愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.176
「足の裏にいぼができました」、尋常性疣贅(いぼ)の治療
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
いぼ(尋常性疣贅)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚の小さな傷から入り込んで起こります。学童期の子に多く、手の指や足の裏でよく見つかります。放っておいても消えることはありますが、待っているうちに増えたり大きくなったりするのも事実です。今回は、外来でよく聞かれる「治療どうしますか」の話を整理します。
Q1.「いぼとは何ですか?」
——手に硬いブツブツができました
いぼ(尋常性疣贅)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)による皮膚感染症です [1]。水いぼ(伝染性軟属腫)とは原因ウイルスが異なります。
いぼ(尋常性疣贅)
- 原因
- HPV(ヒトパピローマウイルス)
- 見た目
- 硬い、表面がザラザラ、灰白色
- 好発年齢
- 学童期(5-15歳)
- 好発部位
- 手、足の裏、膝
- 自然治癒
- 2年以内に約3分の2が消失との古典的報告あり [5]
水いぼ(伝染性軟属腫)
- 原因
- 伝染性軟属腫ウイルス
- 見た目
- 軟らかい、光沢あり、中央にくぼみ
- 好発年齢
- 幼児期(1-5歳)
- 好発部位
- 体幹、腋窩
- 自然治癒
- 6〜12か月
ポイント
- HPVによる皮膚感染症
- 水いぼとは別の病気
- 手や足の裏に多い
Q2.「いぼの治療法は?」
——液体窒素で焼くしかないですか?痛がって嫌がります
液体窒素療法が標準的ですが、他にもいくつかの方法があります [2]。
| 治療法 | 方法 | 痛み | 通院 |
|---|---|---|---|
| 液体窒素療法 | マイナス196℃で凍結 | あり | 2-3週間ごと、数回 |
| サリチル酸貼付 | 市販のスピール膏を貼る | なし | 自宅で毎日 |
| ヨクイニン内服 | 漢方薬の内服 | なし | 2-3か月継続 |
| モノクロロ酢酸 | 酸で焼灼 | やや痛い | 1-2週間ごと |
| レーザー治療 | CO2レーザーで蒸散 | 局所麻酔使用 | 1-2回 |
「痛いのが苦手な子には、スピール膏とヨクイニン内服の組み合わせで攻めることが多いです。効くまでに時間はかかりますが、痛みも通院の負担も少なくて済みます。」
ポイント
- 液体窒素が標準的だが痛みがある
- 痛くない方法(貼付・内服)もある
- 治療法は組み合わせると効果的
Q3.「足の裏のいぼが治りません」
——足の裏のいぼに何度も液体窒素をしていますが治りません
足底のいぼは最も治りにくい場所です [3]。
| 足底のいぼの特徴 | 理由 |
|---|---|
| 角質が厚い | ウイルスが深くまで到達している |
| 体重がかかる | 治療しても再発しやすい |
| 歩行で広がる | 圧力で周囲に拡大(モザイク疣贅) |
| 足底のいぼの治療のコツ |
|---|
| 治療前にスピール膏で角質を軟らかくしてから液体窒素 |
| 液体窒素は十分に凍結させる(痛みは増すが効果的) |
| サリチル酸を毎日貼り続ける |
| 治療後は絆創膏で覆い、感染拡大を防ぐ |
「足の裏のいぼは、完治まで3〜6か月、ときにそれ以上かかります。途中でやめると元に戻るので、根気が一番の薬だと思ってください。」
ポイント
- 足底のいぼは最も治りにくい
- 角質を軟らかくしてから治療すると効果的
- 完治まで数か月かかることもある
Q4.「いぼはうつりますか?」
——兄弟や友達にうつりますか?プールは大丈夫ですか?
いぼは接触感染で広がります [4]。
| 感染経路 | 対策 |
|---|---|
| 直接接触 | いぼを触らない、触った後は手洗い |
| 間接接触 | 共有のタオル、スリッパの使用を避ける |
| 自己接種 | いぼを掻いたり、爪を噛んだりしない |
| プール | プールの水では感染しない。裸足での歩行に注意 |
「プールの水でうつることはまずありません。気をつけたいのはプールサイドの裸足歩きです。サンダルを履いておけば安心です。」
ポイント
- 接触感染で広がる
- プールの水では感染しない
- 裸足での共有スペースの歩行に注意
Q5.「いぼが自然に治ることはありますか?」
——放置しても治りますか?
自然治癒することはありますが、確実ではありません [5]。
| 期間 | 自然治癒の目安 |
|---|---|
| 1年以内 | 約50%(小学生コホート、Bruggink 2013) [5] |
| 2年以内 | 約3分の2(古典的報告) [5] |
| 3年以上残存 | 一定数残るとの報告あり(要確認) |
| 経過観察が適さない場合 |
|---|
| いぼが増えている |
| いぼが大きくなっている |
| 痛みがある(足底) |
| 本人が気にしている |
| 他人にうつす心配がある |
「自然治癒を待つ場合でも、いぼが広がらないようにテープで覆うことをお勧めします。」
ポイント
- 1年で約半数、2年で約3分の2が自然に消える報告がある [5]
- 増えている、大きくなっているときは治療を
- テープで覆って広がりを防ぐ
今号のまとめ
- いぼはHPVによる皮膚感染症。水いぼとは異なる
- 液体窒素が標準的治療だが、痛くない方法もある
- 足底のいぼは治りにくく、根気よく治療が必要
- 接触感染で広がる。いぼを触った後は手洗い
- 自然治癒は期待できるが個人差が大きい。広がるときは治療を
あわせて読みたい
- Vol.175「水いぼの最新治療」
- Vol.146「HPVワクチン」
- Vol.174「子どもの乾燥肌とスキンケア」
- Vol.154「登園基準」
ご質問・ご感想
「いぼが治らなくて困っています」「液体窒素が嫌で受診を嫌がります」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
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