愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.227
「膝の下が痛いです」、オスグッド病
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「練習のあと、膝のお皿の下が痛いと言うんです」、この訴えで受診されるのが、オスグッド・シュラッター病です。成長期にスポーツをする子にとても多く、膝下の出っ張り(脛骨粗面)が痛んで腫れてきます。成長が終われば痛みは落ち着くことが多いので、うまく付き合いながら乗り切るのが基本です。
Q1.「オスグッド病って、どんな病気ですか?」
——サッカーをしている息子が、膝の下を痛がります
成長期は、脛骨粗面(膝のお皿の下の骨)がまだやわらかい軟骨から骨に変わっていく途中なんですね。そこへ大腿四頭筋がつながる膝蓋腱が、ジャンプやキックで強く引っ張る。結果、脛骨粗面が部分的に剥がれるように炎症を起こすのがオスグッドです [1]
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 好発年齢 | 男児10〜15歳、女児8〜13歳 [1] |
| 多いスポーツ | サッカー、バスケ、バレー、陸上(跳躍) |
| 症状 | 膝下の痛み・腫れ・出っ張り、圧痛 |
| 両側性 | 20〜30%で両膝に出る [1] |
| 予後 | 成長板閉鎖とともに多くは軽快 [1] |
ポイント
- 大腿四頭筋が脛骨粗面を引っ張ることで起こる
- ジャンプ・ダッシュの多い競技に多い
- 両膝に出る子も2〜3割いる
Q2.「スポーツは休ませた方がいいですか?」
——試合が近いので、できれば続けさせたいのですが……
よく聞かれます。結論から言うと、完全に休まなくていいことが多いです [2]。痛みの出方を見ながら、活動量を調整していきます
| 痛みの程度 | 対応の目安 |
|---|---|
| 軽度(運動後に少し痛む) | 継続可。運動後に15〜20分アイシング |
| 中等度(運動中に痛む) | ジャンプ・ダッシュなど痛い動作を減らす |
| 重度(日常動作でも痛む) | 数週間スポーツを休止 |
『痛いけどやめたくない』と本人が言う年齢だからこそ、痛みをものさしにして本人と一緒に決めるのがコツです。我慢して続けると炎症が長引きます
ポイント
- 完全休止が必要とは限らない
- 痛みを指標に活動量を調整する
- 運動後のアイシングで翌日の痛みを減らす
Q3.「どんな治療をするんですか?」
——病院ではどんなことをしますか?
オスグッドは保存的治療が基本で、手術をすることはほぼありません [3]。家でできることが中心になります
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| アイシング | 運動直後に15〜20分、氷で冷やす |
| ストレッチ | 大腿四頭筋・ハムストリングを毎日 |
| オスグッドバンド | 膝蓋腱にかかる牽引力を分散させる |
| 鎮痛薬 | 痛みが強い時にアセトアミノフェンやイブプロフェン |
| 活動制限 | 重症時は数週間スポーツを休む |
この中でいちばん効くのは、大腿四頭筋のストレッチです。硬い太ももの前側が脛骨粗面を引っ張り続けている状態なので、そこをゆるめないと治りません。運動前後に必ずやる習慣をつけてください
ポイント
- 治療の中心は大腿四頭筋ストレッチ
- アイシングとオスグッドバンドを併用
- 手術が必要になるケースはまれ
Q4.「膝の下の出っ張りは治りますか?」
——骨が出っ張っているのが気になるみたいです
正直にお伝えすると、出っ張り自体は残ることが多いです [4]。ただ、痛みは成長が終わる頃(16〜18歳前後)には治まってきます
| 経過 | 内容 |
|---|---|
| 痛み | 骨端線閉鎖とともに軽快することが多い [4] |
| 出っ張り | 残存することが多いが機能障害はまれ |
| スポーツ復帰 | 症状消失後は競技レベルでも復帰可能 |
プロのサッカー選手やラグビー選手でも、膝下に出っ張りが残っている方はたくさんいます。見た目のコブは残ることがあっても、膝の動きや将来のスポーツ活動に支障は出にくいです
ポイント
- 痛みは成長終了とともに軽快
- 出っ張りは残ることがある
- 機能的な問題はほぼ残らない
Q5.「予防の方法はありますか?」
——下の子はまだ小さいのですが、同じようにならないか心配で
完全な予防は難しいのですが、発症や悪化を減らすポイントはあります [5]。オーバーユース(使いすぎ)を避けることが本丸です
| 予防策 | 内容 |
|---|---|
| ストレッチ | 運動前後に大腿四頭筋とハムストリングを伸ばす |
| ウォームアップ | ジャンプ系種目の前にしっかり体を温める |
| 段階的な負荷 | 急に練習量や強度を上げない |
| 休息日 | 週に1〜2日は完全休養を入れる |
| フォーム確認 | 着地・走り方のクセをコーチと確認 |
ポイント
- 大腿四頭筋の柔軟性を保つ
- 練習量の急増を避ける
- 週に1〜2日は完全休養を入れる
今号のまとめ
- オスグッド病は成長期のスポーツ少年に多い
- 膝の下の痛みと出っ張りが特徴
- ストレッチとアイシングが治療・予防の基本
- 痛みに応じて活動を調整。完全休止は必ずしも不要
- 成長終了で痛みは改善する
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- Vol.261「子どもの運動と体力」
ご質問・ご感想
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