愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.230
「おしっこの時に痛がります」、尿路感染症
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
尿路感染症(UTI)は、小児科外来で比較的よく出会う細菌感染症です。乳児では発熱の原因として重要で、原因がはっきりしない発熱の約5%にUTIが見つかります [1][3]。早めの診断・治療と、繰り返す場合の基礎疾患の評価がポイントです。
Q1.「尿路感染症とは?」
——おしっこの時に泣きます
尿路感染症は、膀胱や腎臓に細菌が感染する病気です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 頻度 | 小児の約8%が経験 |
| 原因菌 | 大腸菌が約80% |
| 性差 | 乳児は男児に多い、幼児以降は女児に多い |
| 分類 | 膀胱炎(下部尿路)、腎盂腎炎(上部尿路) |
| 年齢別の症状 |
|---|
| 乳児:原因不明の発熱、不機嫌、哺乳力低下 |
| 幼児:排尿時痛、頻尿、腹痛、発熱 |
| 学童:排尿時痛、頻尿、残尿感、血尿 |
ポイント
- 乳児の原因不明の発熱の約5%がUTI
- 大腸菌が最多原因
- 年齢で症状が異なる
Q2.「診断はどうしますか?」
——尿検査が必要ですか?
尿検査と尿培養で診断します [2]。
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 尿検査 | 白血球、亜硝酸塩を確認 |
| 尿培養 | 原因菌の特定と感受性検査 |
| 採尿方法 | カテーテル採尿(乳児)、中間尿(年長児) |
| 血液検査 | 炎症反応(CRP、白血球数) |
| 超音波検査 | 腎臓の形態評価 |
「乳児の場合、採尿パックの尿は汚染されやすいため、確定診断にはカテーテル採尿が必要です。」
ポイント
- 尿培養が確定診断に必要
- 正しい採尿法が重要
- 乳児はカテーテル採尿
Q3.「治療はどうしますか?」
——抗菌薬で治りますか?
抗菌薬の内服が基本です [3]。
| 重症度 | 治療 |
|---|---|
| 膀胱炎 | 抗菌薬内服 3-5日間 |
| 軽症腎盂腎炎 | 抗菌薬内服 7-14日間 |
| 重症腎盂腎炎 | 入院して点滴抗菌薬 |
| 入院の目安 |
|---|
| 生後3か月未満 |
| 全身状態が悪い |
| 経口摂取ができない |
| 脱水がある |
ポイント
- 膀胱炎は短期間の内服で治る
- 腎盂腎炎は長めの治療が必要
- 乳児は入院治療が多い
Q4.「繰り返す場合は?」
——尿路感染症を繰り返しています
繰り返す場合は基礎疾患の検索が必要です [4]。
| 基礎疾患 | 詳細 |
|---|---|
| 膀胱尿管逆流症(VUR) | 尿が膀胱から腎臓に逆流。最も多い |
| 水腎症 | 尿の流れが妨げられる |
| 排尿機能障害 | 膀胱の機能異常 |
| 便秘 | 便秘がUTIのリスク因子 |
| 検査 |
|---|
| 超音波検査(全例) |
| 排尿時膀胱尿道造影(VCUG)(繰り返す場合) |
| 腎シンチグラフィー(腎瘢痕の評価) |
ポイント
- 繰り返す場合はVURを疑う
- 超音波検査が基本
- 便秘の治療も重要
Q5.「予防はできますか?」
——予防する方法はありますか?
以下の予防策が有効です [5]。
| 予防策 | 内容 |
|---|---|
| 十分な水分摂取 | 尿を薄くして細菌を洗い流す |
| 便秘の予防 | 便秘はUTIのリスク因子 |
| 正しいおしりの拭き方 | 前から後ろへ(女児) |
| 排尿を我慢しない | 定時排尿の習慣 |
| 清潔な下着 | 毎日交換 |
ポイント
- 水分をしっかり摂る
- 便秘を予防する
- おしりは前から後ろに拭く
今号のまとめ
- 尿路感染症は乳児の原因不明の発熱の重要な原因
- 尿培養で確定診断
- 抗菌薬の内服が基本治療
- 繰り返す場合は基礎疾患の検索(VUR等)
- 水分摂取と便秘予防が大切
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ご質問・ご感想
「尿路感染症と言われました」「繰り返して困っています」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
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