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小麦アレルギーの正しい理解。グルテンフリーは本当に必要?
Vol.480アレルギー

小麦アレルギーの正しい理解。グルテンフリーは本当に必要?

小麦アレルギーとセリアック病・グルテン過敏症の違い、除去の範囲と日常管理を解説

アレルギー6〜12ヶ月・・6
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 問収録

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この記事のポイント

  • 小麦アレルギー、セリアック病、グルテン過敏症は原因も対処法も異なる別の疾患
  • 小麦アレルギーでも大麦やライ麦は食べられることが多く、完全なグルテンフリーは不要な場合がある
  • 約70〜80%の小麦アレルギーは成長とともに自然寛解する

小児科おかもん先生 だより Vol.480

小麦アレルギーの正しい理解。グルテンフリーは本当に必要?

今号のポイント

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    小麦アレルギー、セリアック病、グルテン過敏症は原因も対処法も異なる別の疾患
  2. 4
    小麦アレルギーでも大麦やライ麦は食べられることが多く、完全なグルテンフリーは不要な場合がある
  3. 6
    約70〜80%の小麦アレルギーは成長とともに自然寛解する

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「小麦アレルギーと言われたので、パンもうどんも全部やめたほうがいいですか?」「グルテンフリーの食事にしたほうがいいですか?」。小麦はパン、うどん、お菓子、調味料と日本の食卓に広く使われているため、除去の範囲で悩まれる保護者はとても多いです。

今回は、小麦アレルギーの正しい理解と、不必要な除去を避けるためのポイントをお伝えします。

小麦アレルギーとグルテン関連疾患の違いを教えてください

「小麦が合わない」と一口に言っても、原因と対処法が異なる3つの疾患があります [1]。

疾患メカニズム検査治療
小麦アレルギーIgEを介した即時型アレルギー反応特異的IgE、皮膚テスト、負荷試験小麦の除去(他の穀物は可能なことが多い)
セリアック病グルテンに対する自己免疫反応抗tTG抗体、小腸生検厳格なグルテンフリー食(生涯)
非セリアック型グルテン過敏症メカニズム不明除外診断グルテン制限で症状が改善するか試す

日本ではセリアック病はまれですが、小麦アレルギーは卵、牛乳に次いで3番目に多い食物アレルギーの原因です [2]。

重要なのは、小麦アレルギーとセリアック病を混同しないことです。小麦アレルギーの場合、アレルギーの原因は小麦に含まれるタンパク質であり、大麦やライ麦のタンパク質とは構造が異なるため、これらは食べられることが多いです。一方、セリアック病はグルテンそのものが原因のため、小麦・大麦・ライ麦すべてを避ける必要があります [1]。

💡グルテンフリーが必要かどうかは医師に確認を

「グルテンフリー」が流行していますが、小麦アレルギーの子どもに必ずしも完全なグルテンフリー食は必要ありません。過剰な除去は栄養バランスを崩すリスクがあります。主治医に除去の範囲を確認してください。

小麦アレルギーの症状と注意すべき特殊な型について

小麦アレルギーの一般的な症状は、じんましん、嘔吐、腹痛、呼吸困難などです。加えて、小児でも注意が必要な特殊な型があります [2][3]。

特徴

即時型
摂取後2時間以内に皮膚・消化器・呼吸器症状
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)
小麦摂取後に運動すると発症
パン職人喘息
小麦粉の吸入で喘息症状

好発年齢

即時型
乳幼児期
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)
学童期以降
パン職人喘息
成人(参考)

FDEIAは学童期以降に見られることがあり、「給食でパンを食べた後に体育の授業で走ったら具合が悪くなった」という形で発症することがあります。原因食物を食べただけ、運動しただけでは症状が出ないため、診断が遅れやすい疾患です [3]。

日常の食事ではどう対応すればいいですか

小麦は「特定原材料」として表示義務があるため、加工食品の原材料欄で確認できます [4]。

小麦が含まれることがある意外な食品:

食品注意点
醤油醸造過程で小麦タンパクはほぼ分解されるが、重症例では注意
麦茶大麦由来のため、小麦アレルギーなら基本的に安全
餃子・シュウマイの皮小麦粉が主原料
カレールウ小麦粉が使われていることが多い
揚げ物の衣小麦粉やパン粉

代替食品の例:

除去する食品代替
パン米粉パン
うどんビーフン、フォー、米粉麺
小麦粉米粉、片栗粉、タピオカ粉
⚠️醤油について

通常の醤油は醸造過程で小麦タンパク質がほぼ分解されるため、多くの小麦アレルギーの方が使用できます。ただし、重症例では小麦不使用の醤油を選ぶほうが安全です。自己判断せず、主治医に確認してください。

小麦アレルギーは治りますか

小麦アレルギーの自然寛解率は比較的高く、約70〜80%が成長とともに食べられるようになるとされています [5]。ポーランドの研究では、4歳までに20%、8歳までに52%、12歳までに66%、18歳までに76%が寛解したと報告されています。

定期的に食物経口負荷試験を受けて、食べられる範囲を確認していくことが大切です。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

「うどんもパンもダメとなると、何を食べさせたらいいのか途方に暮れます」と泣きそうな顔でおっしゃるお母さんに、何度もお会いしてきました。ただ、小麦アレルギーの多くは成長とともに治ります。そして除去が必要な間も、米粉やビーフンなど代替食品は豊富にあります。一人で抱え込まず、栄養士さんの力も借りながら、お子さんの食の幅を守ってあげてください。

まとめ

  • 小麦アレルギーとセリアック病は別の疾患。完全グルテンフリーが不要な場合もある
  • 日本では小麦アレルギーは3番目に多い食物アレルギーの原因
  • FDEIAは学童期以降に注意。運動と食事の組み合わせで発症
  • 醤油は多くの場合使用可能。除去の範囲は主治医に確認
  • 約70〜80%が成長とともに自然寛解する

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次号もお楽しみに。

おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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