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「抱き癖の嘘」、科学が証明する'抱っこ'の力
Vol.321生活・育児

「抱き癖の嘘」、科学が証明する'抱っこ'の力

「抱き癖がつく」は科学的根拠なし、スキンシップの重要性

生活・育児0〜6ヶ月・6〜12ヶ月6
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 4問収録

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この記事のポイント

  • 「抱っこしすぎるとわがままになる」に科学的根拠はありません
  • 抱っこは愛着形成の土台、ボウルビィの愛着理論が裏づけ
  • 祖父母世代との価値観の違いは'情報のアップデート'として伝えましょう

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.321

「抱き癖の嘘」、科学が証明する"抱っこ"の力

今号のポイント

  1. 2
    「抱っこしすぎるとわがままになる」に科学的根拠はありません
  2. 4
    抱っこは愛着形成の土台、ボウルビィの愛着理論が裏づけ
  3. 6
    祖父母世代との価値観の違いは"情報のアップデート"として伝えましょう

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「そんなに抱っこしてたら抱き癖がつくわよ」、育児中のお母さん・お父さんなら、一度は言われたことがあるのではないでしょうか。特に祖父母世代からよく聞くフレーズですが、実はこの"抱き癖"という概念には科学的根拠がありません。今回は、抱っこの持つ本当の力についてお話しします。

Q1. 抱っこしすぎると、本当にわがままになるの?

——うちの母に『そんなに抱っこしてたら抱き癖がつく』と言われるんですが…

結論から言うと、抱っこしすぎてわがままになるという科学的根拠はありません。この"抱き癖"という考えは、1960年代のスポック博士の育児書の影響が大きいのですが、現在の発達心理学では完全に否定されています[1]。赤ちゃんが泣いたときに抱き上げるのは、赤ちゃんの『安心したい』というサインに応える、ごく自然で大切な行為です。

ポイント "抱き癖"は科学的根拠のない俗説です。赤ちゃんが泣いたら抱っこする、これは正解です。

Q2. 抱っこが大事な理由を、もう少し教えてください

お父さん「感覚的には大事だとわかるんですが、科学的にはどうなんでしょう?」

1960年代にイギリスの精神科医ジョン・ボウルビィが提唱した愛着理論(アタッチメント理論)が有名です[2]。赤ちゃんは特定の養育者との間に『安全基地』となる愛着を形成します。泣いたときに一貫して応答してもらえた赤ちゃんは安定型愛着を形成し、その後の対人関係や情緒の安定に良い影響を与えることがわかっています。逆に、泣いても放置され続けた赤ちゃんは不安定型愛着になりやすく、むしろ後々"手のかかる子"になるリスクが高まるのです[3]

ポイント ボウルビィの愛着理論:泣いたときに応答してもらえる経験の積み重ねが、安定した心の土台を作ります。

Q3. カンガルーケアや肌の触れ合いにも効果があるんですか?

——出産直後にカンガルーケアをしましたが、あれも関係ありますか?

大いに関係があります。カンガルーケア(肌と肌の触れ合い:Skin-to-skin contact)は、もともとNICUの低出生体重児ケアとして始まりましたが、正期産の赤ちゃんにも多くのメリットがあります。母子の体温調節、母乳分泌の促進、赤ちゃんのストレスホルモン(コルチゾール)の低下、そして愛着形成の促進が報告されています[4]。日常の抱っこも同じ原理です。肌の触れ合いはオキシトシン(愛情ホルモン)の分泌を促し、親子双方にリラックス効果をもたらします。

ポイント カンガルーケアの原理は日常の抱っこにも当てはまります。触れ合いはオキシトシンを分泌させ、親子の絆を強めます。

Q4. 「泣かせて放置」はやっぱりよくないの? 祖父母にはどう伝えれば?

お父さん「義母に『少しくらい泣かせておいた方がいい』と言われます。それから、どうやって角を立てずに伝えればいいか悩みます。」

まず科学的な面から。乳児期に長時間泣かせて放置すると、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌され、発達中の脳に悪影響を及ぼす可能性が動物実験や観察研究で示唆されています[5]。もちろん、数分間泣いていたからといってすぐに問題が起きるわけではありませんが、『泣いても誰も来ない』という経験が繰り返されることが問題なのです。

祖父母世代への伝え方としては、『昔はそう教わっていたけど、最新の研究でわかったことがある』というスタンスがおすすめです。『お母さん(お義母さん)の時代はそう言われていたんですよね。でも最近の研究で、抱っこはむしろ自立を助けるってわかったんです』のように、相手の経験を否定せず、"情報のアップデート"として伝えると受け入れてもらいやすいですよ。」

ポイント 泣かせて放置はコルチゾール上昇のリスクがあります。祖父母には"情報のアップデート"として伝えると角が立ちにくいです。

まとめ

  • 「抱き癖がつく」は科学的根拠のない俗説
  • 泣いたら抱っこすることは、愛着形成(アタッチメント)の基本であり正解
  • 肌の触れ合いはオキシトシン分泌を促し、親子双方に良い効果がある
  • 長時間の放置はコルチゾール上昇のリスク、数分の泣きは問題ないが、繰り返しの無応答が問題
  • 祖父母世代とは"情報のアップデート"という伝え方で橋渡しを

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愛育病院 小児科 おかもん先生

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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