コンテンツへスキップ
MINATON
「麻疹の症状、どう見分ける?」、親が気づくべき3つのサイン
Vol.375感染症

「麻疹の症状、どう見分ける?」、親が気づくべき3つのサイン

コプリック斑、二峰性発熱、発疹の広がり方。突発性発疹・風疹・川崎病との鑑別と、受診のタイミング、電話連絡の理由をまとめました

感染症6〜12ヶ月・1〜3歳・3〜6歳6
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 4·Q&A 問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • カタル3徴(発熱・咳・鼻水・目の充血)と二峰性発熱が麻疹を疑うポイント
  • コプリック斑は発疹が出る1〜2日前に頬の内側に現れる麻疹特有の所見
  • 麻疹が疑われたら、直接受診せずまず電話。これで他の家族を守れる

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.375

「麻疹の症状、どう見分ける?」、親が気づくべき3つのサイン

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「熱と発疹が出ていて、これ麻疹でしょうか?」。この質問がやっかいなのは、初期の見た目だけでは、麻疹と他の発疹の病気を区別しにくいからです。そしてもう一つ。麻疹は「疑った時点で普通に受診しない」ことが大事になります。今号では、家庭で気づけるポイントと、疑ったあとの動き方を整理します。

麻疹の典型経過は3段階で進む

麻疹の症状は、カタル期→発疹期→回復期と3段階をたどります [1]。

カタル期(発疹が出る前の2〜4日)は、38℃前後の発熱と強い咳、大量の鼻水、目の充血(結膜炎)が特徴です。この「発熱+咳+鼻水+目の充血」をカタル3徴と呼びます [1]。風邪にしては目やにがひどい、光をまぶしがる、こういう違和感を覚える親御さんは鋭いです。

そして、発疹が出る直前の1〜2日、頬の内側の粘膜(上の奥歯の対側)に、赤い背景の上に白砂を散らしたような小さな斑点が現れます。これがコプリック斑です [2]。麻疹に特異的な所見で、これが見えればほぼ確定できます。ただし発疹が出て1〜2日で消えてしまうので、見逃されがちです。

発疹期に入ると、一度下がった熱が39〜40℃に跳ね上がります。これが「二峰性発熱」です [1]。発疹は耳の後ろから始まり、顔→体幹→手足の順番に広がります。かゆみはあまりなく、退色した後に薄茶色の色素沈着を残すのが特徴です。

💡親が気づくサイン

「風邪にしては目の充血と咳が強い」「一度熱が下がってまた上がった」「顔から始まる赤い発疹が下に広がっている」、この3つが揃ったら、麻疹を疑ってください。

他の発疹性疾患とどう見分けるか

子どもの発疹といえば、突発性発疹が圧倒的に多い病気です。こちらは3〜4日高熱が続いた後、解熱と同時に体幹から発疹が出ます。顔には出にくく、咳や目の充血はありません。麻疹のような前駆症状の激しさがないのがポイントです [1]。

風疹は麻疹と似ていますが、発熱は軽く、リンパ節腫脹(特に耳の後ろ)が目立ちます。発疹も3日程度で消え、色素沈着を残しません [3]。

川崎病は5日以上続く発熱・目の充血・発疹・口の中の赤み・首のリンパ節腫脹・手足の変化などの症状が出ますが、咳や鼻水は目立ちません [4]。発疹のパターンも多様で、麻疹のような頭から足への広がり方は示しません。

ウイルス性の発疹(エンテロウイルス、パルボウイルスB19など)はさらに多彩で、一つひとつの鑑別は小児科医でも迷うことがあります。だからこそ、「麻疹かも」と頭をよぎった時点で、まず電話で相談していただきたいのです。

受診の前に、必ず電話してください

麻疹が疑われたとき、医療機関の待合室に直接入るのは避けてください [2]。麻疹は空気感染するので、待合室にいる妊婦さんや、ワクチン未接種の赤ちゃん、免疫が下がっている方に広げてしまう恐れがあります。

正しい行動は、次の順番です。

  1. 2
    まず電話で「麻疹かもしれない」と伝える。病院側が専用の入口や診察時間を案内します
  2. 4
    可能なら自家用車で来院する。電車・バスは避ける
  3. 6
    病院の指示した場所・時間に到着する
  4. 8
    待合室には絶対に入らない
コンコン先生
🏥

おかもん先生より

実際に、春先の海外帰りのお子さんが外来に「風邪と発疹で」と来たことがあります。診察中にコプリック斑を見つけて冷や汗をかきました。すぐに個室に移していただき、他の患者さんとの接触を最小限にして対応できましたが、もし待合室に1時間いたら、その後2時間は新しい患者さんを入れられません。電話一本で守れるものが多いので、「大げさかな」と思う段階でもぜひ連絡してください。迷惑な質問ではありません。助けになる質問です。

受診のタイミングの目安

発熱だけで発疹がない段階でも、次のどれかがあれば早めの連絡をおすすめします。

  • 海外渡航後10〜14日以内の発熱
  • 家族や保育園で麻疹患者との接触がある
  • 高熱+咳・鼻水・目の充血が強く、風邪にしては重い
  • 一度下がった熱が再び上がった
  • 赤い発疹が顔から始まって下に広がっている
⚠️こんなときは迷わず電話を

発熱と発疹に加えて、ぐったりしている、水分がとれない、けいれんがある、これらは合併症のサインです。夜間でもすぐ医療機関に連絡してください。

まとめ

  • 麻疹はカタル期→発疹期→回復期と進む。カタル3徴と二峰性発熱が鍵
  • コプリック斑は発疹直前の1〜2日だけ見える麻疹特有の所見
  • 突発性発疹・風疹・川崎病との鑑別は症状の経過で考える
  • 疑ったら直接受診せず、まず電話。これで他の家族を守れる

この記事は役に立ちましたか?

※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

関連記事

「はしかだけは絶対にかかってはいけない」、最強の感染力を持つ麻疹のすべて
Vol.149感染症

「はしかだけは絶対にかかってはいけない」、最強の感染力を持つ麻疹のすべて

麻疹は基本再生産数12〜18と、すべての感染症の中で最も感染力が強い。空気感染するため同じ空間にいるだけで感染する

  • 麻疹は基本再生産数12〜18と、すべての感染症の中で最も感染力が強い。空気感染するため同じ空間にいるだけで感染する
  • 肺炎・脳炎・SSPE(亜急性硬化性全脳炎)など重篤な合併症があり、先進国でも1,000人に1〜3人が死亡する
全年齢
読む
「熱が下がったら発疹が……」、突発性発疹の正しい知識
Vol.37感染症

「熱が下がったら発疹が……」、突発性発疹の正しい知識

突発性発疹の経過と対処法

  • 突発性発疹は生後6ヶ月〜2歳に多く、ほぼすべての子どもが経験する
  • 3〜4日の高熱の後、解熱とともに発疹が出るのが特徴
6〜12ヶ月・1〜3歳
読む
「三日ばしか」と侮るなかれ、風疹と先天性風疹症候群を防ぐために
Vol.150生活・育児

「三日ばしか」と侮るなかれ、風疹と先天性風疹症候群を防ぐために

風疹そのものは軽症で終わることが多いが、妊娠初期の感染は先天性風疹症候群(CRS)を引き起こし、赤ちゃんに白内障・難聴・心疾患などの重大な障害をもたらす

  • 風疹そのものは軽症で終わることが多いが、妊娠初期の感染は先天性風疹症候群(CRS)を引き起こし、赤ちゃんに白内障・難聴・心疾患などの重大な障害をもたらす
  • MRワクチン2回接種で風疹は予防可能。子どもだけでなく、保護者(特に成人男性)の接種歴の確認が重要
全年齢
読む