのSOSです。初期の行き渋りに気づいたときの対応を整理します

メンタルヘルス5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 問収録

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この記事のポイント

  • 小中学校の不登校児童生徒数は約34万6千人(令和5年度)で過去最多
  • 朝の腹痛や頭痛は仮病ではなく、心身のストレス反応であることが多い
  • 初期対応は「原因追及」より「安心の確保」を優先する

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.491

不登校の初期対応。行き渋り、腹痛、朝起きられないとき

今号のポイント

  1. 2
    小中学校の不登校児童生徒数は約34万6千人(令和5年度)で過去最多
  2. 4
    朝の腹痛や頭痛は仮病ではなく、心身のストレス反応であることが多い
  3. 6
    初期対応は「原因追及」より「安心の確保」を優先する

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「最近、朝になると子どもがお腹が痛いと言って学校に行きたがらない」。こうした相談を外来で受けることが増えています。令和5年度の文部科学省調査では、小中学校の不登校児童生徒数は約34万6千人と過去最多を記録しました [1]。今号では、行き渋りの初期サインに気づいたときの対応を整理します。

行き渋りの初期サイン

不登校は突然始まるのではなく、多くの場合は前兆があります [2]。

段階サイン
前兆期日曜の夜に元気がなくなる、持ち物の準備を嫌がる、「明日学校嫌だな」と漏らす
初期朝の腹痛・頭痛・吐き気、登校時間になると体調が悪化する、遅刻が増える
中期特定の曜日や授業を避ける、保健室登校、友人との関わりを避ける
固定期登校できない日が続く、外出を避ける、昼夜逆転
⚠️

朝の身体症状(腹痛、頭痛、吐き気)は、検査では異常が出ないことが多いですが、子どもにとっては本当につらい症状です。「仮病でしょ」と決めつけると、子どもは症状を訴えること自体をやめてしまい、SOSが見えなくなります。

身体症状の背景には何がありますか

学校に行けない子どもの身体症状には、いくつかの背景が考えられます。

背景説明
心身症ストレスが身体症状として表れる。腹痛、頭痛、微熱、嘔気が多い
起立性調節障害(OD)自律神経の調節不全により朝起きられない。思春期に多い [3]
不安症分離不安、社交不安、全般性不安が登校を困難にする [2]
発達特性感覚過敏、対人関係の困難、学習のつまずきが蓄積する
いじめ明確な理由があっても子どもが言語化できないことがある

小児科では、まず身体疾患の除外と起立性調節障害のスクリーニングを行い、必要に応じて心理的な評価につなげます。

初期対応で大切なこと

やるとよいこと避けた方がよいこと
子どもの話を否定せずに聞く「なぜ行けないの」と原因を問い詰める
「つらいんだね」と気持ちを受け止める「みんな行ってるでしょ」と比較する
かかりつけ医に身体症状を相談する「気合いで治る」と精神論に頼る
学校の担任やスクールカウンセラーと連携する登校を無理強いする
家庭を安全な場所として維持する不登校を責める、罰を与える

認知行動療法(CBT)に基づく段階的な学校復帰プログラムが有効とされており、家族療法を組み合わせることで親が無意識に回避行動を強化してしまうパターンを修正できます [4]。

💡

「休んでもいいよ」と伝えることは、不登校を長引かせることにはなりません。安心感を得た子どもは、自分のペースで回復に向かいやすくなります。大切なのは「学校に行くか行かないか」ではなく、「子どもの心の安全が確保されているか」です。

相談先を整理します

相談先役割
かかりつけ小児科身体症状の評価、ODのスクリーニング
スクールカウンセラー学校内での心理支援
教育相談室教育委員会が設置する相談窓口
適応指導教室(教育支援センター)学校以外の居場所
児童精神科不安症やうつの専門的な評価と治療
子ども家庭支援センター家庭環境を含めた包括的な支援

不登校の背景は一人ひとり異なります。「正解の対応」は一つではなく、子どもの状態に合わせて支援チームで考えていくことが大切です [5]。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

「お腹が痛い」と月曜の朝に来院するお子さんに、お腹のエコーをしながら「学校でなにか嫌なことある?」と聞くと、ぽつぽつと話してくれることがあります。ある子は「給食の時間が怖い」と教えてくれました。検査では異常がなくても、その子の中では確かにお腹が痛いのです。身体を診ながら心の声にも耳を傾ける。小児科はそういう場所でありたいと思っています。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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