コンテンツへスキップ
MINATON
「夜になると足が痛い!」、成長痛の正しい理解と対処法
Vol.79骨・関節

「夜になると足が痛い!」、成長痛の正しい理解と対処法

成長痛は3〜12歳に多い。夕方〜夜に両膝・ふくらはぎが痛み、翌朝には消える

骨・関節3〜6歳・6〜12歳14
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 12·Q&A 5問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • 成長痛は3〜12歳に多い。夕方〜夜に両膝・ふくらはぎが痛み、翌朝には消える
  • 「成長」が直接の原因ではない、筋疲労・過活動が有力な原因説
  • 片側だけの痛み、朝も続く痛み、腫れ・熱感がある場合は他の病気の除外が必要

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.79

「夜になると足が痛い!」、成長痛の正しい理解と対処法

今号のポイント

  1. 2
    成長痛は3〜12歳に多い。夕方〜夜に両膝・ふくらはぎが痛み、翌朝には消える
  2. 4
    「成長」が直接の原因ではない、筋疲労・過活動が有力な原因説
  3. 6
    片側だけの痛み、朝も続く痛み、腫れ・熱感がある場合は他の病気の除外が必要

こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。

「夜になると"足が痛い"と泣くんです」「毎晩のように痛がるのに、朝はケロッとしています」。外来で本当によくいただくご相談です。

いわゆる「成長痛」は、子どもの足の痛みの中で最も一般的なものです [1]。しかし、この名前のせいで「成長しているから仕方ない」と片づけられてしまいがちです。一方で、「何か重い病気ではないか」と不安になる保護者の方も少なくありません。

今回は、成長痛について正しく理解し、適切に対処するためのポイントをお伝えします。

Q1.「成長痛ってどんな症状ですか?」

——5歳の娘が、ここ数週間、寝る前に"ひざが痛い"と泣きます。でも朝になるとすっかり元気で走り回っています。これが成長痛ですか?

とても典型的な成長痛の訴えですね。成長痛は、3〜12歳のお子さんに見られる、夕方から夜間にかけての両下肢の痛みのことです [1][2]。正式な医学用語としては"Benign nocturnal limb pains of childhood"(小児の良性夜間四肢痛)とも呼ばれます [2]

成長痛の特徴 [1][2][3]詳細
好発年齢3〜12歳(ピークは4〜6歳)
頻度小児の約10〜37%が経験する
痛む時間帯夕方〜夜間(特に就寝前〜就寝中)
痛む部位両膝の前面、ふくらはぎ、太ももの前面、すねが多い
左右差両側性(左右どちらも痛むことが多い)
翌朝の状態完全に消失(朝は何事もなかったように元気)
痛みの性質深部の鈍い痛み、うずくような痛み
痛みの持続30分〜数時間
頻度週に1〜2回〜月に数回(間欠的)

大事なポイントは、"朝になると完全に消える"ということです [1]。朝起きた時に痛みが残っている場合は、成長痛以外の原因を考える必要があります。また、成長痛では関節そのものが腫れたり、赤くなったり、熱を持ったりすることはありません [1][2]

ポイント

  • 成長痛は3〜12歳に多い、夕方〜夜間の両下肢の痛み [1][2]
  • 翌朝には完全に消えるのが最大の特徴 [1]
  • 腫れ・発赤・熱感はない [1][2]

Q2.「"成長"が原因で痛いんですか?骨が伸びるから痛い?」

——"成長痛"という名前なので、骨が伸びて痛いのかなと思っていました

実は、これはよくある誤解です。"成長"そのものが痛みの原因ではありません [2][4]。"成長痛"という名前がとても誤解を生みやすいのですが、骨の成長板(骨端線)には痛覚神経がほとんどなく、骨が伸びること自体は痛みを引き起こしません [4]

実際に、成長痛が起こる3〜6歳の時期は、成長速度が特に速いわけではありません [4]。最も成長が速い乳児期や思春期のほうが成長速度は速いのに、成長痛はその時期には少ない。これは、"成長"が原因ではないことの傍証です [2][4]

「成長が原因」説への反証 [2][4]説明
骨端線に痛覚がない成長板(骨端線)には痛覚神経がほとんどない [4]
成長速度との不一致成長痛のピーク(4〜6歳)と最も成長が速い時期(乳児期・思春期)がずれている [4]
身長との相関なし背が高い子に成長痛が多いというデータはない [2]
片側の骨だけ伸びるわけではない両側同時に成長しているのに、痛む場所が日によって変わる [2]

では、何が原因なのか。現在最も有力とされているのは、日中の活動(走る・跳ぶ・遊ぶ)による筋肉の疲労・過負荷です [2][5]

有力な原因仮説 [2][4][5]説明
筋疲労・過活動説(最有力)日中の激しい運動による下肢の筋疲労が、夕方以降に痛みとして現れる [2][5]
痛み閾値の低下説成長痛のある子は痛み閾値(痛みを感じやすさ)が低い傾向がある [5]
関節可動域の過大説関節が柔らかすぎる(過可動性)ことが筋肉への負担を増やす [4]
心理的要因ストレスや不安が痛みの感じ方に影響する可能性 [5]
ビタミンD不足ビタミンD不足との関連を示す報告もあるが、まだ確定的ではない [6]

Evans et al.(2004)の研究では、成長痛のある子どもは、そうでない子どもに比べて痛みの閾値が低い(痛みを感じやすい)ことが報告されています [5]。つまり、同じ量の運動をしても、成長痛のある子はより痛みを感じやすいということです。"大げさに言っている"のではなく、本当に痛いのです

ポイント

  • 「成長」が直接の原因ではない、骨端線には痛覚がない [2][4]
  • 最有力の原因は日中の活動による筋疲労 [2][5]
  • 成長痛のある子は痛みの閾値が低い傾向がある [5]

Q3.「他の病気と見分けるポイントはありますか?心配な症状は?」

——成長痛だと思っていたら実は別の病気だった、ということはありますか?

とても大事な質問です。成長痛は"除外診断"です [1][3]。つまり、他の病気がないことを確認して初めて「成長痛」と診断できます。以下のような症状がある場合は、成長痛ではない可能性があるため、必ず受診してください [1][3][7]

成長痛の特徴心配な症状(成長痛ではない可能性)
両側に痛む片側だけに痛む [1][3]
夜間のみ痛む朝も痛みが残る、日中も痛む [1]
翌朝には消える痛みが持続する [1][3]
腫れ・発赤・熱感なし腫れ・発赤・熱感がある [1][7]
歩行は正常跛行(びっこをひく)がある [3][7]
特定の場所に限局しないいつも同じ場所が痛む [7]
活動の制限なし痛みで運動や遊びができない [3]

特に除外すべき重要な疾患を挙げます [3][7][8]

特徴

若年性特発性関節炎(JIA)
関節の腫れ・こわばり、朝のこわばりが6週間以上持続 [7]
骨肉腫
思春期に多い。一箇所の持続的な骨の痛み、腫脹 [8]
白血病
骨痛、倦怠感、発熱、あざができやすい、顔色不良 [8]
骨髄炎
限局した骨の痛み、発熱、局所の腫れ・発赤 [7]
ペルテス病
4〜8歳男児に多い。股関節痛、跛行 [3]
オスグッド・シュラッター病
思春期。膝のお皿の下の痛み・腫脹 [3]
単純性股関節炎
3〜10歳。急に股関節〜膝が痛くなり跛行 [3]

検査

若年性特発性関節炎(JIA)
血液検査(CRP、ESR)、関節エコー
骨肉腫
X線、MRI
白血病
血液検査(CBC、末梢血塗抹)
骨髄炎
血液検査(CRP)、MRI
ペルテス病
X線、MRI
オスグッド・シュラッター病
臨床診断(X線で確認)
単純性股関節炎
X線、エコー

繰り返しますが、成長痛の最大の特徴は"翌朝には完全に消える"ことです [1]。逆に、朝も痛い、痛みがどんどん強くなる、同じ場所がずっと痛い、腫れがある、これらは"レッドフラッグ"(危険サイン)です [3][7]。迷ったら受診してください

ポイント

  • 成長痛は除外診断、他の病気がないことの確認が必要 [1][3]
  • 片側のみ、朝も痛い、腫れ・熱感、跛行はレッドフラッグ [1][3][7]
  • 若年性特発性関節炎、骨肉腫、白血病、骨髄炎などの除外が重要 [7][8]

Q4.「成長痛が出たとき、家でどう対処すればいいですか?」

——夜中に泣いて起きたとき、どうしてあげればいいですか?

成長痛の対処法は、お子さんの痛みを和らげてあげることが中心です [1][2][9]。特効薬はありませんが、いくつかの方法が効果的です

具体的な方法

マッサージ
痛む部位をやさしくさする・もむ [1][9]
温罨法(おんあんぽう)
ホットタオル、湯たんぽ、温かいお風呂 [1][9]
ストレッチ
就寝前に下肢のストレッチ(大腿四頭筋、ハムストリング、ふくらはぎ)[2][9]
鎮痛薬
アセトアミノフェン(カロナール)やイブプロフェン [1][2]
安心させる
「大丈夫だよ」と抱きしめる、そばにいてあげる [1]

エビデンス

マッサージ
多くの保護者が効果を実感 [9]
温罨法(おんあんぽう)
筋肉の緊張緩和 [9]
ストレッチ
Baxter et al.が有効性を報告 [9]
鎮痛薬
痛みが強い場合に頓用で使用
安心させる
心理的安心が痛みの軽減に効果 [5]

特にストレッチは予防にも効果があります [9]。Baxter et al.(2016)の研究では、毎晩就寝前にふくらはぎと大腿のストレッチを行ったグループで、成長痛の頻度と強度が有意に減少したと報告されています [9]

おすすめの就寝前ストレッチ [2][9]:

方法

ふくらはぎ
壁に手をつき、片足を後ろに引いてかかとを床につけたまま伸ばす
太もも前面
片足立ちで、反対の足首を手で持ってお尻に引き寄せる
太もも裏面
座って足を伸ばし、つま先に向かって手を伸ばす

時間

ふくらはぎ
左右各20〜30秒
太もも前面
左右各20〜30秒
太もも裏面
20〜30秒

鎮痛薬については、痛みが強い場合はアセトアミノフェン(カロナール)を頓用で使っていただいてかまいません [1][2]。ただし、毎日のように鎮痛薬が必要な場合は、成長痛以外の原因を再評価する必要がありますので、受診してください

ポイント

  • マッサージ、温罨法、ストレッチが基本の対処法 [1][2][9]
  • 就寝前のストレッチは予防にも効果あり [9]
  • 鎮痛薬は痛みが強い場合に頓用で。毎日必要なら再受診を [1][2]

Q5.「どんなときに病院を受診すべきですか?」

——成長痛なら様子を見ていいと思いますが、受診のタイミングがわかりません

以下のいずれかに当てはまる場合は、早めに小児科を受診してください [1][3][7][8]

受診すべきサイン理由
痛みが2週間以上持続する成長痛は間欠的。持続する痛みは他の疾患の可能性 [1][3]
朝も痛みが残る成長痛は翌朝に消える。朝の痛みはレッドフラッグ [1][7]
同じ場所がいつも痛む成長痛は場所が変わる。固定された痛みは骨・関節の異常を疑う [3][7]
片側だけ痛む成長痛は両側性が多い [1]
腫れ・発赤・熱感がある関節炎、骨髄炎などの炎症を疑う [7]
跛行(びっこ)がある成長痛では歩行は正常 [3][7]
発熱がある感染症、悪性腫瘍の可能性 [7][8]
体重減少がある悪性腫瘍、慢性疾患の可能性 [8]
痛みで活動できない成長痛では日中の活動は制限されない [3]
痛みがだんだん強くなる進行性の痛みは精密検査が必要 [7][8]
あざができやすい白血病など血液疾患の可能性 [8]

もう一つ、"親の直感"も大切にしてください [3]。"いつもの成長痛と何か違う"と感じたら、それは受診の十分な理由になります。お子さんを一番よく見ているのは保護者の方ですから

逆に、"夕方〜夜だけ痛む、翌朝には消える、両側性、腫れなし"であれば、多くの場合は成長痛です [1][2]。過度に心配する必要はありませんが、初回は一度小児科で診察を受けて、他の疾患がないことを確認しておくと安心です

ポイント

  • 痛みが2週間以上持続、朝も残る、片側のみ、腫れ・跛行・発熱・体重減少がある場合は受診を [1][3][7][8]
  • "いつもと違う"と感じたら迷わず受診 [3]
  • 初回は一度小児科で診察を受けて除外診断を [1]

まとめ

  • 成長痛は3〜12歳に多い、夕方〜夜間の両下肢の痛み [1][2]
  • 翌朝には完全に消えるのが最大の特徴 [1]
  • 「成長」が原因ではなく、筋疲労・過活動が有力な原因 [2][4][5]
  • 対処法はマッサージ、温罨法、ストレッチが基本。就寝前ストレッチは予防にも有効 [9]
  • 片側のみ、朝も痛い、腫れ、跛行、発熱がある場合は他の病気の除外が必要 [1][3][7]
  • 痛みが2週間以上持続したり、どんどん強くなる場合は早めに受診を [7][8]

あわせて読みたい

ご質問・ご感想をお待ちしています

「こんなこと聞いていいのかな?」というギモンこそ大歓迎です。 外来受診時にお気軽にお声がけいただくか、質問フォームからお寄せください。

次号も

愛育病院 小児科 おかもん

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

この記事は役に立ちましたか?

※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

関連記事