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1ヶ月健診で何を見る? 体重、黄疸、股関節、心臓のチェックポイント
Vol.477健診

1ヶ月健診で何を見る? 体重、黄疸、股関節、心臓のチェックポイント

1ヶ月健診の検査項目と目的を解説。体重増加、黄疸、股関節脱臼、先天性心疾患のスクリーニングについて知っておきたいこと

健診7
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 問収録

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この記事のポイント

  • 1ヶ月健診では体重増加、黄疸、股関節、心音、外性器、神経学的反射など全身をチェックする
  • 股関節脱臼のスクリーニングは早期発見が重要。開排制限やクリック音が確認ポイント
  • 先天性心疾患は出生1,000人に約8-10人。心雑音の聴取とパルスオキシメトリーで発見される

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.477

1ヶ月健診で何を見る? 体重、黄疸、股関節、心臓のチェックポイント

今号のポイント

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    1ヶ月健診では体重増加、黄疸、股関節、心音、外性器、神経学的反射など全身をチェックする
  2. 4
    股関節脱臼のスクリーニングは早期発見が重要。開排制限やクリック音が確認ポイント
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    先天性心疾患は出生1,000人に約8-10人。心雑音の聴取とパルスオキシメトリーで発見される

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

生まれてから初めての健診。緊張されている方も多いのではないでしょうか。1ヶ月健診では、赤ちゃんの全身を頭からつま先まで丁寧に診察します。「何のためにここを見ているのか」がわかると、安心して健診を受けられるはずです。今号では、1ヶ月健診の主な検査項目とその目的を解説します。

体重・身長・頭囲の測定

最初に行うのが身体計測です。出生時からの体重増加を確認し、成長曲線にプロットします。

1ヶ月健診時の体重増加の目安は、出生体重から約1kgの増加、または1日あたり25-30gの増加です [1]。ただしこれは平均であり、個人差があります。成長曲線のカーブに沿って増えていれば問題ありません。

身長と頭囲も同時に測定します。体重・身長・頭囲の3つのバランスを見ることで、栄養状態や脳の発達を評価します。

黄疸のチェック

1ヶ月健診の時点でまだ黄疸が残っている場合は、母乳性黄疸と病的黄疸の鑑別が必要です。

ほとんどは母乳性黄疸(無害で自然に消える)ですが、見逃してはいけないのが胆道閉鎖症です。胆道閉鎖症は胆汁の流れが滞る疾患で、生後2ヶ月以内の発見と手術(葛西手術)が予後を大きく左右します [2]。

健診では便色カードの確認が行われます。便が白っぽい(クリーム色、灰色、淡黄色)場合は胆道閉鎖症の可能性があるため、必ず医師に伝えてください。母子手帳に入っている便色カードを使って、日頃から便の色を確認する習慣をつけましょう。

💡便色カードの使い方

母子手帳に綴じ込まれている便色カードで、赤ちゃんの便の色を確認します。カードの1-3番(白っぽい色)に近い場合は要注意です。自然光のもとで、おむつに直接ついた便と照らし合わせてください。

股関節のスクリーニング

発育性股関節形成不全(DDH、旧称:先天性股関節脱臼)のスクリーニングは1ヶ月健診の重要な項目です。早期発見・早期治療が極めて重要で、発見が遅れると歩行に影響が出ることがあります [3]。

健診で行う主な検査は2つ。Ortolani(オルトラーニ)テスト:股関節を外側に開いたとき、脱臼していた関節が「コクン」と整復される感覚の有無を確認します。Barlow(バーロー)テスト:股関節を内側に押したとき、関節が「スルッ」と外れる感覚の有無を確認します [3]。

これらのテストで異常が疑われる場合や、リスク因子がある場合(骨盤位分娩、家族歴、女児など)は、超音波検査が行われます。超音波検査は生後4-6週以降が正確とされているため、1ヶ月健診はちょうどよいタイミングです [3]。

おむつ替えのときに両脚を均等に開けない(開排制限がある)場合は、健診時に必ず伝えてください。

心音の聴取と先天性心疾患

先天性心疾患は出生1,000人に約8-10人に見られ、先天異常の中で最も多いものです [4]。入院中のパルスオキシメトリースクリーニング(手と足の酸素飽和度を測定する検査)で発見されることが多くなりましたが、1ヶ月健診での心音聴取も重要な役割を果たします。

健診で心雑音が聴取された場合、必ずしも心疾患があるとは限りません。新生児期には「無害性心雑音」(構造的な異常がないのに聴こえる雑音)が非常に多く、その多くは成長とともに消えます [4]。

ただし、心雑音に加えて、哺乳時の疲れやすさ、多呼吸、チアノーゼ(唇や爪が紫色になる)などの症状がある場合は、速やかに精密検査が行われます。

⚠️家庭で気づくサイン

授乳中に異常に疲れて休み休み飲む、安静時でも呼吸が速い、唇や爪の色が悪い、汗の量が異常に多い。これらは先天性心疾患の徴候である可能性があります。健診を待たずに受診してください。

その他の確認項目

1ヶ月健診ではこのほかにも多くの項目を確認しています。

大泉門の状態:頭頂部のやわらかい部分の大きさと緊張を確認します。膨隆している場合は頭蓋内圧亢進、陥没している場合は脱水の可能性があります。

眼の確認:赤色反射(眼底が赤く光るか)を確認し、白色瞳孔(網膜芽細胞腫や白内障のサイン)がないかをチェックします。

外性器:男児では停留精巣(精巣が陰嚢内に降りていない状態)の有無を確認します。

原始反射:モロー反射、把握反射、吸啜反射など、神経系の発達を評価する反射を確認します [5]。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

1ヶ月健診は、赤ちゃんにとって「初めての小児科受診」であると同時に、お母さんにとっても初めてのことだらけの1ヶ月を振り返る大切な機会です。私が健診で心がけているのは、検査結果をお伝えするだけでなく「この1ヶ月、よくがんばりましたね」とお声がけすることです。先日、ある初産のお母さんが健診後に「体重がちゃんと増えていると聞いて、初めて自分のやってきたことが間違っていなかったと思えました」とおっしゃっていました。健診は異常を見つける場だけではなく、この1ヶ月の育児が順調であることを確認して安心する場でもあります。聞きたいことはメモして持ってきてくださいね。

今号のまとめ

  • 体重増加は出生時から約1kg増が目安。成長曲線のカーブに沿っていれば順調 [1]
  • 便色カードで胆道閉鎖症のスクリーニング。白っぽい便は要注意 [2]
  • 股関節のOrtolani/Barlowテストで発育性股関節形成不全を早期発見 [3]
  • 先天性心疾患は1,000人に8-10人。心雑音があっても無害なことが多いが、精査は必要 [4]

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愛育病院 小児科 おかもん先生

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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