愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.174
「カサカサ肌が気になります」、子どもの乾燥肌とスキンケア
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
子どもの肌は大人より薄く、皮脂の分泌も少ないため乾燥しやすい特徴があります。冬場は特に悪化しやすく、かゆみから掻き壊してしまうお子さんも多いです。日々のスキンケアは乾燥肌の改善だけでなく、アトピー性皮膚炎やアレルギー予防にもつながる可能性があります。今回は乾燥肌のケアを整理します。
Q1.「子どもの肌はなぜ乾燥しやすいのですか?」
——うちの子は冬になると全身がカサカサです
子どもの皮膚には、大人とは異なる特徴があります [1]。
子どもの皮膚
- 皮膚の厚さ
- 大人の約半分
- 皮脂の分泌
- 生後数か月〜思春期は少ない
- 角質層の水分保持
- 低い
- バリア機能
- 未熟
大人の皮膚
- 皮膚の厚さ
- 基準
- 皮脂の分泌
- 一定量を維持
- 角質層の水分保持
- 比較的高い
- バリア機能
- 成熟
| 乾燥しやすい部位 |
|---|
| 頬、口の周り |
| 手の甲、手首 |
| すねの前面 |
| おなか、背中 |
| 肘・膝の外側 |
ポイント
- 子どもの皮膚は薄く、バリア機能が未熟
- 皮脂分泌が少なく乾燥しやすい
- 冬場は特に乾燥が悪化
Q2.「正しい保湿の方法は?」
——保湿剤はどう塗ればいいですか?
保湿は毎日、入浴後5分以内に、十分な量を塗ることが大切です [2]。
| ポイント | 方法 |
|---|---|
| タイミング | 入浴後5分以内(肌に水分がある状態で) |
| 量の目安 | 塗った後にティッシュが貼りつく程度 |
| 塗り方 | 皮膚のシワに沿って優しく伸ばす |
| 頻度 | 1日2回(朝と入浴後)。乾燥が強ければ3回 |
| 範囲 | 乾燥が目立つ部分だけでなく全身に |
| 保湿剤の種類 | 特徴 |
|---|---|
| ヘパリン類似物質(ヒルドイド等) | 保湿力が高い。医療機関で処方 |
| ワセリン | 皮膚表面に膜を作り水分の蒸発を防ぐ |
| セラミド配合保湿剤 | バリア機能を補う。市販で購入可能 |
| 尿素配合保湿剤 | 水分保持力が高い。ただし刺激感あり |
「量はFTU(フィンガーチップユニット)が目安です。大人の人差し指の先から第一関節まで載せた量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の面積を塗れます。チューブやポンプの場合の換算量です(クリームと軟膏で同等)。」
ポイント
- 入浴後5分以内に保湿
- ティッシュが貼りつく程度の量
- 1日2回、全身に塗る
Q3.「入浴で気をつけることは?」
——お風呂の入り方で肌が変わりますか?
入浴方法は乾燥肌に大きく影響します [3]。
推奨
- 湯温
- 38-40℃のぬるめ
- 時間
- 10-15分以内
- 石鹸
- 低刺激性、泡タイプ
- 洗い方
- 手で泡を使って優しく
- すすぎ
- しっかり洗い流す
- 拭き方
- タオルで押さえるように
NG
- 湯温
- 42℃以上の熱いお湯
- 時間
- 長風呂
- 石鹸
- 殺菌成分入り、スクラブ
- 洗い方
- タオルでゴシゴシ
- すすぎ
- 石鹸が残る
- 拭き方
- こすって拭く
「石鹸は毎日使う必要はありません。汚れが目立つ部分(首のシワ、おむつ周り、手足)だけ石鹸を使い、他はお湯で洗うだけで十分です。」
ポイント
- ぬるめのお湯で短時間の入浴
- 石鹸は低刺激性を使い、毎日全身に使う必要はない
- タオルでゴシゴシ洗わない
Q4.「乾燥肌とアトピーの違いは?」
——単なる乾燥肌かアトピーか、見分けがつきません
乾燥肌とアトピー性皮膚炎の違いを整理します [4]。
乾燥肌
- かゆみ
- 軽度
- 発赤
- なし〜軽度
- 分布
- 全体的にカサカサ
- 経過
- 保湿で改善
- 家族歴
- 関係なし
アトピー性皮膚炎
- かゆみ
- 強い(掻き壊す)
- 発赤
- 赤み、ジュクジュクすることも
- 分布
- 特定の部位に集中(肘裏、膝裏等)
- 経過
- 保湿だけでは不十分、繰り返す
- 家族歴
- アレルギー家族歴が多い
「保湿を2週間続けても改善しない場合は、アトピー性皮膚炎の可能性がありますので、かかりつけ小児科を受診してください。」
ポイント
- かゆみの強さと分布で見分ける
- 保湿で改善しなければアトピーの可能性
- 2週間保湿しても改善しなければ受診
Q5.「乾燥肌の予防はアレルギー予防になりますか?」
——保湿がアレルギー予防になると聞きました
新生児期からの保湿がアトピー性皮膚炎の発症リスクを下げる可能性が示されています [5]。
| 研究 | 結果 |
|---|---|
| 日本の研究(堀向ら, 2014年) | 高リスク新生児に毎日保湿を続けたところ、生後32週時点でAD/湿疹の発症が約32%減少 [5] |
| 国際的な追試(BEEP試験など) | 全ての試験で再現されたわけではなく、結果は混在 |
「皮膚のバリア機能が破綻すると、アレルゲンが皮膚から侵入しやすくなります(経皮感作)。これがアレルギーマーチの出発点になると考えられています。」
| 推奨されるスキンケアの開始時期 |
|---|
| 新生児期(生後すぐ)から保湿を開始 |
| 特にアレルギー家族歴がある場合は積極的に |
| 保湿剤の種類は問わない(続けられるものを) |
ポイント
- 新生児期からの保湿でアトピー予防の可能性
- 経皮感作がアレルギーマーチの出発点
- アレルギー家族歴がある場合は特に積極的に
今号のまとめ
- 子どもの肌は薄く乾燥しやすい。毎日の保湿が基本
- 入浴後5分以内に十分な量の保湿剤を塗りましょう
- ぬるめのお湯、短時間の入浴、優しく洗うが鉄則
- 2週間保湿しても改善しなければかかりつけ医へ
- 新生児期からの保湿はアトピー予防につながる可能性
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