愛育病院 小児科おかもん だより Vol.478
2026年版 子どもの日焼け止め選び、SPFとPA、年齢別の使い方
今号のポイント
- 26か月未満は服・日陰・帽子が優先。6か月以上は全身に塗れる。日常ならSPF15〜20で十分
- 4ミネラル系(酸化亜鉛・酸化チタン)はFDAが安全有効と認定。乳幼児・敏感肌の第一選択
- 6帽子つば7cmで紫外線約60%カット。塗布量と2〜3時間ごとの塗り直しが効果の鍵
こんにちは。愛育病院小児科のおかもんです。
「日焼け止めは何か月から使えますか」「ミネラル系とケミカル系、どちらが安全ですか」「SPF50+と30、子どもにはどちらを選べばいいですか」。
外来でよく聞かれる質問です。
日本では2022年末に日焼け止めの耐水性表示が新しくなり、国内外のガイドラインも少しずつ更新されています。今回は最新の推奨を整理しました。
Q1: 赤ちゃんから日焼け止めを使っていいですか。SPFはいくつを選べばいいですか
生後6か月未満の赤ちゃんには、まず物理的な対策を優先します。
日陰、服、帽子、ベビーカーのキャノピー。これが基本です。
どうしても日陰や服で守れない場合、顔など限られた部分にだけ使うことが認められています。「使ってはいけない」ではなく「物理的対策を先に」ということです。
生後6か月を過ぎたら、全身に塗ることができます。
SPFについては、日本小児皮膚科学会の推奨が参考になります。
日常生活ではSPF15〜20、PA++。海や山ではSPF20〜40、PA++〜+++。
これで十分です。
SPFと紫外線防御能は直線的に比例しません。SPF15でUVBの約93%を防ぎ、SPF30で約97%、SPF50で約98%です。数字が倍になっても防御率は2〜3%しか変わりません。
むやみに強いものを使わず、学校生活や日常の外出ならSPF15以上で十分、というのが現在の考え方です。
アメリカ小児科学会(AAP)はSPF15〜50(多くの場合15か30で十分)と推奨しており、日本基準と概ね一致します。日本の基準は「過剰塗布のリスクを避けながら十分に守る」という考え方からきています。
両方を踏まえると、日常はSPF15〜30で十分、海や山ではSPF30〜40が現実的な選択肢です。
Q2: 成分が心配です。ミネラル系とケミカル系、オキシベンゾンの違いは何ですか
日焼け止めの成分は大きく2種類に分かれます。
ひとつは、酸化亜鉛や酸化チタンを使った「ミネラル系(紫外線散乱剤)」。紫外線を物理的に反射します。
もうひとつは、オキシベンゾン、アボベンゾンなどを使った「ケミカル系(紫外線吸収剤)」。紫外線を化学的に吸収して熱に変えます。
FDAは2019年のルール案で、酸化亜鉛と酸化チタンを「GRASE(一般に安全で有効と認められる成分)」と分類しました。一方、オキシベンゾンを含む12成分については「安全性データが不足している」とし、追加の研究を求めています。
2019年と2020年の研究(Matta et al., JAMA)では、ケミカル系成分を塗布した被験者の血中で、FDAの閾値(0.5ng/mL)を超える濃度が検出されました。ただし、この研究の著者たちは「だから使うべきでない、とは言っていない」と明記しています。
乳幼児や敏感肌の子どもに、まずミネラル系をすすめるのは、こうした背景からです。
2023年のMustieles et al.(Environ Int)も、小児や妊婦には「体内にほぼ吸収されない無機UVフィルター(酸化亜鉛・酸化チタン)を推奨できる」と述べています。
ハワイ州では2021年からオキシベンゾンとオクチノキセートの販売を禁止しています。これはサンゴ礁保護を主な目的とした条例で、人体毒性を理由にしたものではありませんが、気になるなら避けやすい時代になってきました。
子どもへの選択肢をまとめると、乳幼児・敏感肌の第一選択はミネラル系。2歳以上で肌トラブルがなければケミカル系も選べます。
Q3: 塗り方、帽子、日陰はどれくらい効果がありますか
塗る量と塗り直しが、日焼け止めの効果を左右します。
FDAが定める標準塗布量は1cm²あたり2mgです。実際の使用量はこの半分以下になりがちで、その場合の効果は表示SPFの1/3〜1/2程度まで落ちます。
顔と首で約1.2g(小さじ1/3)、成人全身では約30g(ショットグラス1杯)が目安です。
塗り方は日本小児皮膚科学会の推奨が分かりやすいです。顔には、クリームならパール粒大、液なら1円玉大を1回。それを同じ量で重ね塗りします。
塗り直しは2〜3時間ごと。水泳や発汗、タオルで拭いた後も必要です。
帽子については、つばが約7cm(全周)の帽子で紫外線を約60%カットできます。顔、耳、首の後ろをしっかり覆うものを選ぶのが大切です。
日陰では、直射日光の約50%まで紫外線が減ります。ただし、曇りの日でも晴天時の80%以上の紫外線が届いていることは覚えておいてください。
もう一つ、眼への影響も見落とされがちです。子どもの眼は成人より紫外線を透過しやすく、白内障のリスクが指摘されています。UVカット機能のあるサングラスも選択肢のひとつです。
生涯で5回以上の重度の日焼けを経験すると、生涯のメラノーマリスクが倍化するという欧州の研究(Pfahlberg et al., 2001)があります。「子どもの頃だけ危険」ということではなく、生涯を通じた累積リスクの話です。日本人の多くは皮膚タイプ(Fitzpatrick分類)でType III〜IVに当たり、メラノーマよりも日焼けによる炎症後色素沈着や肝斑のリスクに気をつけると実用的です。
紫外線指数(UV Index)は気象庁のサイトで確認できます。3〜5が「中程度」、6〜7が「高い」、8以上は「非常に高い」。10時〜16時がUVの最も強い時間帯で、この時間帯の外出時は帽子・日焼け止め・日陰を組み合わせるのが理想です。