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「子どもに日焼け止めは必要ですか?」、紫外線対策とビタミンDのバランス
Vol.182皮膚

「子どもに日焼け止めは必要ですか?」、紫外線対策とビタミンDのバランス

子どもの皮膚は薄く紫外線の影響を受けやすい。子どもの頃の紫外線曝露が将来の皮膚がんリスクに影響する

皮膚全年齢14
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 11·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 子どもの皮膚は薄く紫外線の影響を受けやすい。子どもの頃の紫外線曝露が将来の皮膚がんリスクに影響する
  • 日焼け止めは生後6ヶ月から使用可能。SPF30以上のノンケミカルタイプが子どもに適している
  • 日光浴を極端に避けるとビタミンD不足になるリスクがある。適度な日光浴とバランスが大切

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.182

「子どもに日焼け止めは必要ですか?」、紫外線対策とビタミンDのバランス

今号のポイント

  1. 2
    子どもの皮膚は薄く紫外線の影響を受けやすい。子どもの頃の紫外線曝露が将来の皮膚がんリスクに影響する
  2. 4
    日焼け止めは生後6ヶ月から使用可能。SPF15〜30程度のノンケミカルタイプが子どもに適している
  3. 6
    日光浴を極端に避けるとビタミンD不足になるリスクがある。適度な日光浴とバランスが大切

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「子どもに日焼け止めを塗っていいのでしょうか?」「昔は"日光浴が大切"と言われたのに、今は紫外線を避けろと言われて混乱しています」、紫外線対策についてのご質問は外来でもとても多いです。かつては「子どもは外で元気に日光浴」が推奨されていましたが、紫外線に関する研究が進み、考え方が変わってきています [1]。今回は、紫外線の正しい知識と、お子さんに合った対策についてお話しします。

Q1.「"日光浴は健康に良い"は間違いだったのですか?」

——母子手帳には昔"日光浴"と書いてあったと祖母が言うのですが、今は違うのですか?

はい。実は1998年に母子健康手帳から"日光浴"の記載が削除され、"外気浴"に変更されました [1]。これは、紫外線の健康への悪影響に関する科学的知見が蓄積されたためです [1][2]

紫外線に関する常識の変遷 [1][2]:

考え方

〜1990年代
「日光浴は健康に良い」「子どもは外で日に当たるべき」
1998年〜
「過度の紫外線曝露は有害」「外気浴で十分」
現在
「適度な日光は必要だが、過度の日焼けは避ける」

根拠

〜1990年代
ビタミンDの生成、くる病の予防
1998年〜
紫外線と皮膚がん・免疫抑制の関連が明確に [2]
現在
紫外線リスクとビタミンD不足リスクのバランス [1][3]

紫外線の影響は蓄積するということが重要です [2]。生涯で浴びる紫外線の約50%は18歳までに浴びるとされており、子どもの頃の紫外線曝露が将来の皮膚がんリスクに大きく影響します [2][4]

子どもが紫外線の影響を受けやすい理由 [2][4]:

要因説明
皮膚が薄い角質層が大人の約半分の厚さで、紫外線が深部まで到達しやすい [4]
メラニン生成が未熟紫外線を遮る色素が少ない [4]
屋外活動時間が長い大人よりも外で遊ぶ時間が長い [2]
細胞分裂が活発紫外線によるDNA損傷が蓄積しやすい [2]

ポイント

  • 1998年に母子手帳から"日光浴"が削除され"外気浴"に変更された [1]
  • 紫外線の影響は蓄積する。子どもの頃の曝露が将来のリスクに影響 [2]
  • 子どもの皮膚は薄く、紫外線の影響を大人より受けやすい [4]

Q2.「紫外線の種類と影響について教えてください」

——日焼け止めに"UVA"とか"UVB"と書いてあるのですが、どう違うのですか?

紫外線は波長によってUVA・UVB・UVCの3種類に分かれます [2][5]。地表に届くのはUVAとUVBの2種類です [5]

紫外線の種類と影響 [2][5]:

種類波長特徴皮膚への影響
UVA(紫外線A波)315〜400nm地表に届く紫外線の約95%。雲やガラスを透過する [5]真皮まで到達。しわ・たるみ(光老化)の原因 [2][5]
UVB(紫外線B波)280〜315nm地表に届く紫外線の約5%。エネルギーが強い [5]表皮にダメージ。日焼け(サンバーン)、皮膚がんの主原因 [2][5]
UVC(紫外線C波)100〜280nmオゾン層で吸収され地表には届かない [5]通常は届かないため影響なし

紫外線による急性の影響(日焼け)[2][5]:

時期

サンバーン(日焼け紅斑)
紫外線曝露4〜6時間後にピーク
サンタン(色素沈着)
曝露2〜3日後から出現

メカニズム

サンバーン(日焼け紅斑)
UVBによるDNA損傷→炎症反応。赤み・痛み・水疱 [5]
サンタン(色素沈着)
メラニン生成の増加。いわゆる"日焼け"の色 [5]

紫外線による慢性(長期)の影響 [2][4][5]:

影響説明
光老化しわ、しみ、皮膚の弾力低下。加齢による老化とは別のメカニズム [5]
皮膚がん基底細胞がん、扁平上皮がん、悪性黒色腫のリスク上昇 [2]
免疫抑制紫外線は皮膚の免疫機能を一時的に低下させる [2]
眼への影響白内障、翼状片のリスク上昇 [4]

日本は欧米に比べて皮膚がんの発生率は低いですが、紫外線によるダメージの蓄積は皮膚の色に関係なく起こります [2]。"日本人は肌が強い"というのは誤解です

ポイント

  • UVAは真皮まで到達し光老化の原因。UVBは表皮にダメージを与え皮膚がんの主原因 [2][5]
  • 紫外線の影響は急性(日焼け)と慢性(皮膚がん・光老化)の両方がある [2]
  • 日本人でも紫外線ダメージは蓄積する [2]

Q3.「日焼け止めはいつから使えますか? どう選べばいいですか?」

——赤ちゃんにも日焼け止めを塗っていいのでしょうか? 何ヶ月から使えますか?

日焼け止めは生後6ヶ月から使用可能です [6][7]。生後6ヶ月未満の赤ちゃんは日焼け止めよりも物理的な遮光(帽子、長袖、日よけ)で紫外線を防ぐのが基本です [6]

年齢別の紫外線対策 [6][7]:

年齢推奨される対策
6ヶ月未満直射日光を避ける。帽子、長袖、ベビーカーの日よけ。日焼け止めは原則使用しない [6]
6ヶ月〜2歳物理的遮光+ノンケミカル(紫外線散乱剤)の日焼け止め [6][7]
2歳以上物理的遮光+日焼け止め(ノンケミカルまたはケミカル)[7]

日焼け止めの種類と選び方 [6][7][8]:

ノンケミカル(紫外線散乱剤)

主成分
酸化亜鉛、酸化チタン [8]
仕組み
紫外線を物理的に反射する [8]
肌への刺激
低刺激。敏感肌に適する [8]
白浮き
白くなりやすい
子どもへの推奨
推奨。特に乳幼児 [6][7]

ケミカル(紫外線吸収剤)

主成分
オクチノキサート、アボベンゾンなど [8]
仕組み
紫外線を化学的に吸収して熱に変換 [8]
肌への刺激
やや刺激がある場合がある [8]
白浮き
透明で塗りやすい
子どもへの推奨
2歳以上であれば使用可

日焼け止めの指標の読み方 [7][8]:

意味

SPF(Sun Protection Factor)
UVBを防ぐ力。数値が高いほど強い [8]
PA(Protection Grade of UVA)
UVAを防ぐ力。+〜++++で表示 [8]
ウォータープルーフ
水・汗に強い

子どもへの推奨

SPF(Sun Protection Factor)
SPF30以上が目安 [6][7]
PA(Protection Grade of UVA)
PA++〜+++ [7]
ウォータープルーフ
プール・海では推奨。ただし塗り直しは必要

日常使いならSPF30前後のノンケミカルタイプで十分です [6][7]。数値を上げるより、適切な量を塗ること、2時間ごとに塗り直すことのほうが効きます [6][7]

日焼け止めの正しい塗り方 [6][7]:

ポイント説明
塗る量顔ならクリームタイプで真珠粒2個分。薄く塗りすぎると効果が不十分 [7]
塗るタイミング外出の15〜30分前に塗る [7]
塗り直し2時間ごと、汗をかいた後、水遊びの後 [6][7]
塗り忘れやすい場所耳、首の後ろ、足の甲。忘れずに塗る [7]
落とし方帰宅後に石鹸で優しく洗い流す [6]

ポイント

  • 日焼け止めは生後6ヶ月から使用可能 [6]
  • 子どもにはノンケミカル(紫外線散乱剤)タイプ、SPF30前後が目安 [6][7]
  • 適切な量を塗り、2時間ごとに塗り直すことが大切 [7]
  • 6ヶ月未満は物理的遮光(帽子、長袖、日よけ)で対応 [6]

Q4.「日焼けしてしまったときのケアを教えてください」

——先日、外遊びで子どもがひどく日焼けしてしまいました。真っ赤になって痛がっています。どうすればいいですか?

日焼け(サンバーン)は実質的には皮膚のやけどです [5]。適切なケアで悪化を防ぎましょう

日焼け後のケア手順 [5][9]:

具体的な方法

① 冷却
流水や濡れタオルで冷やす(15〜20分)
② 保湿
ワセリンや保湿ローションをたっぷり塗る
③ 水分補給
水やお茶でこまめに水分を摂る
④ 痛みのケア
痛みが強い場合はアセトアミノフェン(カロナール等)
⑤ 水疱の対応
水疱は潰さない。清潔に保つ

注意点

① 冷却
氷を直接当てない。冷やしすぎない [9]
② 保湿
カラミンローションも可。刺激のないものを [9]
③ 水分補給
日焼け後は脱水リスクがある [9]
④ 痛みのケア
イブプロフェンも使用可(年齢による)[9]
⑤ 水疱の対応
潰れた場合はガーゼで保護 [9]

やってはいけないこと [9]:

NG行為理由
水疱を潰す感染リスクが上がる [9]
アロエの生葉を直接塗る接触皮膚炎を起こす可能性がある
油性の軟膏を厚塗り熱がこもる
再び紫外線に当てるダメージがさらに悪化する [9]

日焼けで受診すべきケース [5][9]:

症状対応
広範囲の水疱当日受診
発熱を伴う日焼け当日受診
激しい痛みで眠れない当日受診
脱水症状(ぐったり、尿が少ない)すぐに受診
顔面の腫脹当日受診

軽度の日焼けは自宅のケアで2〜3日で改善しますが、広範囲の水疱や発熱を伴う場合は受診してください [9]。やけどの応急処置について詳しくはVol.89もご参照ください

ポイント

  • 日焼けは皮膚のやけど。冷却→保湿→水分補給が基本のケア [5][9]
  • 水疱は潰さない [9]
  • 広範囲の水疱・発熱・脱水がある場合は受診 [9]

Q5.「紫外線を避けすぎるとビタミンD不足になりませんか?」

——紫外線は怖いけど、ビタミンDは日光で作られると聞きました。子どもをまったく日に当てないのも問題ですよね?

とてもよいご指摘です。紫外線対策とビタミンDのバランスは、小児科医にとっても重要なテーマです [3][10]

ビタミンDの役割 [3][10]:

役割説明
骨の形成カルシウムの吸収を促進し、骨の成長を支える [10]
免疫機能免疫の調節に関与 [10]
不足するとくる病(乳幼児の骨の変形)、骨軟化症 [10]

実は近年、日本でもビタミンD不足の子どもが増えていることが報告されています [3][10]。その背景には、過度の紫外線回避、母乳栄養(母乳はビタミンDが少ない)、偏食などがあります [3]

ビタミンD不足のリスク因子 [3][10]:

リスク因子説明
完全母乳栄養母乳にはビタミンDが少ない(人工乳は強化されている)[10]
過度の紫外線回避日光にまったく当たらない生活 [3]
偏食魚(特にサケ、イワシ)や卵の摂取が少ない [10]
皮膚の色が濃いメラニンが多いとビタミンD合成が低下 [10]
北国・冬季日照時間が短い地域・季節 [3]

紫外線対策とビタミンDのバランス [3][10][11]:

項目推奨
必要な日光曝露時間夏:1日10〜15分程度の手足への日光。冬:1日20〜30分程度 [3][11]
日焼けの必要はない皮膚が赤くなるほどの日光浴は不要。日陰でも散乱光でビタミンDは作られる [11]
食事からの摂取サケ、イワシ、しらす、干し椎茸、卵黄、ビタミンD強化食品 [10]
サプリメント完全母乳栄養児にビタミンD 400 IU/日の補充が推奨される(AAP)[10]

大切なのは"極端にならない"ことです [3]。日焼けするほど長時間日光浴する必要はありませんが、完全に遮光するのも行き過ぎです [3]。帽子をかぶって日焼け止めを塗った上で、適度に外遊びをするのがベストなバランスです [11]

——日焼け止めを塗るとビタミンDが作られなくなるのではないですか?

理論的にはそうなのですが、実際の研究では、日常的に日焼け止めを使用してもビタミンD値に大きな影響はないことが報告されています [11]。塗りムラや塗り直しの間に十分な紫外線が届いているためと考えられます [11]。紫外線を恐れて外遊びを控えるよりも、日焼け止めを塗って外で遊ぶほうが子どもの心身の発達にとって望ましいです

ポイント

  • 紫外線を極端に避けるとビタミンD不足のリスクがある [3][10]
  • ビタミンD生成に日焼けは不要。1日10〜15分の軽い日光曝露で十分 [3][11]
  • 完全母乳栄養児にはビタミンDサプリメント(400 IU/日)の補充が推奨 [10]
  • 日焼け止めを使用してもビタミンD値への影響は小さい [11]
  • 日焼け止めを塗って外で遊ぶのがベストバランス

まとめ

  • 子どもの皮膚は大人より薄く、紫外線の影響を受けやすい。子どもの頃の紫外線曝露は将来の皮膚がんリスクに影響する [2][4]
  • 日焼け止めは生後6ヶ月から使用可能。ノンケミカルタイプ、SPF30前後が子どもに適している [6][7]
  • 6ヶ月未満は物理的遮光(帽子・長袖・日よけ)で対応する [6]
  • 日焼けしたら冷却→保湿→水分補給。水疱は潰さない。広範囲の水疱や発熱は受診 [5][9]
  • 紫外線対策とビタミンDのバランスが大切。日焼け止めを塗って適度に外遊びするのが理想 [3][11]
  • 完全母乳栄養児にはビタミンDサプリメントの補充を検討 [10]

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