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BCGワクチン、コッホ現象と接種痕の見方
Vol.463予防接種

BCGワクチン、コッホ現象と接種痕の見方

BCGワクチンの接種時期、コッホ現象の見分け方、接種痕の正常な経過と判定の見方を解説

予防接種0〜6ヶ月・6〜12ヶ月5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 問収録

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この記事のポイント

  • BCGは生後5〜8か月での接種が標準。1歳の誕生日前日までが定期接種の対象
  • コッホ現象は接種後数日以内に強い反応が出る現象で、結核感染の可能性を示す
  • 接種後2〜3週間で赤い膨らみが出るのは正常な経過

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.463

BCGワクチン、コッホ現象と接種痕の見方

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「BCGを打った後、腕が赤くなってきたのですが大丈夫ですか?」「いつ頃きれいになりますか?」。BCGワクチン接種後のお子さんの腕の変化について、心配されるご両親は多いです。

BCGは結核を予防するワクチンで、日本では管針法(スタンプ方式)という独特の方法で接種します [1]。接種痕の経過を知っておくと、正常な反応と異常な反応を区別でき、不安が大きく減ります。

接種時期とスケジュール

BCGは生後5〜8か月での接種が標準的です [1]。

項目内容
対象年齢生後1歳未満(定期接種)
標準的な接種時期生後5〜8か月
接種方法管針法(9本の針が2か所)
接種部位左上腕外側
接種回数1回

以前は生後3〜6か月が標準でしたが、2013年の制度変更で生後1歳未満に拡大され、生後5〜8か月が標準とされました [1]。他のワクチンとの同時接種も可能です。

接種痕の正常な経過

BCG接種後の腕の変化には、時期ごとに正常なパターンがあります [2]。

時期正常な経過
接種直後〜数日ほとんど変化なし
2〜3週間後針の痕に赤いポツポツが出始める
4〜6週間後赤みが強くなり、一部が膿を持つことがある(接種反応のピーク)
2〜3か月後かさぶたができ、徐々に目立たなくなる
6か月〜1年後小さな瘢痕(接種痕)として残る

4〜6週間後の反応のピークは、ワクチンが正しく働いている証拠です。膿が出ることもありますが、自然に治ります。消毒や絆創膏で覆う必要はなく、清潔を保つだけで十分です [2]。

💡反応のピークは4〜6週間後

赤みや膿は正常な免疫応答です。触ったり絞ったりせず、自然におさまるのを待ちましょう。

コッホ現象とは

コッホ現象は、BCG接種後に通常より早く(接種後数日以内に)強い局所反応が出る現象です [3]。これは、接種前にすでに結核菌に感染している可能性を示すサインとして重要です。

通常の接種反応

出現時期
接種後2〜3週間
反応の程度
軽い赤み→徐々に増強
意味
正常な免疫応答
対応
経過観察

コッホ現象

出現時期
接種後1〜3日(10日以内)
反応の程度
早期から強い発赤・腫脹・膿
意味
結核感染の可能性
対応
速やかに医療機関を受診

ただし、接種後の早期反応がすべてコッホ現象というわけではありません。実際にはコッホ現象に似た非特異的反応(コッホ様反応)のほうが多く、日本での調査では早期反応の大部分が結核感染とは無関係だったと報告されています [3]。

⚠️接種後10日以内の強い反応は受診を

接種後数日以内に赤みや膿が出た場合は、コッホ現象の可能性があります。接種した医療機関に連絡してください。

接種痕が残らない場合

接種後に痕がまったく出ない(接種反応がない)場合があります。

原因の可能性対応
ワクチンが十分に入らなかったかかりつけ医に相談
体質的に反応が弱い免疫がついていない可能性がある

接種痕が出ない場合でも、再接種については医師の判断が必要です [4]。結核の罹患リスクを考慮し、必要に応じてツベルクリン反応やインターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)を行ったうえで再接種を検討します。

日常のケア

接種後の腕のケアはシンプルです [5]。

やることやらないこと
清潔を保つ(入浴OK)強くこする
自然に乾かす絆創膏を貼る
経過を観察する膿を絞り出す

入浴は接種当日から可能です。接種部位を強くこすらないように注意するだけで、特別なケアは必要ありません。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

BCGの接種痕を見て「うちの子だけこんなにひどくなっている」と心配されるお母さんは本当に多いです。4〜6週後のピーク時に膿のように見える反応が出ると、驚かれるのは当然です。先日も「化膿しているので受診しました」というお電話がありましたが、写真を見せていただくとまさに教科書通りの正常な経過でした。安心していただくために「この反応はワクチンがしっかり効いている証拠ですよ」とお伝えしたところ、ほっとされた表情が印象的でした。

今号のまとめ

  • BCGは生後5〜8か月に左上腕に接種。管針法(スタンプ方式)
  • 接種後2〜3週間で赤みが出始め、4〜6週間後がピーク。これは正常
  • コッホ現象は接種後数日以内の強い反応。結核感染の可能性を示す
  • 接種痕のケアは清潔を保つだけで十分
  • 心配な変化があれば、接種した医療機関に連絡を

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ご質問・ご感想

「接種痕の経過が心配」「これはコッホ現象?」など、外来でお気軽にどうぞ。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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