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プール熱って何?、アデノウイルスと咽頭結膜熱の全知識
Vol.54感染症

プール熱って何?、アデノウイルスと咽頭結膜熱の全知識

アデノウイルス感染症(プール熱・咽頭結膜熱)の症状・治療・出席停止基準

感染症1〜3歳・3〜6歳・6〜12歳16
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 10·Q&A 5問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • プール熱(咽頭結膜熱)は高熱・目の充血・喉の痛みの3主徴が特徴
  • アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくく、石けんでの手洗いが重要
  • 出席停止は主な症状が消えてから2日が経過するまで

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.54

「高熱・目が真っ赤・喉が痛い」、アデノウイルス感染症を知ろう

今号のポイント

  1. 2
    アデノウイルスは50以上の血清型があり、咽頭結膜熱・流行性角結膜炎・胃腸炎など多彩な病気を引き起こす
  2. 4
    咽頭結膜熱(プール熱)の3主徴は「高熱」「目の充血」「喉の痛み」。高熱が4〜5日続くのが特徴
  3. 6
    特効薬はなく対症療法が中心。脱水予防が最も大切

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「4日も高い熱が下がらない」「目が充血して涙が止まらない」「喉が痛くてご飯が食べられない」、夏場を中心に、こうした症状で外来に駆け込むお子さんが増えます。この「三拍子そろった」症状を見たら、小児科医が真っ先に疑うのがアデノウイルス感染症です [1][2]。

アデノウイルスは非常にたくさんの型があり、引き起こす病気もさまざまです。今回は、代表的な咽頭結膜熱(プール熱)を中心に、流行性角結膜炎(はやり目)との違いや、治療・登園基準まで詳しくお伝えします。

Q1.「アデノウイルスって何ですか?いろんな病気を起こすと聞きましたが…」

——病院で『アデノウイルスですね』と言われましたが、風邪のウイルスとは違うのですか?

アデノウイルスは二本鎖DNAウイルスで、現在50以上の血清型(種類)が確認されています [1][3]。型によって引き起こす病気が異なるのが大きな特徴で、まさに「七変化」のウイルスです

引き起こす主な疾患

3型、4型、7型
咽頭結膜熱(プール熱) [1][2]
8型、19型、37型
流行性角結膜炎(はやり目) [4]
40型、41型
ウイルス性胃腸炎(下痢・嘔吐)[5]
3型、7型、21型
肺炎・気管支炎 [1]
11型、21型
出血性膀胱炎(血尿)[6]
1型、2型、5型
扁桃炎・咽頭炎

好発年齢

3型、4型、7型
幼児〜学童
8型、19型、37型
全年齢
40型、41型
乳幼児
3型、7型、21型
乳幼児
11型、21型
学童
1型、2型、5型
幼児〜学童

このように、呼吸器・目・消化管・泌尿器と、体のさまざまな臓器に感染を起こすのがアデノウイルスの特徴です [1][3]。風邪のウイルス(ライノウイルスなど)と比べて症状が強く出やすく、高熱が長引くのも大きな違いです

——50種類以上もあるんですか!ワクチンはないんですか?

残念ながら、一般向けのアデノウイルスワクチンは日本にはありません(米軍では4型・7型のワクチンが使われていますが、一般には利用できません)[3]。型が多いため、一つのワクチンですべてをカバーすることが難しいのです

もう一つ重要な特徴として、アデノウイルスは環境中での生存力が非常に強いウイルスです [7]。エンベロープ(脂質の膜)を持たないため、アルコール消毒が効きにくく、乾燥した環境でも長期間生存できます。消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効です [7]

アデノウイルスの基本情報詳細
ウイルスの種類二本鎖DNAウイルス(アデノウイルス科)[3]
血清型50種以上(A〜Gの7つの種に分類)[3]
エンベロープなし(アルコール消毒が効きにくい)[7]
潜伏期間2〜14日(通常5〜7日)[1]
感染経路飛沫感染、接触感染、糞口感染 [1][7]
有効な消毒次亜塩素酸ナトリウム、流水+石鹸での手洗い [7]
環境中の生存乾燥表面で数週間〜数カ月生存可能 [7]

ポイント

  • アデノウイルスは50以上の血清型があり、型によって病気が異なる [1][3]
  • エンベロープがないためアルコール消毒が効きにくい [7]
  • 消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効。手洗いが最も重要 [7]

Q2.「咽頭結膜熱(プール熱)の症状と経過を教えてください」

——「プール熱」と呼ばれるそうですが、プールに入ったからかかるんですか?

プールで集団感染しやすいことからそう呼ばれますが、プール以外でも感染します [1][2]。正式名は咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever: PCF)といい、主にアデノウイルス3型、4型、7型が原因です [2]

3つの主な症状(3主徴)があります

症状の詳細

1. 高熱
39〜40度の高熱が4〜5日間持続 [1][2]
2. 咽頭炎(喉の痛み)
喉が真っ赤に腫れ、食事が困難になることも [2]
3. 結膜炎(目の充血)
目が赤くなり、涙・目やにが出る。片側から始まり両側に広がることが多い [2][4]

頻度

1. 高熱
ほぼ全例
2. 咽頭炎(喉の痛み)
約80〜90%
3. 結膜炎(目の充血)
約50〜75%

——高熱が4〜5日も続くんですか?それは心配です…

はい、アデノウイルスの高熱は他のウイルスに比べて長引くのが特徴です [1]。ただし、4〜5日で自然に下がることがほとんどです。以下が典型的な経過です

発症からの日数経過
1〜2日目突然の39〜40度の高熱。喉の痛みが出始める [1][2]
2〜3日目喉の痛みが強くなり、片方の目が充血し始める。食欲低下 [2]
3〜5日目高熱が持続。目の充血が両側に広がることも。涙・目やにが増加 [4]
5〜7日目熱が下がり始める。喉の痛みも徐々に改善 [1]
7〜14日目目の充血が最後まで残ることがある。食欲が回復し元気になる [2]

注意していただきたいのが、7型アデノウイルスによる感染です [8]。7型は他の型に比べて重症化しやすく、肺炎を合併して入院が必要になるケースもあります。高熱が7日以上続く、呼吸が苦しそう、ぐったりしている場合は、すぐに受診してください [8]

症状受診の目安
高熱が7日以上続く要受診(肺炎・細菌二次感染の可能性)[8]
呼吸が速い、苦しそうすぐに受診(肺炎の可能性)[8]
水分がまったく取れないすぐに受診(脱水のリスク)[1]
ぐったりして反応が鈍いすぐに受診
目の充血が2週間以上続く眼科受診を推奨 [4]

ポイント

  • 咽頭結膜熱の3主徴は「高熱」「喉の痛み」「目の充血」 [2]
  • 高熱は4〜5日間持続するが、多くは自然に軽快する [1]
  • 7型は重症化リスクが高い。高熱の遷延・呼吸困難は要受診 [8]

Q3.「流行性角結膜炎(はやり目)とは何が違うんですか?」

——「はやり目」もアデノウイルスと聞きましたが、プール熱と同じものですか?

どちらもアデノウイルスが原因ですが、別の病気です [4]。原因となるウイルスの型が異なり、症状の出方も違います

咽頭結膜熱(プール熱)

原因の血清型
3型、4型、7型 [2]
高熱
あり(39〜40度、4〜5日間)[2]
喉の痛み
あり(咽頭炎)[2]
結膜炎
あり(充血+涙+目やに)[2]
角膜への影響
通常なし [2]
耳前リンパ節腫脹
軽度
好発季節
夏 [1]
法的な分類
学校保健安全法第二種 [10]
出席停止期間
主要症状消退後2日間 [10]

流行性角結膜炎(はやり目)

原因の血清型
8型、19型、37型 [4]
高熱
なし〜微熱 [4]
喉の痛み
なし [4]
結膜炎
非常に強い(強い充血+大量の目やに+角膜混濁)[4][9]
角膜への影響
角膜に点状混濁を生じることがある(視力低下のリスク)[9]
耳前リンパ節腫脹
著明に腫れることが多い [4]
好発季節
通年(夏にやや多い)[4]
法的な分類
学校保健安全法第三種 [10]
出席停止期間
医師が感染のおそれがないと認めるまで [10]

最大の違いは『全身症状の有無』です [4]。プール熱は高熱+喉の痛み+目の症状と全身症状が出ますが、はやり目は目の症状が非常に強いものの、発熱や喉の痛みはほとんどないのが特徴です

——はやり目の方が目は重いんですか?

そうです。はやり目は結膜炎が非常に強く、角膜にも炎症が及ぶことがあります(点状表層角膜炎) [9]。角膜に濁りが残ると一時的に視力が低下することもあるため、眼科でのフォローが重要です。一方、プール熱の結膜炎は比較的軽度で、角膜に影響を及ぼすことは通常ありません [2]

もう一つ大事な点として、感染力の違いがあります

咽頭結膜熱

感染力の強さ
強い
主な感染経路
飛沫感染、接触感染 [1]
家庭内感染率
中程度
院内感染のリスク
中程度

流行性角結膜炎

感染力の強さ
非常に強い [4]
主な感染経路
接触感染(目やに・涙を介して)[4]
家庭内感染率
高い(家族全員にうつることも)[4]
院内感染のリスク
非常に高い(眼科外来でのアウトブレイクの報告多数)[9]

はやり目は接触感染が主な経路で、感染力が極めて強いです [4]。目を触った手でドアノブや蛇口を触り、それを別の人が触って目を擦ると感染します。手洗いの徹底とタオルの共有禁止が最も重要な予防策です [7]

ポイント

  • プール熱は「高熱+喉+目」の全身症状、はやり目は「目の症状のみ」 [2][4]
  • はやり目は角膜に影響が及ぶことがあり、眼科フォローが重要 [9]
  • はやり目は接触感染が主で、感染力が非常に強い [4]

Q4.「治療と自宅でのケアを教えてください」

——アデノウイルスに効く薬はあるんですか?自宅ではどう過ごせばいいですか?

残念ながら、アデノウイルスに対する特効薬(抗ウイルス薬)はありません [1][3]。治療は対症療法が中心となります

対症療法

高熱
アセトアミノフェン(カロナール)、イブプロフェン [1]
喉の痛み
冷たい飲み物・ゼリー・アイスクリーム [1]
目の充血・目やに
点眼薬(抗菌点眼薬で二次感染予防)[4]
脱水
経口補水液(OS-1等)、こまめな少量ずつの水分補給 [1]

注意点

高熱
解熱薬で熱を完全に下げる必要はない。つらさの緩和が目的
喉の痛み
酸っぱいもの、熱いもの、硬いものは避ける
目の充血・目やに
目やにはガーゼで拭き取る。こすらない
脱水
最も重要なケア

最も注意していただきたいのが脱水です [1]。高熱で水分が失われるうえ、喉の痛みで水分摂取が減るため、小さなお子さんでは脱水になりやすいのです

脱水のサイン確認方法
おしっこの回数が減る普段より回数が半分以下。おむつが軽い
涙が出ない泣いても涙が出ない
口の中が乾いている唇がカサカサ。口の中がネバネバ
皮膚の弾力低下手の甲の皮膚をつまんで離しても戻りが遅い
ぐったりしている元気がなく、ぼんやりしている

水分の与え方にもコツがあります

水分補給のポイント具体的な方法
少量ずつ頻回にスプーン1杯(5 mL)を5〜10分おきに [1]
冷たくする喉の痛みがある場合、冷たい飲み物が飲みやすい
経口補水液電解質のバランスが良く、吸収効率が高い
ゼリー・アイス固形物が食べられない場合の代替。水分+糖分の補給
避けるもの柑橘系ジュース(喉にしみる)、炭酸飲料

——目のケアはどうすればいいですか?

目のケアも重要です [4]

目のケア方法と注意点
目やにの除去清潔なガーゼを水で湿らせ、目頭から目尻に向かってやさしく拭く
点眼薬医師の処方に従う。細菌の二次感染予防が目的 [4]
コンタクトレンズ使用禁止。症状が完全に治まるまで装用しない [9]
手洗い目を触った後は必ず石鹸で手洗い [7]
タオル顔を拭くタオルは患者専用にする。ペーパータオルが理想 [7]

ポイント

  • アデノウイルスに特効薬はない。治療は対症療法 [1][3]
  • 脱水予防が最重要。少量ずつ頻回の水分補給を [1]
  • 目やにはガーゼでやさしく拭き、目を触った後は必ず手洗い [4][7]

Q5.「保育園や学校にはいつから行けますか?プールは?」

——アデノウイルスと言われたら、何日間お休みしないといけませんか?

咽頭結膜熱(プール熱)は、学校保健安全法で第二種の感染症に分類されています [10]。つまり、明確な出席停止期間が定められている病気です

項目基準
法的分類学校保健安全法 第二種の感染症 [10]
出席停止期間主要症状が消退した後2日を経過するまで [10]
「主要症状の消退」とは発熱・咽頭炎・結膜炎のすべてが治まること [10][11]
登園届・意見書保育園では医師の意見書(登園許可証)が必要な場合あり [11]

——「主要症状が消退した後2日」というのは、具体的にどう数えるのですか?

具体例でご説明しますね

状態

月曜日
発症(高熱・喉の痛み・目の充血)
火〜金曜日
高熱持続、症状あり
土曜日
解熱。喉の痛みと目の充血も改善 → この日が「症状消退日」
日曜日
症状消退後 1日目
月曜日
症状消退後 2日目
火曜日
症状消退後 2日を経過

登園可否

月曜日
不可
火〜金曜日
不可
土曜日
不可
日曜日
不可
月曜日
不可
火曜日
登園可能

ここで重要なのは、発熱・咽頭炎・結膜炎の3つすべてが消退してからカウント開始という点です [10][11]。たとえば熱が下がっても目の充血が残っている場合は、まだ「主要症状が消退した」とは言えません

——プールはいつから入れますか?

プールについてもまとめますね

プールに関する注意点詳細
プール再開の目安出席停止期間が終了し、医師の許可が出てから [10][14]
なぜプールで広がるかプールの水よりも、タオル・ゴーグルの共有、更衣室での接触が原因 [2][14]
プール施設側の対策適切な塩素消毒(遊離残留塩素0.4 mg/L以上)[14]
個人の対策タオル・ゴーグルの共有禁止、プール前後のシャワー、手洗い [14]

ウイルスの排泄(排出)についても知っておいていただきたいことがあります [1][7]

ウイルス排泄に関する注意詳細
咽頭からの排泄症状消退後も1〜2週間排泄が続くことがある [1]
便中への排泄数週間〜数カ月にわたり排泄が続く [1][7]
感染力が最も強い時期発症から症状消退まで [1]
実際の対応症状消退後2日で登園可。ただし手洗い・排泄後の衛生管理を継続 [10][11]

便中への排泄は長期間続きますが、症状消退後2日経過すれば通常の社会生活に戻って問題ありません [10]。ただし、おむつ交換後の手洗い、トイレ後の手洗いを特にしっかり行ってください [7]

分類

咽頭結膜熱(プール熱)
第二種
流行性角結膜炎(はやり目)
第三種
アデノウイルス胃腸炎
規定なし

出席停止期間

咽頭結膜熱(プール熱)
主要症状消退後2日 [10]
流行性角結膜炎(はやり目)
医師が感染のおそれがないと認めるまで [10]
アデノウイルス胃腸炎
下痢・嘔吐が治まり通常の食事ができるまで [11]

ポイント

  • 咽頭結膜熱は第二種感染症。出席停止は主要症状消退後2日間 [10]
  • 発熱・喉・目の3症状すべてが消退してからカウント開始 [10][11]
  • 便中のウイルス排泄は長期間続くため、手洗いの徹底を継続 [1][7]

まとめ

  • アデノウイルスは50以上の血清型があり、型によって咽頭結膜熱・はやり目・胃腸炎など多彩な病気を引き起こす [1][3]
  • 咽頭結膜熱の3主徴は「高熱(4〜5日)」「喉の痛み」「目の充血」 [2]
  • はやり目は目の症状が強いが全身症状は軽い。角膜への影響に注意 [4][9]
  • 特効薬はなく対症療法が中心。脱水予防が最も重要 [1]
  • アルコール消毒は効きにくい。手洗いと次亜塩素酸ナトリウムが有効 [7]
  • 咽頭結膜熱の出席停止は主要症状消退後2日間(学校保健安全法 第二種)[10]
  • 便中のウイルス排泄は数週間続くため、手洗いの徹底を [1][7]

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