愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.497
救急車を呼ぶべきとき。迷ったときの判断基準
今号のポイント
- 2意識障害、呼吸困難、けいれん持続、大量出血は迷わず119番
- 4判断に迷ったら#7119(24時間対応)で専門家に相談できる
- 6呼ぶことをためらって手遅れになるより、呼んで問題なかった方がはるかによい
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
子どもが急に具合が悪くなったとき、「これは救急車を呼ぶべき状況なのか」「自分で病院に連れて行くべきか」と迷うことがあると思います。今号では、迷ったときに使える判断基準を症状別に整理します。冷蔵庫に貼っておけるよう、ポイントを簡潔にまとめました。
すぐに119番を呼ぶべき状況
以下の症状がある場合は、ためらわずに救急車を呼んでください [1][2]。
| 症状カテゴリ | 具体的なサイン |
|---|---|
| 意識 | 呼びかけに反応しない、ぐったりして目が合わない、ぼんやりして会話が成り立たない |
| 呼吸 | 唇や爪が青い(チアノーゼ)、肩で息をしている、ゼーゼーして息が苦しそう、呼吸が止まった |
| けいれん | 5分以上続く、けいれんが治まっても意識が戻らない、初めてのけいれん |
| 出血・外傷 | 止まらない出血、頭部を強打して嘔吐を繰り返す、骨が見えるような深い傷 |
| アレルギー | 全身のじんましんに加えて呼吸困難や顔の腫れ(アナフィラキシー) |
| 誤飲 | ボタン電池、タバコ、薬品などの危険物を飲み込んだ |
| やけど | 広範囲(体表面積の10%以上)、顔・気道のやけど |
生後3か月未満の赤ちゃんが38度以上の発熱をした場合は、重篤な細菌感染症の可能性があります。救急受診が必要ですので、速やかに医療機関に連絡してください。
救急車か自家用車か迷ったときの判断
| 救急車を呼ぶ | 自家用車で受診する |
|---|---|
| 意識がもうろうとしている | 意識ははっきりしている |
| 呼吸に異常がある | 呼吸は安定している |
| 症状が急速に悪化している | 症状は安定している(悪化していない) |
| 移動中に状態が変わりうる | 移動中に悪化するリスクが低い |
| 保護者が運転に集中できない | 安全に運転できる |
判断に迷うときは#7119(東京消防庁救急相談センター、24時間対応)に電話してください。救急車を呼ぶべきか、自分で受診すべきか、専門のスタッフが電話で判断を助けてくれます [3]。
119番に電話したら伝えること
焦っていても、以下の情報を伝えられると対応がスムーズになります [4]。
伝える内容
- 1
- 「救急です」
- 2
- 住所
- 3
- 誰がどうしたか
- 4
- 現在の状態
- 5
- 連絡先
例
- 1
- 火事か救急かを最初に伝える
- 2
- 「港区芝浦1丁目○○番地、マンション名○○号室」
- 3
- 「3歳の子どもがけいれんを起こしています」
- 4
- 「今は止まりましたが、ぐったりしています」
- 5
- 自分の携帯電話番号
救急隊が到着するまでの間、電話口のオペレーターが応急処置の指示をしてくれることもあります。電話を切らずに指示に従ってください。
救急車を呼ぶことをためらわないでください
「大したことなかったらどうしよう」「迷惑をかけるのでは」と考えて救急車の要請をためらう方は少なくありません。しかし、子どもの状態は急速に変化することがあり、様子を見ている間に悪化するリスクがあります [5]。
結果的に軽症であったとしても、救急隊や医療者が「呼ばなければよかったのに」と思うことはありません。「呼んでくれてありがとうございます」が私たちの本音です。
| よくある心配 | 実際のところ |
|---|---|
| 軽症だったら怒られる? | 怒られません。安心のために呼んでよいのです |
| 費用がかかる? | 救急車の利用は無料です |
| 他の人に迷惑では? | 本当に必要かもしれないと思った時点で、それは適切な判断です |
救急車が来るまでにできること
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| けいれん | 横向きに寝かせる、口の中に物を入れない、時間を計る |
| 嘔吐 | 横向きにして吐いたものが喉に詰まらないようにする |
| 意識がない | 気道を確保し、呼吸を確認。呼吸がなければ心肺蘇生(胸骨圧迫)を開始 |
| アナフィラキシー | エピペンがあれば使用する。なければ足を高くして寝かせる |
| 出血 | 清潔な布で傷口を圧迫して止血する |

おかもん先生より
救急外来で「すみません、大げさだったかもしれません」と恐縮される保護者の方がいらっしゃいます。結果的に軽症だったとしても、私はいつも「連れてきてくださってありがとうございます」とお伝えしています。お子さんの状態が急変したとき、保護者が感じた「いつもと違う」という直感は、専門家の判断と同じくらい大切です。迷ったら、遠慮せずに相談してください。手遅れになるよりも、安心を確認する方がずっと大切です。