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「突然泣いて足を縮める」、腸重積の早期発見
Vol.184おなか

「突然泣いて足を縮める」、腸重積の早期発見

腸重積は生後3か月〜2歳に多く、24時間以内の処置が鍵。泣いては治まるを繰り返す間欠的腹痛が最重要サイン

おなか全年齢5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 生後3か月〜2歳に多く、ピークは生後5〜9か月
  • 腸が腸の中にはまり込む病気で、間欠的腹痛が典型サイン
  • 24時間以内の処置で80〜90%は手術なしで治療可能

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.184

「突然泣いて足を縮める」、腸重積の早期発見

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

腸重積は、腸の一部が隣接する腸の中に入り込む(はまり込む)病気で、乳幼児の急性腹症の中で最も頻度が高い疾患の一つです。発症から24時間以内の処置が重要で、遅れると腸が壊死するリスクがあります。今回は、腸重積の早期発見のポイントをお伝えします。

Q1.「腸重積とはどんな病気ですか?」

——腸重積という病気を初めて聞きました

腸の一部が、隣の腸の中にめり込んでしまう病気です [1]

基本情報詳細
好発年齢生後3か月〜2歳(ピークは生後5-9か月)
頻度1,000人に1-4人
男女比男児にやや多い(2:1)
原因多くは特発性(原因不明)。ウイルス感染後に多い
緊急度高い。24時間以内の処置が重要

ポイント

  • 生後3か月〜2歳に多い
  • 腸が腸の中にはまり込む病気
  • 24時間以内の処置が重要

Q2.「腸重積の症状は?」

——どんな症状が出ますか?

3つの典型的な症状があります [2]。ただし、3つ全てが揃うのは約20%です。

典型的な3症状特徴
①間欠的な腹痛(啼泣)突然激しく泣き、数分で治まり、また泣くを繰り返す
②嘔吐腹痛に伴い嘔吐。胆汁性(緑色)嘔吐は要注意
③血便(イチゴジャム状)暗赤色の粘液便。発症から数時間後に出ることが多い
受診のタイミング
突然の激しい泣き→治まる→また泣くの繰り返し
嘔吐を繰り返す
暗赤色の血便
ぐったりして元気がない
顔色が悪い

「血便が出る前に受診することが理想です。『泣いたり治まったりを繰り返す』パターンが最も重要なサインです。」

ポイント

  • 間欠的な腹痛(泣く→治まる→泣く)が最重要サイン
  • 3症状が揃うのは約20%
  • 血便が出る前の受診が理想

Q3.「腸重積の治療は?」

——手術が必要ですか?

多くの場合、非手術的な整復(空気や造影剤で戻す)で治療できます [3]

方法

高圧浣腸整復
肛門から空気や造影剤を注入して押し戻す
手術
整復不能、腸壊死、穿孔がある場合

成功率

高圧浣腸整復
80-90%
手術
確実
治療の流れ
①エコー検査で診断確定
②脱水の補正(点滴)
③高圧浣腸による整復を試みる
④整復成功→入院経過観察(再発の確認)
⑤整復不能→手術

「早期に受診すれば、80-90%は手術なしで治療可能です。発症から24時間を超えると、腸壊死のリスクが上がり、手術が必要になる確率が高くなります。」

ポイント

  • 80-90%は手術なしで治療可能
  • 発症から24時間以内が重要
  • 早期受診が治療成功の鍵

Q4.「腸重積は再発しますか?」

——一度治ったら安心ですか?

約10%に再発があります [4]

再発について詳細
再発率整復後の約10%
再発時期整復後72時間以内が最も多い
対応再度高圧浣腸整復。多くは成功
頻回再発3回以上の再発は器質的疾患を精査

「退院後1週間程度は再発に注意してください。間欠的な腹痛のパターンが再び見られたら、すぐに受診してください。」

ポイント

  • 約10%に再発がある
  • 整復後72時間以内の再発が最多
  • 再発時も高圧浣腸で治療可能

Q5.「ロタウイルスワクチンとの関連は?」

——ロタウイルスワクチンで腸重積が起きると聞きました

ロタウイルスワクチン接種後にわずかに腸重積のリスクが上がることが報告されていますが、ワクチンのメリットはリスクを大きく上回ります [5]

データ詳細
ワクチンなしの腸重積リスク1歳未満で約1/2,000-1/5,000
ワクチン後の追加リスク初回接種後7日間で約1/20,000-1/100,000
ワクチンのメリットロタウイルス胃腸炎による入院を約85%予防

「リスクを最小化するため、ロタウイルスワクチンの初回は生後14週6日までに接種することが推奨されています。接種後1-2週間は腸重積の症状に注意してください。」

ポイント

  • ワクチン後のリスクはあるが非常に低い
  • ワクチンのメリットはリスクを大きく上回る
  • 初回は生後14週6日までに接種

今号のまとめ

  • 腸重積は腸が腸にはまり込む緊急性の高い病気です
  • 「泣く→治まる→泣く」の繰り返しが最重要サイン
  • 24時間以内の受診で80-90%は手術なしで治療可能
  • 約10%に再発。退院後1週間は注意
  • ロタワクチンのメリットはリスクを大きく上回る

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ご質問・ご感想

「腸重積と言われて怖かったです」「早めに受診してよかったです」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

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