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体重が増えない。哺乳量の確認と成長曲線の読み方
Vol.472健診

体重が増えない。哺乳量の確認と成長曲線の読み方

新生児の体重増加不良が心配なときの評価方法、成長曲線(パーセンタイル)の正しい読み方、受診のタイミングを解説します

健診7
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 問収録

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この記事のポイント

  • 成長曲線はパーセンタイルの「帯の中にいるか」よりも「カーブに沿っているか」が重要
  • 2本以上のパーセンタイルラインを下に横切る場合は体重増加不良(growth faltering)として評価が必要
  • 体重だけでなく身長・頭囲のバランス、哺乳の状態、全身状態を総合的にみる

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.472

体重が増えない。哺乳量の確認と成長曲線の読み方

今号のポイント

  1. 2
    成長曲線はパーセンタイルの「帯の中にいるか」よりも「カーブに沿っているか」が重要
  2. 4
    2本以上のパーセンタイルラインを下に横切る場合は体重増加不良(growth faltering)として評価が必要
  3. 6
    体重だけでなく身長・頭囲のバランス、哺乳の状態、全身状態を総合的にみる

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

1ヶ月健診で「体重の増えがゆっくりですね」と言われると、お母さんは不安になりますよね。でも、「少しゆっくり」と「要注意」は意味が違います。今号では、成長曲線の正しい読み方と、本当に心配すべきサインについてお伝えします。

生後早期の体重変化を知っておく

赤ちゃんは生まれてすぐ体重が減ります。これは「生理的体重減少」と呼ばれ、余分な水分の排泄や胎便の排出によるものです。正常範囲は出生体重の7-8%程度で、生後3-4日目が最も減る時期です [1]。

その後、哺乳量の増加とともに体重は回復し、通常は生後10-14日で出生体重に戻ります。ここからが本格的な体重増加の始まりです。

生後1ヶ月の目安として、1日あたり25-30gの体重増加が一般的です。ただし、母乳栄養の赤ちゃんは生後最初の数週間は増加が速く、その後ミルク栄養児に比べてやや緩やかになるという特徴があります [2]。

成長曲線の正しい読み方

成長曲線(パーセンタイルチャート)の見方で最も大切なのは、「どのパーセンタイルにいるか」ではなく、「カーブに沿っているかどうか」です。

10パーセンタイルにいる赤ちゃんが、ずっと10パーセンタイルのカーブに沿って成長していれば、まったく問題ありません。小さめなのはその子の個性です。逆に、50パーセンタイルだった子が25パーセンタイルを割り込み、さらに下がり続けるほうが注意が必要です [3]。

注目すべきは「パーセンタイルラインの横切り」です。体重のカーブが2本以上の主要パーセンタイルライン(97th、90th、75th、50th、25th、10th、3rd)を下向きに横切った場合は、体重増加不良(growth faltering)として評価が必要とされています [3]。

ただし、正常な赤ちゃんでも生後2-3ヶ月の間にパーセンタイルが移動すること(遺伝的なポテンシャルに向かって調整される過程)はあり得ます。健常児の約30%が1本のパーセンタイルラインを横切り、23%が2本横切るという報告もあります [3]。だからこそ、1回の測定で判断せず、経過をみることが重要なのです。

💡母子手帳の成長曲線を活用しましょう

健診時だけでなく、地域の保健センターや赤ちゃん用体重計のある施設でも体重を測れます。測定値は必ず母子手帳に記入し、成長曲線にプロットしてください。点と点を線でつなぐことで、お子さんの成長パターンが見えてきます。

哺乳量の評価

体重増加が気になる場合、哺乳量が十分かどうかを確認します。

母乳育児の場合、1回の哺乳量を正確に知るには「哺乳前後の体重測定(テストウェイト)」が有効です。授乳前と授乳後に赤ちゃんの体重を測り、増加分が哺乳量となります [4]。ただし、家庭用の体重計では精度が不十分なため、外来や助産師外来で専用の精密体重計を使って測定します。

日常的に確認できる指標としては、おしっこの回数(1日6回以上)と色(薄い黄色)、授乳後の赤ちゃんの様子(満足して眠る、あるいは落ち着いている)が参考になります。

⚠️体重増加不良で受診すべき目安

生後2週間で出生体重に戻っていない、1日の体重増加が15g未満が続く、成長曲線で2本以上のパーセンタイルラインを下に横切っている。これらに該当する場合は、早めに小児科を受診してください。

体重だけで判断しない

体重増加不良を評価するとき、私たちは体重だけを見ているわけではありません。身長と頭囲の成長も同時に確認します [5]。

体重だけが伸び悩んでいて、身長と頭囲は順調に増えている場合は、栄養摂取量の問題が考えられます。体重と身長の両方が伸び悩んでいる場合は、内分泌疾患などの可能性を検討します。体重・身長・頭囲のすべてが小さい場合は、遺伝的に小柄な場合もあれば、染色体異常などの精査が必要なこともあります。

こうした評価は健診や外来で医師が行いますので、ご自身で判断する必要はありません。気になることがあれば、遠慮なく相談してください。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

体重の伸びが気になって、毎日のように体重を測って一喜一憂されるお母さんがいらっしゃいます。お気持ちはわかりますが、日々の変動に振り回されるとつらくなります。体重は週に1回程度の測定で十分です。私が健診でお伝えしているのは「数字より赤ちゃんの表情を見てください」ということ。よく飲んで、よく寝て、起きているときに元気がある。そういう赤ちゃんは、少しペースが遅くても着実に大きくなっていきます。心配なときは一人で抱え込まず、健診の場で一緒に成長曲線を確認しましょう。

今号のまとめ

  • 生理的体重減少は出生体重の7-8%程度。生後2週間で出生体重に戻るのが目安 [1]
  • 成長曲線はカーブの傾きが大切。2本以上のパーセンタイルラインを下に横切る場合は評価が必要 [3]
  • 正常児でも30%は1本のパーセンタイルラインを横切る。1回で判断せず経過を追う [3]
  • 体重・身長・頭囲のバランスと全身状態を総合的にみて判断する [5]

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「こんなこと聞いていいのかな?」というギモンこそ大歓迎です。 外来受診時にお気軽にお声がけいただくか、質問フォームからお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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