愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.471
母乳、足りてる? 体重増加の目安と混合栄養の考え方
今号のポイント
- 2母乳が足りているかの最も確実な指標は体重増加。生後1ヶ月は1日25-30gが目安
- 4おしっこが1日6回以上、うんちが1日3-4回以上出ていれば、哺乳量は足りている可能性が高い
- 6混合栄養は母乳の代わりではなく母乳を支える手段。必要に応じてミルクを足すことに罪悪感を持たないで
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「うちの子、ちゃんと飲めているのかな」。母乳育児をしているお母さんなら、一度は不安に感じたことがあるのではないでしょうか。ミルクと違って母乳は飲んだ量が見えません。今号では、母乳が足りているかを判断するポイントと、混合栄養の考え方をお伝えします。
体重増加が最も確実な指標
母乳が足りているかどうかを判断する最も信頼できる方法は、体重の経過を追うことです [1]。
生後1ヶ月の目安として、1日あたり25-30gの体重増加が一般的に示されています。ただし、これはあくまで平均であり、個人差があります。WHOの成長基準では、生後3ヶ月までの母乳栄養児は1日30-40gの増加が標準とされていますが、日本の母乳栄養児はWHO基準よりやや小さめに推移するというデータもあります [2]。
大切なのは一回の測定値ではなく、成長曲線のカーブです。母子手帳のパーセンタイル曲線に沿って体重が増えていれば順調です。
体重以外の「足りている」サイン
毎日体重を測るのは現実的ではありません。日常的に確認できる目安をお伝えします。
おしっこの回数と色が最もわかりやすい指標です。生後5日以降、1日6回以上の濡れたおむつがあり、尿が薄い色(うすい黄色や透明に近い色)であれば、水分は十分に摂れています [3]。
うんちについては、生後5-7日頃から黄色い柔らかい便が1日3-4回以上出ていることが目安です [3]。ただし、生後1ヶ月を過ぎると母乳栄養の赤ちゃんは排便回数が減ることがあり、数日に1回でも柔らかい便であれば心配ありません。
赤ちゃんの機嫌も参考になります。授乳後に落ち着いている、起きているときに活気がある、肌の張りがよい、こうした全体的な様子を見てください。
生後1ヶ月までは1日8-12回以上の頻回授乳が勧められています。「泣いたら飲ませる」で大丈夫です。授乳間隔が3時間以上空く場合は、こちらから起こして飲ませてもよいでしょう。
「足りていないかも」のサイン
以下に該当する場合は、哺乳量が不足している可能性があります。かかりつけの小児科で相談しましょう。
体重が出生時から7-10%以上減って戻らない場合。正常な生理的体重減少は出生体重の7-8%程度で、通常は生後2週間までに出生体重に戻ります [1]。2週間経っても戻らない場合は要注意です。
おしっこの回数が少ない(1日6回未満)、色が濃い場合も脱水のサインです。うんちが5日目以降も黒緑色(胎便)のままの場合も、哺乳量不足の可能性があります。
大泉門(頭頂部のやわらかい部分)がへこんでいる、口の中が乾いている、泣いても涙が出ない、ぐったりしている。これらは脱水の重要なサインです。すぐに受診してください。
混合栄養という選択
母乳が足りない場合、ミルクを補足する「混合栄養」は非常に合理的な選択です。ミルクを足すことは母乳を否定することではありません。赤ちゃんに必要な栄養を届けることが最も大切です。
混合栄養のやり方にはいくつかの方法があります。授乳のたびに母乳の後にミルクを足す方法、母乳とミルクの回を交互にする方法、夜間だけミルクにする方法など。お母さんの体調や生活に合わせて、無理のない方法を選んでください。
母乳量を増やしたい場合は、頻回授乳を続けることが最も効果的です。母乳の分泌は「需要と供給」の関係で調整されるため、吸わせる回数が多いほど分泌が促進されます [4]。

おかもん先生より
外来でお会いするお母さんの中には、ミルクを足すことに強い罪悪感を感じている方がいらっしゃいます。「母乳だけで育てたかったのに」と涙ぐまれることも。でも、実際にはミルクを上手に使いながら母乳も続けている方はたくさんいます。大事なのは「何で飲ませるか」ではなく「赤ちゃんがしっかり育っているか」です。1ヶ月健診で体重の伸びがよいことを確認して、一緒に安心しましょう。授乳の悩みは一人で抱え込まず、健診の場でぜひ相談してください。
今号のまとめ
- 母乳の足りている・足りていないの最も確実な指標は体重増加。1日25-30gが目安 [1][2]
- おしっこ1日6回以上(薄い色)、うんち1日3-4回以上(黄色・柔らかい)が日常的な確認ポイント [3]
- 生後2週間で出生体重に戻らない場合は哺乳量の見直しが必要 [1]
- 混合栄養は合理的な選択。母乳量を増やしたい場合は頻回授乳が最も効果的 [4]
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